最原「二周目は彼女と共に」 白銀("嘘"! だけどね!) 前編

253: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 16:10:05.19 ID:WwWr8zFT0
最原(赤松さんは『白銀さんが起きたときのためにCDいくつか見繕ってくるね』と言い残して去って行った)

最原(……みんな形は違うけど、白銀さんのことを心配してる)

最原(でも彼女を助ける手がかりは、特に見つからない)

最原(……)

最原「モノクマ」

モノクマ「呼んだ!?」ボヨヨーンッ

最原「なんで彼女が彼女自身にウイルスを投与したのかはわからないんだよな?」

モノクマ「わからないよ。嘘じゃない」

最原「……じゃあ彼女の最終目的とか、そういうのも聞かされてない?」

モノクマ「あ、それは聞かされてるよ」

最原「なんて言ってた?」

モノクマ「それはね――」




白銀「モノクマ。黙って」

モノクマ「ッ!」ガチッ

最原「……!」

最原(迂闊だった。何もよりにもよって医務室で訊ねることなかったじゃないか!)

最原「白銀さん! 起きたの!?」

白銀「起きてたんだよ。赤松さんとの話の途中から……!」

引用元: 最原「二周目は彼女と共に」 白銀("嘘"! だけどね!) 



ダンガンロンパ害伝 キラーキラー(3) (KCデラックス 週刊少年マガジン)
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254: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 16:20:14.93 ID:WwWr8zFT0
白銀「は、ははははは! そう! 今更ながらようやくわかったよ!」

白銀「私、あそこでは徹底的に悪役を演じたつもりで!」

白銀「最原くんのことも全力で傷つけたつもりだったのに!」

白銀「なんで最後の最後であんな結末になっちゃったのか!」

最原(あんな結末?)

白銀「そっかそっか……はははっ! 言い忘れちゃってたね、あの場ではさッ!」

白銀「じゃあ今言ってあげる! 私は最原くんのことなんて……うっ」

白銀「げほっ……!」


ボタタタッ


最原「白銀さんっ!」

最原(あのときの百田くんのように、口からたくさんの血が……!)

最原「ダメだ! 無理しないでよ! もう喋らないで!」

白銀「げほっげほっ……さ、最原くんのことなんて……かっ……!」

ボタボタッ

最原「白銀さんッ!」

255: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 16:29:07.21 ID:WwWr8zFT0
白銀「大嫌い……嫌い、嫌い嫌い」

白銀「昨日言ったことも、前の世界で言ったことも全部嘘」

白銀「だからもう信じないで」

白銀「全部嘘だったから、私のことを信じないでよっ……!」

最原「……」

最原「それは無理だ。絶っっっ対に!」

白銀「ッ!」

最原「だってキミ、凄く辛そうだから!」

白銀「……病気なんだから当たりまえでしょ」

最原「違う! 心も辛そうだ!」

最原「自分で気付いてないの!? さっきからキミ、泣いてるんだよッ!」

白銀「は?」

256: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 16:35:49.03 ID:WwWr8zFT0
白銀「……」ポロポロ

白銀「……あ、嘘。やだ。やだ、止まって……」ポロポロ

白銀「いや……辛くなんてない! 辛くなんかないから……!」ポロポロ

白銀「だって、私、ダンガンロンパが大好きで……みんなが死ぬ様を見るのが楽しくて楽しくて……!」

白銀「しゅ、首謀者なんだから、人を騙して当たりまえで……!」

最原「白銀さん……!」

白銀「い、いや……そんな目で見ないで……私を憐れまないでよッ!」

最原「キミって本当は――」

白銀「ッ! や、やめて! ダメ! それ以上先を言っちゃダメ!」

257: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 16:44:16.90 ID:WwWr8zFT0
最原「みんなを殺したこと、後悔してたんじゃない?」

白銀「あ、ああ……!」ガタガタ

最原「……ん? このセリフ、前もどこかで……」

最原「……」

ズキンッ!

最原「……ッ!」

最原(何かが……見える……!)



白銀『はは。バレちゃってた?』

白銀『……もうどうせ、誰も見てないからいいか』

白銀『いいよ。キミの勝ち。最後くらい、首謀者じゃなくって、私の本音を教えてあげる』



白銀「だ、ダメ! 思い出さないで! いや! いやあ!」

白銀「せっかくのチャンスだと思ったのに! 今度こそ結末を変えられたのに!」

最原「……そうか、この世界は……!」

白銀「やめてえええええっ!」

260: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 17:48:20.21 ID:WwWr8zFT0
あの世界の真相 最後の投票後

夢野「白銀が……後悔してた?」

最原「ねえ。どうせ最後だしさ。教えてくれてもいいんじゃない?」

最原「裁判後のクロの独白だって、ダンガンロンパの醍醐味でしょ?」

白銀「……」

白銀「はは。バレちゃってた?」

白銀「……もうどうせ、誰も見てないからいいか」

白銀「いいよ。キミの勝ち。最後くらい、首謀者じゃなくって、私の本音を教えてあげる」

白銀「最初はさ、本当に楽しかったんだよ? 大好きなダンガンロンパの首謀者になれてさ」

白銀「百田くんにウイルスを投与したり、天海くんを殺したり、赤松さんが私のせいで処刑されたりさ」

春川「……最悪だね」

白銀「だって首謀者だもん。最悪で当然」

白銀「……でも、まあ。途中からはそうでもなくなってきた」

白銀「ていうか苦痛になってきたんだけどね」

白銀「最原くんと付き合いだしてから、かな?」

261: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 17:58:07.57 ID:WwWr8zFT0
白銀「なんか、感情移入とかそんなレベルじゃなくなってきてさ」

