1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:04:05.78 ID:Pck3HKaZ0
(都内 某巨大ゲームセンター)


越前「……」ザッ

越前「…到着、っと」


(UFOキャッチャーフロア)


ドューンドュドューンピコーンザワザワ……


越前「……」キョロキョロ

越前「……ふーん…」

越前「……」

越前「へぇ…面白いじゃん」テクテク

引用元: 越前「俺はUFOキャッチャーで上に行くよ」 



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:06:16.36 ID:Pck3HKaZ0

ドンッ

越前「…いてっ」



海堂「……オイ、どこ見て歩いてるチビ」ギロッ

越前「そっちがぶつかって来たんじゃん」

海堂「あ?」ブチッ

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:08:59.28 ID:Pck3HKaZ0

海堂「おいチビ…見ない顔だな」

越前「…どうでもいいけど――」

越前「チビって呼ぶのやめてくんない?」

海堂「……!」ブチッ

海堂「どうやらテメェもUFOキャッチャーをやるようだな…」

海堂「……俺と勝負しろ、クソガキ」ギロッ

越前「いーけど」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:15:47.87 ID:Pck3HKaZ0

――――

菊丸「大石ーっ!アイス買ってきたよーん♪」

菊丸「…ってあれれ?海堂のやつ何やってるのかにゃー?」

大石「あの隣にいるちっこいの、誰かな?」

河村「えーっ、なんか不穏な空気だけど…」オロオロ

乾「厄介事の確率…98%…」

桃城「おーッ何か面白そうだなーッ!」

桃城「これは見逃せねぇなぁー!見逃せねぇよ!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:20:22.25 ID:Pck3HKaZ0

海堂「このUFOキャッチャーで勝負だ、チビ」

海堂「俺が右の台を使う。テメェは左だ」

海堂「先にこのリラックマを取った方が勝ちだ」

越前「いいよ、それで」

海堂「それ以上減らず口叩けねぇようにしてやる…」フシュー

越前「まぁ、負けるのはアンタだけどね」

海堂「…………チッ…」フシュゥゥゥ

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:24:21.53 ID:Pck3HKaZ0
――――


不二「おっと…これは穏やかじゃないね」

不二「止めなくても良いのかい、手塚?」

手塚「……」

不二「…こりゃ大変」クスッ

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:29:06.92 ID:Pck3HKaZ0
――――


【越前(1年) vs 海堂(2年)】

店員「それでは!1年越前、対、2年海堂の試合を始めます!」


●15分経過


桃城「オォーッ!? やるなぁチビ助!」

大石「見たところ、あの少年も相当な実力者だね」

不二「少なくても素人じゃないね、あのキャッチャー捌き」

菊丸「頑張れおチビーッ♪」


乾「ただ…海堂の真の実力はここから発揮される」

乾「果たしてあの少年に着いていけるか」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:39:47.55 ID:Pck3HKaZ0
――――

チャリンチャリンチャリンチャリン

越前「へぇ…スタミナだけはあるようだね」フゥ

海堂「……ほざけ」フシュゥゥゥゥゥ……



乾「海堂は100円玉を惜しみなく使い」

乾「少しずつ確実にプライズを穴に引き摺り込む」

乾「いわば、金銭的な持久戦を得意としている」

乾「大金を使い果たした挙句諦めかけている相手を」

乾「更に精神的にジワジワと追い詰めプレッシャーを掛ける」

乾「そのプレイスタイルから付いたあだ名が――」



越前「――そのしぶとさ、『マムシ』みたいッスね」

海堂「……!!」ギロリ

越前「おー、怖」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:48:44.86 ID:Pck3HKaZ0
――――
●30分経過

海堂「チッ……しぶとい野郎だ…」フシュゥゥゥー

越前「まだまだだね」フゥ



菊丸「おわわーっ!」

菊丸「大変大変!マムシの100円玉が尽きてきたにゃー!」

大石「あの海堂をあそこまで追い詰めるなんて…」

桃城「オイオイあの1年やるじゃねーか!」


乾「いや…海堂はまだ『アレ』を使っていない」

乾「海堂の過去のプレイデータから算出すると」

乾「60秒以内に『アレ』が発動する確率……」

乾「……100%」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 22:56:36.73 ID:Pck3HKaZ0
――――

越前「あれだけ大きな口叩いてた割には」

越前「大したことないッスね、先輩」ニッ

海堂「……!!!!!!!」ブチッ


ユラーリ……ユラーリ……



大石「海堂の動きが変わったぞ…!」

菊丸「きたきたーっ!」

桃城「よっしゃあー!行けマムシー!!」

乾「データ通り……」 クイッ



不二「出るよ…、海堂の『十八番』――」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 23:08:27.30 ID:Pck3HKaZ0

海堂「…海堂薫を……」

海堂「ナメんじゃねえええェェーーーーーッッ!!!」ダッ


ギュィィィーーーーーン

ジャラジャラジャラジャラ

シュゥゥーーーーン スタッ



越前「……!!」

越前(今の一瞬で…)

越前(1000円札を両替してきた……?)


