2: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 20:20:24.46 ID:uNYVgiIu0
ライズベルト「セームベルー、朝だぞー」

セームベル「ひゃあ!?………お兄ちゃん、おはよう」

ライズベルト「おはよう」

セームベル「あっ、そうだ!お兄ちゃん誕生日おめでとう!」

ライズベルト「ありがとう、セームベル」

セームベル「誕生日プレゼントたくさん用意しておくから待っててね!」

ライズベルト「ああ、期待しているよ。そうだ、学校が終わったらダルク達がここで僕の誕生日会を開くらしいから、あまり散らかすなよ?」

セームベル「うん!ウィンお姉ちゃんも来る?」

ライズベルト「ああ、ヒータもエリアもアウスもライナもピリカも来るぞ」

セームベル「やったー!お家ピカピカにして待ってるね!」

ライズベルト「頼んだぞ、セームベル」

7: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 20:43:15.67 ID:uNYVgiIu0
魔法都市エンディミオン

ライズベルト「おはよう、ダルク」

ダルク「ああ、おはよう」

ライズベルト「ライナはどうしたんだ?」

ダルク「ライナはなんか支度が遅かったから先に出てきたんだよ」

ライズベルト「おいおい……、双子とはいえ姉なんだからもう少し優しくしろよ」

ダルク「いいんだよ、ライナのやつ、いっつも俺がなんとかしてくれると思ってやがる。たまには一人でやらせるくらいがちょうどいいんだよ」

ライズベルト「ふふ……、なんだ、ライナのこと大切にしているじゃないか」

ダルク「なっ………、別に大切にしてねーよ!ただ、俺の負担を減らしたいだけだ!」

ヒータ「なーんてツンデレな台詞吐いてんじゃねーよダルク~」

ダルク「ヒータ……」

ヒータ「ほら、ライナ!ダルクはここにいるぞ!」

ライナ「ふぇ~、やっと追いついた~。ダルク~、置いていくなんてひどいよ~」

ダルク「うるっせえ。もたもたしてんのが悪いんだよ」

ライズベルト「とか言っているのも全てライナのためを思ってのことなんだけどね」

ヒータ「もっと素直になれよダルク~」

ダルク「~~~~!行くぞ!バカ姉貴!」

ライナ「あっ、待ってダルク~~!」

ライズベルト(僕は知っているからね。ライナのことについてからかうと、恥ずかしくなってライナのことを名前じゃなくて姉貴って呼んじゃうことを)

ヒータ「ライズベルト、今日の誕生日会楽しみにしとけよ。精一杯お祝いしてやるから」

ライズベルト「ああ、セームベルも楽しみにしているんだ。派手に頼むぞ」

ヒータ「ああ、任せとけって!んじゃ、また後で!」

ライズベルト(それじゃ、僕も教室に向かいますか)

8: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 21:04:51.23 ID:uNYVgiIu0
ライズベルト「おはよう、ピリカ」

ピリカ「ん。……おはよ」

ライズベルト「どうかした?なんか気合いはいっているね?」

ピリカ「今日の召喚獣の授業では必ず違うモンスターを召喚する……」

ライズベルト「ああ……、ピリカの召喚獣はいつも同じだもんね」

ピリカ「今日こそは必ず………」

――――

ジュノン「それでは、授業を始めます!皆さん、心を落ち着かせて、呼び出したいモンスターをイメージしてください」

ピリカ「心を落ち着かせて…………イメージ………」

ライズベルト「大丈夫?」

ピリカ「ちょっと黙ってて。………出でよ、ガスタの鳥獣!!」


ピカッ


デブリ・ドラゴン「いっただっきまーす!!ってあら?わいのハングリーバーガーはどこにいったんや!?」

ピリカ「またあんたか……」

デブリ「あっ、姐さん!またわいのこと呼び出したんですか?もっとTPOゆーもんをわきまえて、アポとって呼び出してくださいよ!」

ピリカ「うるさい。私だって好きで呼び出したわけじゃない。あと、そのエセ関西弁ムカつく」バンバン

デブリ「ちょっ、やつあたりで叩かんでくださいよ!あと口調に関しては仕方ないじゃないですか!わいの好きな吉○新喜劇たくさん見てたらこの口調になってしもたんですから!!」

ピリカ「うるさい、直せ」

デブリ「んな、理不尽な!」

ライズベルト「あはは………」





9: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 21:13:41.27 ID:uNYVgiIu0
――――

セームベル「さーて、お客さんも来るようだし、たくさん食事を用意しないと!」

セームベル「とりあえず、木の実をたくさん集めておこうっと!でもこの辺りの木の実はお兄ちゃんのために収穫しちゃったし………。どっかに木の実ないかな~?」

???「木の実を探しているのかな?」

セームベル「うん、そうだよー!お姉ちゃん、誰ー?」

トリオン「私の名前はトリオン。ちょうどよかった。私もこれから木の実を収穫しに行こうと思っていたんだよ。よかったら、一緒に来るかい?」

セームベル「本当!?行く行く、一緒に行くーー!!」

トリオン「ふふふ………」


10: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 21:23:13.76 ID:uNYVgiIu0
エリア「さーて!ライズベルトの誕生日盛り上げるぞーー!!」