白銀「最原くんが悲しいと、私も凄く悲しくなるし」

白銀「……仲間のことも、なんか大事に思えてきたしさ」

白銀「一緒にいて情が移っちゃったのかな?」

白銀「首謀者としての自分と、才囚学園のみんなと仲間でいる自分で板挟みになっちゃって」

白銀「で、なーんか生きてることも段々イヤになってきて……」

白銀「でも納得できた。だって最終的に、首謀者はおしおきされて死ぬんだもん」

白銀「最後の最後で残酷に死ねる。そうすれば死んでいった仲間たちに償いができる」

白銀「ついでにそのとき、最原くんや他のみんなに嫌われて、同情の余地のない怪物になっちゃえばさ……」

白銀「誰も悲しまない。引きずらない。でも悪い夢として忘れられない」

白銀「……わかるかな。もしも、この最後の学級裁判で、全部が私の思惑通りになっていたらどうなってた?」

最原「うん。気付いた。少なくともこの場にいる全員は『死なない』んだ」

春川「……ああ。そうか。犠牲になっても超高校級の生存者になるだけ、だから……」

夢野「白銀の計画では、この場にいるウチらは全員死ななかった……!?」

白銀「この場では。私を除いて、ね。私だけは本当に処刑される予定だった」

白銀「悪役だもん。当然でしょ?」

最原「……」

262: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:09:00.86 ID:WwWr8zFT0
最原「……そんなのダメだ」

白銀「ん?」

最原「……なんで白銀さんまで投票を放棄したの?」

最原「首謀者役なら、絶望が勝つように……自分が生き残るように、投票しなきゃダメでしょ?」

最原「僕は……キミが生き残るのならいいかって、そう思えたのに……!」

最原「なんでっ! 投票を放棄したんだよッ!」

白銀「ダンガンロンパのため。希望の勝利のため……」

白銀「……ふふ。ごめん。クセでさ。まだ首謀者としての言動が抜けないな」

白銀「本音はさ、さっき言った通り」

白銀「私たち、仲間だったじゃない?」ニコリ

最原「……!」

白銀「バカだなぁ、最原くん。まだ私のことが好きなの?」

白銀「あそこまで酷いこと言われたのにさ……」

最原「全部が嘘じゃなかった。だから……!」

白銀「そもそも、キミが私を好きになったのは、赤松さんが死んだことがきっかけだよ?」

白銀「酷いマッチポンプだと思わない?」

最原「そんなこと関係ないんだ! もう、そんなことッ!」

白銀「……バカな人。本当に」

263: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:17:46.81 ID:WwWr8zFT0
白銀「……ああ、でも安心して。あなたたちは死なないから」

夢野「んあ?」

白銀「誰も見てないんだよ? ケジメを付けるために誰かが死ぬんだとしてもさ」

白銀「……全員である必要は、どこにもないよね?」

最原「……」

最原「えっ」

白銀「あははははははっ! 私は首謀者だよ!? ルールなんて破って当たりまえ!」

白銀「最初の学級裁判のときから好き勝手しまくってたじゃない!」

白銀「まあ、そうだな。コロシアイ参加者か、首謀者のどっちかが死なないといけない」

白銀「その二者択一ならさ……私が死ぬのが筋ってものでしょう?」

春川「白銀、あんた……!」

白銀「……モノクマ。ごめんね。こんな中途半端な首謀者でさ」

モノクマ「もうどうだっていいよ。これから無職だしさ」ショボーン

モノクマ「あーあ……再就職先、探さないとなぁ……」

モノクマ「……あ、その必要はないんだ。首謀者の方が死ぬのなら、ボクもご一緒しないわけにはいかないしね!」

最原「ま、待ってよ白銀さん!」

白銀「待たない。残念だけどさ。あなたたちの言葉を軽くしないために、誰か最低一人は死なないと。でしょ?」

最原「い、イヤだ。そんなの! 僕はっ……!」

264: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:24:59.04 ID:WwWr8zFT0
白銀「ありがとう。怪物でもなく、首謀者でもなく、最後まで私をただの女の子として見てくれて」

白銀「……ごめんね。江ノ島盾子を完全に模倣できていれば、そんな涙、流させなかったのに……」

最原「白銀さんっ!」

キーボ「コロシアイ参加者三名と、首謀者一名。どちらを破壊しますか?」

白銀「……」

白銀「モノクマ。一緒に来て」

モノクマ「はいはーい」ステステ

キーボ「……」




キーボ「……これが外の世界の意思です。この学園を破壊します」

最原「……ッ!」

265: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:31:51.25 ID:WwWr8zFT0
モノクマ「どこまで行く?」

白銀「最後くらい派手な場所で死にたいなぁ……」

モノクマ「……ねえ。本当にこれでよかったの?」

白銀「はは! いいに決まってるって!」

白銀「結局、私の思い描いたハッピーエンドに変わりないしね!」

白銀「首謀者が死んで、最後に残ったのはコロシアイ参加者三名!」

白銀「……うん。キーボくんの人格が消えちゃったのは……ちょっと残念だったかな」

モノクマ「それもそうだけどさ」

モノクマ「最原くんと最後に抱き合うとか、チューとかするとか、したかったんじゃないの?」

白銀「……」

白銀「もういい。充分」

白銀「ああ! 最高の新学期だった!」

266: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:38:57.93 ID:WwWr8zFT0
夢野「……最原……」

最原「……」

夢野「……これでよかった、なんて口が裂けても言えんな」

春川「私個人としては、ざまあみろ、としか言えないんだけど」

夢野「春川ッ!」

春川「……最原。私はさ……アンタの味方だよ」

最原「!」

春川「……好きにやっちゃえば?」ニコリ

夢野「んあ? ……んあー、なるほどな。それも一つの選択肢、か」

夢野「よいぞ? どうせ、そのつもりじゃったしな」

最原「……」

最原「ごめん。二人とも」

267: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:50:13.07 ID:WwWr8zFT0
才囚学園の破壊

白銀(こんなフィナーレになるとは思いもしなかったなぁ)

白銀(まさかダンガンロンパそのものが終わっちゃうなんて、びっくり)

白銀(……でも、そっか。誰かが用意したハッピーエンドじゃなくって、自分たちで作った結末か)

白銀(本当、恰好よかったな。最原くん)

モノクマ「……!」ピクリ

白銀「ん? どうかしたの? モノクマ」

モノクマ「……」ヒシッ

白銀「え? なんで急に私の足にまとわりつくの?」

モノクマ「……」

268: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 18:54:40.28 ID:WwWr8zFT0
白銀(……やっぱりモノクマも死ぬのは怖いのかな?)