海堂「……」フシュゥゥゥー…

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 23:15:38.83 ID:Pck3HKaZ0

乾「蛇の様に無駄のないしなやかな動きで両替機へ向かい」

乾「長い手足を利用して瞬時に両替を済ませ」

乾「ブーメランの様に素早く元の位置へ帰ってくる…」


乾「海堂の得意技――【ブーメラン・スネイク】」


乾「海堂はこの技で、『両替してる間に目当てのプライズが他の人に横取りされる』という弱点を克服した」

乾「もう誰も、海堂のプレイの邪魔は出来ない…」



越前「へぇ、少しはやるじゃん」

海堂「ここからが本番だ、チビ」フシュゥゥ…

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 23:26:52.95 ID:Pck3HKaZ0

手塚「そこまでだ」

越前「!」

海堂「…、手塚先輩…」

手塚「海堂、今は部の活動中だ。部外者との勝手な試合は認めない」

手塚「罰として、太鼓の達人10曲」

海堂「で、ですがこのチビが…」

手塚「20曲」


海堂「……ハイ」ダダッ

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 23:37:04.60 ID:Pck3HKaZ0
越前「ねぇ、アンタが部長?」

手塚「…」

越前「これ、入部届けなんだけど」

手塚「……」

手塚「…いいだろう。入部を認める」

越前「うぃーす」

越前「んじゃ明日からヨロシクってことで」スタスタ


手塚「…越前、か」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 23:44:47.56 ID:Pck3HKaZ0
翌日

手塚「…というわけで、本日から我が部の一員となった越前だ。前に出ろ、越前。」

越前「越前リョーマっす」

菊丸「よっろしくねー♪おチビ!いぇーい♪」

不二「昨日の試合、見させてもらったよ。期待の新人ってトコかな?」クスッ

桃城「うおぉぉぉー!俺らも負けちゃいられねぇなぁ!いられねぇーぜ!」

海堂「……チッ…俺は認めてねぇからな…」ゴゴゴゴ…

河村「まぁまぁ海堂、抑えて抑えて」


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/03(日) 23:53:14.56 ID:Pck3HKaZ0

桃城「よっしゃー、越前!早速俺と試合やろーぜ!」

菊丸「えーっ!ちょっとーっ!抜け駆けなんて桃城ずるいずるいーっ」

大石「気が早いなぁ、桃城」

乾「良いんじゃないか。それに、早いうちに初期データを取っておきたい」

不二「波乱の予感がするね」フフ

桃城「手塚部長!いーっすよね!」

手塚「…良いだろう。試合を認める」

桃城「よっしゃあぁー!」

越前「俺の意思は関係ないんスね…いいっスけど」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:05:04.83 ID:+PXqGFmu0

桃城「これで勝負だ越前!」

乾「ふむ…片側だけにアームが付いているキャッチャー…」

乾「プライズである小箱にくっついているプラスチックの輪にアームを引っ掛けて落とすタイプの機体を選んだか」

大石「アームを輪の中に入れられても、思ったようにプライズが動かないのが厄介だね」

越前「何でもいーっスよ」

越前「負けないっスから」

桃城「言うじゃねーか!このっこのっ!」ゲシッゲシッ

越前「痛いっス桃先輩…」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:11:27.71 ID:+PXqGFmu0
【越前(1年) vs 桃城(2年)】