アウス「といっても、あまりはめをはずしすぎないようにしてくださいね」

ヒータ「んな堅いこと言ってんじゃねーよ!派手に派手に盛り上がってこその誕生日会じゃねーか!!」

ライナ「そうだよ、無礼講だよ~。今日くらいはっちゃけちゃおう~~!」

ダルク「その後片付けをするのはいっつも俺なんだけどな………」

ライズベルト「あっ、そうだ。ウィン、セームベルが遊びたがっていたから、もしよかったら一緒に遊んであげてくれないかな?」

ウィン「うん、もちろんだよ。でも、今日の主役はライズベルトだからね」

ライズベルト「うん、分かっているよ」

11: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 21:34:34.22 ID:uNYVgiIu0
――――
ライズベルト「ただいまー。セームベルー?いるかー?」

ピリカ「……人の気配がない。この近くにも、ない」

ライズベルト「まさか、不審者にさらわれたんじゃ!頼むみんな、探してくれ!」

一同「もちろん!!」

霊使い「使い魔召喚!!」

ピリカ「………召喚」


ピカッ


デブリ「んあ?ちょっと姐さん!またですか!今わいクソしてる最中だったんですよ!!最近便秘気味でやっと出たところやってのに!引っ込んだやないですか!!」

ピリカ「今それどころじゃないの。セームベルちゃんがいなくなっちゃったのよ。お願い、一緒に探して!」

デブリ「なんやて!?セームベルちゃんが!?そりゃわいのクソなんかどうでもええですわ。ほな、さっそく探しましょ!」

ライズベルト(無事でいてくれ、セームベル………)

12: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 21:47:59.06 ID:uNYVgiIu0
セームベル「トリオンさんなんか暗くなってきたよ………」

トリオン「大丈夫。あと少しで目的地につくから……」

セームベル「本当………?」

トリオン「ほら、ここだよ」

セームベル「あっ、あった!木の実があんなところに!」タタタタ


ベチョッ


セームベル「なにこれ?動けないよぉ………」


カズーラ「そりゃ、そこは私たちの巣の中心だからね~」クスクス

アトラ「これから君は私たちのエサになるんだよ」

ティオ「私にも少し残しておいてね~」

トリオン「それじゃ、さっそく…………」


トリオンの蟲惑魔「いただきます」


セームベル「い、いや………助けてーー!!お兄ちゃんーーー!!!」






13: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 21:51:06.53 ID:uNYVgiIu0
ライズベルト「セームベルーーー!!!」

セームベル「お兄ちゃん!!」

ライズベルト「この手につかまれ!!」



ガシッ



ライズベルト「緊急テレポート!!」


バシュッ



14: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 22:00:08.03 ID:uNYVgiIu0
―――――

ライズベルト「お騒がせしてすいませんでした」

セームベル「すいませんでした………」

ウィン「まあまあ、見つかったからよかったですよ」

デブリ「そうでっせ!無事だったことを喜びましょうや!せっかくの誕生日会やさかい!」

ライズベルト「まあ、そうだね………。それじゃ、始めようか」

セームベル「ねえねえ、お兄ちゃん。1つ聞いていい?」

ライズベルト「なんだい?」

セームベル「さっきの瞬間移動の魔法、私も練習すれば使えるようになる?」

ライズベルト「…………そうだね、そのためにはまず大きくならないといけないね」

セームベル「分かった!大きくなって、いつかお兄ちゃんみたいな魔法使いになるね!」

ライズベルト「……………」


15: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 22:04:52.99 ID:uNYVgiIu0
――――

セームベル「………スー…………スー……」ムニャムニャ

ライズベルト(寝たかな………)

セームベル……、残念だけど、テレポートを会得するのは無理だ………。

だってこれは、魔法使い族の魔法じゃなくて、サイキック族の技なのだから。



ライズベルト「………テレポート」


バシュッ


16: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 22:31:04.54 ID:uNYVgiIu0
脳開発研究所

マックス・テレポーター「遅かったな、ライズベルト」

ライズベルト「友達が僕の誕生日会をしてくれて、それで遅くなりました………」

マックス「誕生日………、それは君がここから連れ去られた日でもあるわけだが」

ライズベルト「…………」

マックス「まったく、運命とはわからぬものだ……。もう見つからないと思っていた君が、義妹を養う金の為に再び戻って来るとはな」

ライズベルト「本当に、そうですね………」

マックス「まあ、安心しろ。我々はしっかり金は出すし、君を死なせるつもりもない。ただ、君に眠るペンデュラムの力を研究したいだけなんだ」

ライズベルト「…………」

僕はこの研究所で被験体として生を受けた。

その時、ここに勤めていた夫婦が何を思ったのか、僕を連れて脱出したのだ。

数年後、夫婦に赤ちゃんが生まれた。それからしばらくの間は不自由のない生活が続いた。

しかし、今から数年前に事件が起こった。

創星神sophiaの次元統一の衝撃に巻き込まれ、二人は死んでしまったのだ。

死ぬ間際に僕に託した連絡先をたどり、今現在に至るわけだ。

17: ◆pabVKfCDzNVk 2015/04/29(水) 22:40:54.38 ID:uNYVgiIu0
セームベル「ふぁぁ~、お兄ちゃんおはよう~」

この研究の実験体となっていることに不安がないわけじゃない。

ライズベルト「おはよう、セームベル」

でも、今の僕にできることはこれぐらいしかないのだ。

セームベル「ん~~!トーストのいいにおい~~!」

これ以上、セームベルを悲しませたくない。

ライズベルト「さあ、顔を洗ったら、食べよう」

これ以上、不自由な思いはさせたくないんだ……。

セームベル「お兄ちゃん」

ライズベルト「うん?なんだい?」

そのためなら、僕はなんだってしようじゃないか。




セームベル「お兄ちゃん、いつもありがとう。大好きだよ!」ニコッ



君の笑顔を守るために。



引用元: 召喚師ライズベルト「君の笑顔を守るために」