白銀(ま、いいけど。逃げなければどうだって)

白銀(ほら。もうすぐ。私たちの頭上に巨大な瓦礫が……)

モノクマ「……」




モノクマ「死ぬ必要がなくなった」

白銀「えっ」


ドンッ


白銀「きゃっ!?」


グシャッ!

269: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:00:53.54 ID:WwWr8zFT0
最原「も、モノクマ! 何考えてるんだよ! 白銀さんの足に纏わりつくなんて!」

モノクマ「これでも最原くんを補助したつもりなの! 白銀さんが途中で気付いて、避けたりしたら大変でしょ?」

モノクマ「……ま。白銀さんが突き飛ばされたら、ボクも一緒に瓦礫を避けられるからってのが本音だけどね!」

最原「ああ……もう、最後まで……!」

白銀「……え」

最原「……は、はは……無事? 白銀さん」

白銀「……さ、最原くん……」

最原「……ああ。ところで、悪いんだけどさ……」




最原「僕もう下半身が潰れちゃったみたい、だから……後は自力で逃げてくれる?」

270: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:09:46.93 ID:WwWr8zFT0
白銀「……え。え? え? な、なんで……」

白銀「……ヒッ。ち、血が……最原くん、血がたくさん……なんで……っ!」

最原「本当にごめん……助かるんならさ。キミだけが助かってよ」

白銀「い、今すぐ瓦礫をどかすから! ねえ、やめてよこんな冗談!」

最原「いい。もういいよ。いいんだ」

春川「……最原……」

夢野「……」

白銀「あ、ふ、二人とも! た、助けて! 最原くんが……最原くんが、瓦礫に挟まって……!」

白銀「……」

白銀「なんでみんなここにいるの?」

夢野「……設定、なんかじゃない」

白銀「は?」

夢野「ウチは、本当の魔法使いなんじゃ……」

夢野「設定なんかじゃ、ないっ! その証拠に、最原!」

夢野「見ておれ! 白銀は絶対に死なせんぞ!」

白銀「……ね、ねえ。何それ。まさか、まさか……」

春川「死ぬのはコロシアイ参加者の私たちの方。それでいい」

白銀「――ッ!?」

271: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:16:46.44 ID:WwWr8zFT0
春川「……クソヤロー。百田を殺したアンタの指図なんて受けるわけないでしょ」

春川「私の受けた苦しみの百分の一でも味わえば?」

白銀「えっ……や、やめてよ……そんなの……だって!」

白銀「ねえ! そんな必要ないでしょ!? 私が死ねば全部解決で……!」

春川「アンタの命と百田の命を同列に語るなッ!」

白銀「……!」

春川「……死にたければ勝手に死ね。でもここじゃダメ」

春川「私が死なせない」

夢野「意地悪じゃのう」

春川「当然でしょ。悪いんだけど、こう思わないとやってられない」

夢野「んあー……ま、春川の言うことは気にするな」

夢野「ウチは魔法使いとして、お主のことも笑顔にしたいだけじゃからの」

夢野「……最原が最優先じゃが」

最原「ありがとう、夢野さん」

272: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:26:35.51 ID:WwWr8zFT0
白銀「……わ、わかった。許して。ごめんなさい。謝るから……!」

白銀「お願い。最原くんを助けて! 私の目の前で死なせないでよッ!」

夢野「……」

春川「……白銀。見ればわかるでしょ」

春川「もう、手遅れだよ……!」

白銀「……」

白銀「そ、そんなことないって……やだな……」

白銀「だ、大丈夫だよね、最原くん……?」

最原「……あはは」

最原「ごめんね、白銀さん」

白銀「な、なんで謝るの……やめてよ……最原くんは何も悪くないじゃん!」

最原「もっと早くキミが首謀者だって気付けてれば、こんな……!」

白銀「違う! 悪いのは全部私なんだって!」

白銀「ねえ! 嘘でしょ! 心にもないこと言ってるだけだよね!」

白銀「本当は、私のことが憎くて憎くてたまらないんだよね!?」

最原「……かもね。さっきまでは、そうだったけど……今は、もう……」

最原「……」

白銀「……」

白銀「最原くん?」

273: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:36:31.68 ID:WwWr8zFT0
春川「……最原……」

夢野「……さてと。やるか。モノクマ、これでいいんじゃろ?」

モノクマ「うん。いいよ。オールオッケー」

白銀「……」

夢野「……さてと。天国で見ておれ、最原」

夢野「設定なんかじゃない。ウチは本物の魔法使い、夢野秘密子じゃ!」

キーボ「……」

キーボ「……」ニコリ

夢野(……キーボ!)

夢野「……ほらの。やっぱり……」

夢野「ウチの魔法は、本物じゃろ?」

白銀「夢野さ――」


ドカァァァァァンッ!

274: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:43:43.50 ID:WwWr8zFT0
白銀「……」

白銀(夢野さんは吹き飛んだ。キーボくんの攻撃を受けて)

白銀(痛みも感じる間もなく、死体を残すこともなく。後に残ったのは、帽子だけ……)

白銀「……春川さん……」

白銀「許して……もう、許して……!」

白銀「ごめんなさい……全部謝るから……!」

白銀「だから、私を今すぐ殺してよ……こんなの耐えられない……!」

春川「……」

春川「いい気味」

白銀「ッ!」

春川「キーボ!」

キーボ「……!」


ドカァァァンッ!

