友達が結婚した時の事。
結婚に興味ないと言ってたAが結婚した。
お相手から告白されてお付き合いしゴールイン。
羨ましい限り。
友達みんなで遊んだとき、
「旦那さんと仲良くやってるー?」
と聞くと、
「うん、そうなんだけど…」
と少し顔を曇らせてしまった。
嫌だったかなと思い、
「ごめん、何か家のこと探るようなこと聞いちゃって。不愉快だったよね」
と謝った。
すると
A「ううん、違うの。実はね、他に結婚したかった相手がいて…でも法律上難しくて。
それで今の夫と結婚したの。勿論夫は大好きだけど、でもそれ以上に好きな相手がいて、夫には申し訳ないなあって。
みんなにしか言えないし」
もうみんな目が飛び出るほどびっくりして、
「法律で規制される相手?まさか兄弟!?従兄弟なら許されてるよね?」
「落ち着け!Aには妹しかいない!お父さんはありえない(Aと合わない部分が多い)」
「外国の方なのかな?ネットで知り合ったものの、日本国籍取得してなくて一緒に住めないとか?」
「えーっと…お相手は女性だったとか?」
と質問攻め。
ところが、Aはどれも違うという。
「これが結婚したかった相手なの」
と写真を見せてくれた。
あのAがそこまで惚れるとはどんな人か!と覗き込んだが、ただレトロな家を撮影したもので人がいない。
「誰も映ってないよー」
とみんなが言うと、
「映ってるよ。ほら。この家」
「家?家に誰かいるの?」
「だからー!私が心から愛してるのはこの家なの!この家に愛されたかった…頑張って対話した。凄く優しかったよ」
と返された。
人ですらなかった。
そりゃ結婚どころか意思疎通も無理だわ。
対話したってなんなんだ。
Aは中学の時からの友達で、昔からキノコや鉱物が大好きな子だった。
そして徐々に建築にも関心を持ち始めていたのは知っていた。
建物のデザインに心奪われるという経験は私もあるが、家そのものを性的対象として見たことはない。
が、Aは建物に性的魅力を感じるようなのだ。
Aにとっては人間の男よりも性的に映るのだそう。
海外ニュースで『ヤギと結婚した男』とか『幽霊と結婚した女』などの話をたまに聞くけれど、家は初めてだった。
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