店員「本ルールでは、先にプライズ『けいおん!きゅんキャラ vol.2』を2箱獲得した者の勝利とします!」

店員「では両者!始め!」



桃城「うおぉぉーっ!行くぜーっ!!」

越前「!」

大石「桃城が先に動いた!!」



乾「桃城は、爪が片方のみのアームの扱いに長けている」

乾「1つしかない爪に全神経を集中させ、狙いを定め」

乾「まるで刃物の様に鋭利な角度からプライズを引っ掛け獲る」

河村「このタイプの機体を選んだのも、自分の得意分野に引き入れるため…」ゴクリ

不二「容赦ないね、桃城」クスッ

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:19:25.62 ID:+PXqGFmu0

桃城「喰らえぇーッ!」

桃城「【ジャックナイフ】!!」


ググッ

菊丸「うわぁーっ!すごい!動いた動いたーっ♪」

河村「1回のキャッチであそこまで動かすなんて…」

不二「絶好調だね」

越前「やるじゃん」ニッ

桃城「まだまだこれからだっつーの!」ヘヘッ

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:24:44.03 ID:+PXqGFmu0
●数分後

大石「桃城の方のプライズ、箱の半分ほど台から出てるね」

河村「あと数回くらいで落とせそうだよね」


不二「いや、あと1回で落とすよ」

河村「えっ!?」


乾「桃城にはもう1つ長けた能力がある」

乾「桃城の跳躍力と思い切りの良さから放たれる、上から叩きつけるように無理矢理押し込むアーム使い…」

乾「使い所さえ難しいが、驚異的な獲得力へと繋がる技ーー」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:34:25.95 ID:+PXqGFmu0

桃城「いっくぜぇーーーっ!!」


大石「桃城が飛んだ!!」

ダダッ ヒューーン ポチッ

河村「そのまま落下と共にボタンを押した!!」


菊丸「きたきたーっ!!」

菊丸「桃の【ダンク・スマッシュ】!!!」


チャラチャッチャチャーン♪

マシン「ゲットオメデトウ♪ オメデトウ♪」

桃城「…ドーン☆」


店員「フィフティーン ラブ!桃城!!マッチポイント!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:37:31.71 ID:+PXqGFmu0

不二「桃が先手を取ったね」

手塚「あぁ、妥当なところだろう」

手塚「だが越前の力は未知数だ」

手塚「油断せずにいこう」

不二「そうだね」



桃城「ヘヘッ、越前!この勝負、俺が貰っちまうぜ?」

越前「まだ始まったばかりなんだけど」

桃城「口達者なことで」ニッ

越前「んじゃ、そろそろ行くよ」

スッ

桃城「!?」



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:43:18.23 ID:+PXqGFmu0

大石「ボタンを押す手を、変えた…」

菊丸「えーっ!!おチビのやつ、左利きだったのかにゃー!?」

不二「これは驚きだね」

乾「利き手ではない手を使って、あの実力だったというのか…」

海堂「チッ…どこまでも胸糞悪ィガキだ…」イラッ


越前「まだまだだね」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:52:38.99 ID:+PXqGFmu0
桃城「ヘヘッ!そうでなきゃ面白くねーな!面白くねーぜ!!」

桃城「だが、俺のジャックナイフの前ではそんなもの……」

越前「…【ドライブB】」

桃城「!?」

チャラチャッチャチャーン♪

マシン「ゲットオメデトウ♪オメデトウ♪」

桃城「な、何っ!?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 00:55:06.65 ID:+PXqGFmu0

大石「な、何だ、何が起こったんだ?」

不二「アームの爪の、金属部分とプラスチック部分の間の隙間で、輪の先端部を抑えつけたんだんだね」

不二「抑えつけた反動で、軽い小箱のプライズは勢いよく動く」

不二「上下方向に強いアームと、伸縮性のあるプラスチックの輪の性質を利用したんだね」

乾「押し込むでもなく、引き上げるでもなく、プライズを『弾き飛ばす』…」

乾「高い集中力、空間認識力、それに運がなければ成功しない高度なテクニック…」

乾「桃城のプレイスタイルよりも更にギャンブル性が高い技だ」

不二「桃相手にこの技を使うとは…挑戦的なルーキーだね」クスッ



越前「ーーそのプライズ、跳ねるよ」ニヤッ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:00:14.37 ID:+PXqGFmu0
●10分後

店員「ゲームセット&マッチ!」

店員「ウォンバイ!越前!!」



桃城「ちっくしょー!!負けたかーっ!」

越前「まだまだだね」

菊丸「すっげーっ!!やるじゃんおチビーっ!」ワシャワシャ

乾「良いデータが取れた、ふふふ…」

海堂「無様に負けやがって、桃野郎」ボソッ

桃城「何だとマムシ!!やんのかてめぇ!」

海堂「あぁ!?んだとゴラァ!もっぺん言ってみろ!」

河村「ちょっとちょっと2人とも~」オロオロ

大石「やれやれ…」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:08:39.00 ID:+PXqGFmu0
帰宅中

不二「さて、」

不二「とんだダークホースが入部したものだね、手塚」

手塚「あぁ」

不二「これからが楽しみだね」フフッ

手塚「……」


手塚 (俺がアームを動かせる内に…)グッ

手塚 (いや、まだ早いか)

手塚 (もうしばらく様子を見るとしよう)



越前「俺はUFOキャッチャーで上に行くよ」

1章 終わり