275: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:50:13.20 ID:WwWr8zFT0
白銀「……キーボくん……私を……」

キーボ「もう必要ありません。破壊されたのは、コロシアイ参加者三名の方」

キーボ「これ以上の処刑は必要ありません」

白銀「……ルールの改竄を……」

モノクマ「ごめん白銀さん。もう無理。さっきの時点で結構無理してたから」

白銀「……」

キーボ「……さようなら、白銀さん。これでコロシアイは終了です」ポチリッ

白銀「キーボくん……!」


カッ


ドカァァァンッ!

276: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/09(火) 19:55:39.65 ID:WwWr8zFT0
ひとりぼっちのコロシアイ修了式

白銀(気付くとすっかり才囚学園は破壊され尽くしていた)

白銀(後に残っている生存者は、私だけ)

白銀(……本来なら、絶対に死んでいなければいけなかったはずの、首謀者の私だけ)

白銀「……」

白銀「最原くん……起きて……」

白銀「やだ……私、ひとりぼっちで生きたくなんかない……」

白銀「こんな結末、望んでなんかないよ……!」

白銀「お願い。起きて……」

白銀「……だれか……私を、殺して……」




白銀(ダンガンロンパは終わった)

白銀(次回作はもうない)

白銀(……死に時は、完全に消え失せた)

白銀(私を裁く人間は……もうどこにもいない)

284: やめよう!AI差別とロボット差別 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 19:01:21.99 ID:/yXhUTZg0
紅鮭時空

最原「……」

最原「キミ、死んでないじゃないか」

白銀「……だから何?」

最原「二周目なんて嘘だ」

白銀「……」




最原「この世界、あのコロシアイの世界と地続きなんでしょ?」

最原「タイムスリップなんて起きてない」

285: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 19:04:44.57 ID:/yXhUTZg0
白銀「証拠は?」

最原「これで証明するよ。モノクマ」

モノクマ「はいはい。優しくしてね……!」ポテポテ

最原「えーっと、ここ、かな。ここ、でもない……」ゴソゴソ

モノクマ「ああん! もっと優しくしてよ!」

モノクマ「白銀さんにしたみたいに! 白銀さんにしたみたいに!」

最原&白銀「うっさいッ!」

286: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 19:20:53.23 ID:/yXhUTZg0
最原「疑問に思うべきだったんだ。モノクマが僕の存在を簡単に受け入れてたんだから」

最原「首謀者ルームに通したり、白銀さんと普通に話してることに疑問を持ったりしてなかった」

最原「……このモノクマは、あのコロシアイを生き残ったモノクマなんだよね。なら」

パラッ

最原「……毛並みの中に、いくつかはあると思ったよ。瓦礫の破片。粉塵」

白銀「……なんで洗浄しなかったの?」

モノクマ「クマ、風呂に入ったりしない」

白銀「嘘ばっかり……あなたも大分お節介になったよね」

モノクマ「……」

最原「どうでもいいんだけどさ。モノクマ、この学園生活であんまり笑ってなかったよ」

最原「……あの『うぷぷ』って笑い、記憶にある限り、僕の目の届くところで一回しかしてない」

287: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 19:34:51.86 ID:/yXhUTZg0
白銀「……タイムスリップでなければ、みんなは? ていうか……」

白銀「あなたは、誰?」

最原「それはキミが知っているのならそれでいい」

白銀「は?」

最原「僕は僕。みんなは仲間。白銀さんは僕の好きな人」

最原「それでいい」

白銀「――!」

最原「……というか、さ」

最原「そういう『推理のしようがない突拍子の無い真実』って、普通は首謀者がちょっとずつヒントを出すものだよね?」

最原「その義務をキミが怠るはずがない」

白銀「……やっぱり気になるんだよね?」

最原「まあ……」

288: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 19:45:49.53 ID:/yXhUTZg0
白銀「もうヒントなんかじゃなくって直接真相を言うよ」

白銀「時間ないし、後は消化試合同様だしね」

白銀「屍者の書のこと、覚えてる?」

最原「ああ、あの人が蘇るとかって言ってた……」

最原「……」

最原「全員蘇らせたの!?」ガビーンッ!

白銀「違う。蘇らせる準備はしてた。でも『全員は無理』だよ」

白銀「あれからチームダンガンロンパ、滅茶苦茶弱体化しちゃってさ……」

白銀「なんとか無理通して十四人は『コロシアイ初期と同様の状態』で復活させることはできたけど」

白銀「……『コロシアイの記憶を持ち越した完全蘇生』ができたのは最原くんだけ」

白銀「屍者の書、使わないでくれて本当助かったよ……あれ残ってなかったら最原くんの蘇生は無理だった」

白銀「これが限界。もう二度とできないよ、こんなこと」

最原(タイムスリップの方がまだ信じられたかもな……!)

最原「そもそも、なんでこんなことを?」

白銀「……」

モノクマ「ま、ここからはボクが話しても問題ないでしょ」

289: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 19:55:06.69 ID:/yXhUTZg0
モノクマ「あの後、一人生き残った白銀さんは言いました」

モノクマ「まだコロシアイは終わってない。一人、死ぬはずだった人間が生き残ってる」

モノクマ「これが終わらない限りは完全な終結はありえない、と」

モノクマ「で。彼女はチームダンガンロンパ全体を説得し、用意したんだよ」

モノクマ「自分のための『おしおき』をね」

最原「おしおき?」

モノクマ「……超高校級のコスプレイヤー兼超高校級の模倣犯、白銀つむぎさんのおしおき」

モノクマ「それはまさに、この学園と、蘇った超高校級の生徒全員だよ」

最原「は?」

モノクマ「まあつまり、こういうこと」


パッパラパー


最原(妙なファンファーレと共に出されたプラカードには、こう書かれていた)


『さつばつメモリアル
超高校級のコスプレイヤー兼模倣犯 白銀つむぎ処刑執行』


最原「……」

最原「……えっ」

290: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:05:52.16 ID:/yXhUTZg0
モノクマ「恋は精神病の一種、だとか抜かした有名な女子高生がいたけど、超同意だね!」

モノクマ「白銀さん、ずっと最原くんに『殺してアピール』してたのにさ! 全部空回ってたんだもん!」

モノクマ「一回目! 首謀者ルームに通してのゴリ押し! 最原くんの記憶がうろ覚えだったのでゴリ押しする必要がなくなったから保留!」

モノクマ「二回目! KAKURENBO GAMEでの誘導! 最原くんが茶柱さんと仲良くなっちゃったから頓挫!」

モノクマ「三回目! プールの増築! これに関してはボクもマジで理解に苦しむ遠回り過ぎる方法!」

モノクマ「四回目! ついに痺れを切らして直接催促! これが今日!」

最原「……待って。この学園が白銀さんのためだけの処刑台だったって?」

最原「で、その完結は僕が白銀さんを殺すこと、だった?」

白銀「……あんなクソみたいな結末あっていいはずがないでしょ?」

白銀「首謀者だけが生き残って終了、なんて」

白銀「……ありえないよ」

最原「そんな! だって僕も、夢野さんも、春川さんも決死の覚悟だったのに」

白銀「頼んでない! そんなのッ! ふざけないでよッ!」

最原「……」

291: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:16:56.46 ID:/yXhUTZg0
最原「ウイルスを投与したのもおしおきの一環?」

白銀「……今回の私はずっと首謀者で通すつもりだった」

白銀「だって、あんなことになっちゃったのはさ。最後の最後で私が本音を言っちゃったからだもん」

白銀「……ずっと敵でいれば、最原くんは私を庇って死のうなんて思わなかった」

白銀「だから今回は徹底的に敵でいたかった」

白銀「あなたの心を完璧にズタズタにしてやりたかった」

白銀「それでも、あんな結末よりはずっとマシだから」

白銀「……最原くんが私を殺した後で、モノクマがウイルスのことをバラす予定だったんだよ」

白銀「お前がやんなくても白銀さんは勝手に死んでた。徒労、無駄骨ごくろうさんって」

最原「なんでウイルスを投与したのか、わからないって言ってなかった?」

モノクマ「『意図が』わからないって言ったんだよ。理解に苦しむって意味で」

最原「ああ、そう……」

292: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:27:16.48 ID:/yXhUTZg0
白銀「……最原くんさ。初日、夢野さんに拒絶されて、ゲームルームで泣いてたでしょ?」

最原「うん」

白銀「……ここ数日、過ごしててわかったでしょ」

白銀「あの人たちは『本人』ではあるけど、コロシアイを一緒に駆け抜けた仲間と『同一人物』じゃない」

白銀「……もう、どうやったって戻ってこないんだ。あの必死だったみんなは」

白銀「……私が殺した」

最原「うん。そうだね」

白銀「……春川さんも、夢野さんも……」

最原「それに関しては僕のワガママに巻き込んだせいだ。こればかりはキミの責任にはできない」

白銀「だからバカなんだよ、キミは」

白銀「全部私のせいにしてよ。首謀者なんだよ?」

最原「……」

最原「ごめん。そんな気にはなれない」

白銀「……そっか……」

白銀「やっぱり、今回もキミに、私は完全敗北しちゃうんだね」

293: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:40:33.19 ID:/yXhUTZg0
白銀「……消える」

最原「は?」

白銀「……キミに同情の余地のない怪物のまま殺されたかったけど、もうそんな時間もないみたい」

白銀「ていうか全部思い出しちゃったんでしょ? ならもう無理だよ」

白銀「……今更ゴリ押しも利かなそう、だしね」

モノクマ「いや今更っていうか、初日のゴリ押しも成功率著しく低かったよ」

白銀「お願い。恥ずかしくなってくるから黙って」

白銀「……首謀者ルームに行く。そこで死ぬ」スクッ

白銀「そこなら誰にも見られることない、し」フラッ

最原「白銀さん!」ガシッ!

白銀「あっ……」

最原(確かに、もう白銀さんは限界だった)

最原(ベッドの上で上体を起こすだけでフラフラだ)

最原(……咄嗟に抱きしめてわかる。今にも消えてしまいそうな命の篝火の温かさ)

最原(もう、彼女には本当に時間がなかった)

最原(……)

最原(今にも消えてしまいそうだった)

最原(僕の腕の中で、息が止まってしまいそうだった)

最原(いや……多分、もう……止まる……!)

294: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:50:29.40 ID:/yXhUTZg0
白銀「やだ……やめてよ。血だらけで、汚いから」

最原「いいよ! そのくらい!」

最原「白銀さん、頑張って! 今東条さん呼んだから!」

白銀「……やめて。優しくしないで。こんなの……首謀者の死に方じゃない……!」

最原「死ななければいいんだよ!」

白銀「無茶言わないでよ……それに、私が早く死ななかったから、前回はあんな……!」

最原「もういい! 自分を責めるようなことを言わなくっていいよ!」

最原「いいから……!」

白銀「……最悪すぎる」

最原「え?」

白銀「こんな……温かくて……幸せで……フィクションみたいで……」

白銀「……大好きな人に見守られて死ぬ、とか……完全に……」

白銀「……酷い。こんなの……死んでいったみんなに、悪いよ……!」

白銀「放してよぉ……!」

最原「白銀さん……!」

295: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:55:48.21 ID:/yXhUTZg0
白銀「やだ……やだ……悲しまないで……」

白銀「……お願い……私のことは、忘れて……」

白銀「……ごめん。中途半端で、ごめん……こんなことなら、ずっと悪役でいれば」

白銀「よ……か……」

白銀「……」

最原「……」




最原「白銀さん?」

モノクマ「……」

モノクマ「救えなかった、か……」

最原「あ、ああ……あああああああ……!」

296: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 20:57:51.82 ID:/yXhUTZg0
王馬「やっほー最原ちゃん! 白銀ちゃんと抱き合ってるところ悪いけど見舞いに来たよー!」

獄原「江戸川乱歩先生のサイン色紙をお土産に持ってきたんだ! 喜んでくれるといいけど!」




白銀「えっ! 嘘っ!」パチリッ

最原&モノクマ「」

298: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 21:03:32.26 ID:/yXhUTZg0
白銀「あ、最原くん。恥ずかしいけどそのまんま抱きしめてて。じゃないと倒れちゃうから」

最原「」

白銀「わー! わー! 凄い! 筆記用具と紙は明らかに最近のものなのに、筆跡と筆圧は乱歩先生のそれそのものだー!」

白銀「こんな無茶苦茶な贋作どこで手に入れてきたの!?」キラキラ

王馬「贋作じゃないよー! きちんと先生本人にねだってきたんだってー!」

獄原「うん! いい人だったよ!」

白銀「あはは、嘘ばっかり!」

王馬「ところで白銀ちゃんが好きな乱歩作品って?」

白銀「黒蜥蜴だよ!」

キーボ「えっ。怪人二十面相じゃないんですか?」

白銀「あ、キーボくんもいたんだ」

キーボ「ひ、酷い! ずっといましたよ!」

最原「……」

モノクマ「……」

白銀「……」

白銀「……あっ」

299: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 21:06:27.44 ID:/yXhUTZg0
白銀「蘇生しちゃったよ!」ガビーンッ!

最原「いやいいんだよそれでッ! 嬉しいよ!」

モノクマ「ガチで死んでた。ガチで死んでたよ。一瞬だったけど」

王馬「ん? モノクマもいたんだ」

モノクマ「あ、ありがとう王馬くん……助かったよ……!」ホッ

王馬「?」

300: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/10(水) 21:11:47.78 ID:/yXhUTZg0
モノクマ「しかしこんなアイテムをどこで……モノモノマシーンに入れてたっけな?」

最原「……」

最原「……まさか……」



同時刻 中庭

アンジー「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」


ズギャァァァァンッ!


水木しげ●「……」

アンジー「ダメだーーー! もう変な妖怪しか出せない! さっきから失敗続きーーー!」orz

真宮寺「大妖怪だヨ!?」ガビーンッ!


まだ召喚術は続いていた

309: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 20:34:35.67 ID:BEqoKQUs0
十分後

東条「……私のいない間に、一瞬とはいえ心肺停止……」

東条「そう。そうなのね。ふふ」

東条「私は今から超高校級のメイドではないわ。超高校級のゴミクズと呼んでちょうだい」ガタガタ

最原「責任感じすぎだよ! 死んでないから大丈夫だって!」

東条「燃えるゴミの日に出して頂戴」ガタガタ

最原「やめてって! 東条さんほど頼りになる人はいないんだからさ!」

東条「……」

東条「でも実際問題、かなり深刻よ」

東条「心臓発作、脳梗塞などの深刻な病気は一度なったことがあるってだけでも人体に深刻な爪痕を残す」

東条「平たく言えば『死にかけた人は死にやすくなる』のよ」

東条「……外に出て、ちゃんとした医療機関に連絡できればいいのだけど……」チラッ

モノクマ「無理」

東条「……はあ」

310: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 20:41:08.36 ID:BEqoKQUs0
東条「四日……後の四日が長いわね」

最原「あ、そうか。四日経てば、この番組は終わりなんだっけ」

東条「そのころに、彼女が生きてさえいればなんとか希望は見えてくる、はず」

東条「……本当に無力な自分が歯がゆいわ」

最原「大丈夫。絶対に彼女は死なせないよ」

東条「え?」

最原「あの病気、見たことがあるんだ。僕の友達も同じ病気だった」

最原「結構長い間耐えてたから、四日くらいは大丈夫だと思う」

東条「で。その友達は今どうしてるの?」

最原「……」

最原「死んだ」

東条「あなた人を慰める才能皆無ね」

311: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 20:49:07.25 ID:BEqoKQUs0
東条「でもそうね。あなたが傍にいるのといないのとでは話が違うでしょう」

東条「頼んだわよ」

最原「うん」

東条「また何かあったらナースコールで呼んで」

東条「この超高校級のゴミクズを!」

最原「もういいって! それは!」

東条「……ふふ」

最原(じょ、冗談か……? 冗談だったのか?)

313: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 20:59:35.95 ID:BEqoKQUs0
医務室

最原「……あ。そういえばここ、元はと言えば東条さんの部屋だったな」

最原「今日、どこで寝るつもりなんだろう」

白銀「あ。私の部屋の鍵を貸したよ。中の掃除は既にモノクマが完璧にやってる」

モノクマ「頑張りました!」

最原「……白銀さん。大丈夫?」

白銀「もちろん大丈夫じゃない、けど……」

白銀「はは。もうよくわからないんだ」

白銀「……一度寝るね。明日起きれるかな」

最原「起きてね。絶対」

白銀「……うん」

白銀「あ。そういえばさ。東条さんと部屋の外で何話してたの?」

最原「百田くんのこと」

白銀「え? 百田くん? なんで?」

白銀「……ま、いいか。おやすみ」

白銀「……」

白銀「……おやすみのチューとかは?」

最原「寝て」

314: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 21:07:35.40 ID:BEqoKQUs0
モノクマ「……よし。もう寝たな。最原くん。明日、話があるから首謀者ルームに来て」

モノクマ「朝一。大体七時以降にね」

最原「え? あ、うん」

モノクマ「じゃ、ばーい!」


ドロン


最原「……なんだろ。こんな急に改まって」

最原「あ、でも今は白銀さんを死なせたくないって点では利害が一致してたんだ」

最原「もう警戒する必要はない、のかな」

ガチャリンコ

百田「……おう。終一。白銀は寝たのか?」

最原「あ、百田くん」

百田「しかしお前も趣味が悪ィな。普通、女の寝顔なんて凝視してたらひっぱたかれるぞ」

百田「実際俺はハルマキにひっぱたかれた!」

最原「なにしてるの百田くん。いや、何してたの」

315: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 21:18:15.25 ID:BEqoKQUs0
百田「……まあお前なら大丈夫、と思ってコイツも寝たんだろうな」

百田「見舞いに来たのはいいが、俺はどう考えても邪魔だ」

百田「白銀が起きたら言ってくれ。宇宙に轟く百田解斗がお前の見舞いに来てたんだってな」

百田「あばよ」

最原「あ……」

最原「……」

最原「えっと、百田くん。ちょっと相談したいことがあるんだけど」

百田「あ?」

316: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 21:35:04.42 ID:BEqoKQUs0
最原「例えばの話、ね。好きな人が誰かを殺したとしてさ」

最原「その好きな人が、そのことでずっと気に病んでたとしたら」

最原「……どうするべきなのかな。気にするなって言っても無駄だよね」

百田「あ? そりゃあ……」

百田「……」

百田「徹底的に許してやるしかねーだろ」

最原「え?」

百田「自分自身を責めるってのは余程のことだろ」

百田「外野がどうこう言おうが、そいつは絶対に自責をやめない」

百田「親からの言葉だろうが、恋人からの言葉だろうが効きやしねーんだ」

最原「……うん」

百田「だからこう言ってやれ。お前がお前をいくら責めようが関係なく、俺はお前のことを絶対に許すってな!」

百田「お前がお前自身を傷つけ続けるなら、俺はお前のことをそれ以上に癒してやる!」

百田「仮に世界中がお前のことを責め立てても、俺はお前のことを許している!」

百田「そのことだけは絶対に忘れんな! ってよ!」

最原「……」

318: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 21:47:37.89 ID:BEqoKQUs0
最原「許す。許す、か」

最原(……春川さんはあのとき、白銀さんにありったけの呪いを込めて助けた)

最原(その行動自体は責められない。確かに白銀さんは許されないことをした)

最原(でも……!)

百田「もしもよ。世界やそいつ自身がそいつのことを責め立ててるのなら」

百田「テメェまでそいつを責める必要はねぇんだ」

百田「もしもテメェがそいつを責めたいと思ったそのときには、他のヤツが既にそれを代わりにやってるわけだからな」

百田「テメェは思う存分、心置きなくそいつを許してやりゃーいい」

最原「……そっか」

最原(僕はもう、白銀さんの罪を暴く必要はない。責める必要もない)

最原(そういうのは、彼女自身や春川さん、他の誰かがやっている)

最原(なら、僕は……!)

319: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 21:55:56.56 ID:BEqoKQUs0
最原「うん。ありがとう百田くん」

百田「いいってことよ。ところで」

最原「うん?」

百田「浮気はよくねーよ」

最原「うん!?」

百田「いや、この学園で人を殺したことのある人間なんてハルマキしかいねーじゃねーか」

百田「わかりやすすぎんぞ」

最原「はあ!? ち、違っ……!」

百田「……なんてな。テメェは一途な野郎だ。そんなわけねーよな」

最原「……!」

百田「今度こそ行くぜ。あばよ」


スタスタスタ


最原「……なんだかな。締まらないなぁ、百田くん」

320: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 22:01:17.90 ID:BEqoKQUs0
最原「……白銀さん。僕は、キミを……」

最原「……いや。起きたら言うよ。キミに」

最原「だから絶対に死なないで」

最原「明日の朝も、ちゃんと起きて」



同時刻 首謀者ルーム


モノクマ「さあ! 明日はパーティの時間だ!」

モノクマ「オラ、ガキどもっ! さっさと準備するんだよッ!」

モノクマーズ「はーい!」

モノクマ「……」

モノクマ「うぷぷ。最原くんの目の玉が飛び出る様が目に浮かぶよ」

321: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/11(木) 22:09:10.29 ID:BEqoKQUs0
更に同時刻 中庭

天海「すっかり夜も更けてきたっすね」

真宮寺「本当に、彼女の召喚術はどうなってるんだろうネ」

アンジー「はぁーっ……はぁーっ……次が最後!」

アンジー「お願い! そろそろ来て! 神様!」


ズギャァァァンッ!


なんか復讐しそうな人「クハハハハハハ! 俺を、呼んだな!」

アンジー「」

天海「絶対にアンジーさんの神様ではないことだけは確かな人が来た!」ガビーンッ!

真宮寺「終わりだネ。これで」

アンジー「……」ボキリ

天海「ああ! 心が音を立てて折れたっす!」

アンジー「……」ポンッ

なんか復讐しそうな人「クハ?」

アンジー「今日からお前がアンジーの神様だ」ギンッ

天海「妥協したッ!」ガビーンッ!


アンジーの中の何かが死んだ

325: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:04:53.34 ID:uVAK/wpG0
???

白銀「あれ。ここ、どこだろ。さっきまで私、何してたんだっけ」

白銀「……まあどうでもいいか。綺麗な花畑だし。撮影に使えそうなくらい」

夢野「……んあっ!? おい! ハルマキ! ハルマキ!」バッシバッシ

春川「何、夢野。そんな背中叩かなくっても聞こえて……あっ」

白銀「ん? 川の向こう側に春川さんと夢野さんがいる」

春川「……」ガチャガチャ

白銀「おーい! 春川さーん! そんなところで何してるのー! ねー!」

春川「よし」ジャキィィィン

白銀「……あ、あれ。何か組み立ててるなと思ったらアサルトライフルじゃん、あれ」

白銀「ね、ねえ。こっちに向いてない? ちょ、あれ、もしかして、あわわっ!」

春川「まだこっちに来るなーーーッ!」ドバババババッ

白銀「うわあああああああッ!?」ガビーンッ!

326: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:15:16.27 ID:uVAK/wpG0
医務室 朝七時

白銀「――あああああああ! やめて春川さーーーん!」ガバァ!

春川「えっ」ガビーンッ

夢野「……春川よ。お主、白銀の夢の中で何を……」

春川「知らないよ……! 私のせいじゃないから……!」

白銀「はあ……はあ……あー、酷い悪夢見た。春川さんがアサルトライフルをぶっぱなしてたことしか覚えてないけど」

春川「アンタの中の私のイメージどうなって……」

春川「て、ああそうか。アンタは初日から知ってたんだっけ」

白銀「……おはよう。春川さん、夢野さん」

白銀「はは。生きてる。眠ったまま死んじゃうんじゃないかって心配だったけど」

夢野「安心せい。きちんと生きておるぞ」

白銀「……最原くんは?」

春川「起きてすぐに最原? 随分と入れ込んでるね」

夢野「最原ならウチたちと入れ替わりでどこかに行ったぞ?」

夢野「それまでは一晩中、お主の傍にいたようじゃな。目の下にクマができておった」

白銀「……そっか」

327: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:29:19.01 ID:uVAK/wpG0
白銀「二人は? お見舞いに来てくれたの?」

夢野「そうじゃ。本当はアンジーも連れてきたかったんじゃが……」

春川「『神様が逃げた! ごめん、捕まえたらすぐに行くから!』とか変なことを言って断られたんだよね」

白銀「なにそれ?」

春川「いや、アイツが変なことを言っているのは今に始まったことじゃないでしょ」

夢野「まあ来ると言うてるんじゃからすぐ来るじゃろ」

夢野「さて、じゃあ始めるとするかの。マジカルショー。白銀に笑顔を届けるんじゃ!」

春川「その前に食事。ちょっとは食べないと、ね」

春川「その後は歯を磨いたり髪をといたり、まだ色々やることあるから」

白銀「……本当に超高校級の保育士っぽいね」

春川「余計な口叩かない。殺されたいの?」

白銀(……もう、ダメだなコレ。最原くんは私を裁くわけないし)

白銀(おしおきとして完遂しない方が絶望的なおしおきって……)

白銀(でも結果的にこれでよかったのかも。どちらにしても私はウイルスで死ぬ)

白銀(……退路を断っておいて本当によかった)

白銀(そういえば、最原くんはどこに行ったんだろう……?)

328: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:32:06.12 ID:uVAK/wpG0
首謀者ルーム

パンッパンッパンッ

最原(電灯が落とされた部屋に入った僕を出迎えたのは、銃声……)

最原(ではなく、クラッカーの音だった)

最原(そして明かりがすべて点灯。そこにあった光景は……)

モノクマ「おめでとー! 本っ当におめでとー!」パチパチ

モノクマーズ「おめでとー! わーい!」

最原(何故か僕を祝福するモノクマーズとモノクマ。あと一面パーティっぽく飾り付けられた部屋だった)

最原「何が!?」ガビーンッ!

329: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:35:20.94 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「さあ最原くん! 暗い話はここで終了!」

モノクマ「ここからは希望に満ち溢れた全編オールハッピーなストーリーの幕開けだーーーッ!」

最原「は?」

モノクマ「モノダム。あれ渡して」

モノダム「ハイ。コレ、カケテ」

最原(モノダムが渡してきたのはタスキだ。そこにはこう書かれていた)


『今日から首謀者』


最原「えっ」

モノクマ「白銀さんは死亡しました。まあすぐ蘇生したけど、それは置いといて」

モノクマ「おめでとう! あなたは白銀さんに次ぐ第二の首謀者として選ばれました!」

モノクマ「ていうかボクが選びました!」

モノクマーズ「超おめでたーい!」

最原「はい!?」ガビーンッ!

330: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:40:36.85 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「最後の学級裁判を経ずに首謀者が死んだ場合の特別措置だよ」

モノクマ「学園の真実、外の世界の真実を教えて、コロシアイの運営を引き継がせるっていう趣旨の」

モノクマ「あ、ちなみにね。本当ならここでボクがオマエに対して『白銀つむぎの記憶すべて』の思い出しライトを浴びせる必要があるんだけど」

モノクマ「もう必要ないよね! だって最原くん、外の世界の真実を既に知ってるから!」

最原「え。え。え」

モノクマ「首謀者の資格は『コロシアイの運営を行えること』と『外の世界の真実を知っていること』」

モノクマ「そして『最後の学級裁判で参加者たちに立ちふさがること』」

モノクマ「最原くんならオールオッケー! すべての条件をたまたま満たせる!」

モノクマ「これからよろしくね、相棒!」ポンッ

最原「」

331: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:45:46.24 ID:uVAK/wpG0
モノタロウ「よろしくね! 新しい首謀者さん! 前の首謀者、オイラ嫌いだったんだ!」

モノタロウ「……あれ。前の首謀者って誰だったっけ」

モノファニー「もういいのよ、思い出さなくって。これからは新時代の幕開けだもの」

モノキッド「さあ! この学園を面白おかしくヘルイェーして行こうぜ! 新首謀者!」

モノスケ「予算についての相談はワイに任せといてや」

モノダム「ジャ、パーティヲ続ケヨウヨ。最原クン、ソファニ座ッテ」

モノダム「オラガオレンジジュースヲ持ッテキテアゲルヨ」

最原(急に馴れ馴れしいモノクマーズが壊滅的にうざったい!)

332: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 12:50:33.54 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「じゃ、そのついでに引き継ぎの教育を行うね」

モノクマ「一番大事なことを言うよ。首謀者に対して、モノクマは基本的に『素直』なんだ」

モノクマ「普段は誤解を与えるような遠回りで、説明不足な言動だけどね。首謀者に対してその必要はない」

最原「あ、ああ、うん……」

モノクマ「今まで言えなかったことを言うよ。キミに!」

モノクマ「特効薬は『ボクの手の届く場所には』ありません!」

最原「ッ!」

モノクマ「でもこの学園にはあるんだ!」

モノクマ「……よかった! 言えた! おっしゃあ!」グッ

333: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:02:29.55 ID:uVAK/wpG0
最原「それ、どういうこと!? モノクマの手の届かない場所って!?」

モノクマ「出口……のダミーに続くデスロード、あったじゃない?」

モノクマ「あの先に隠しておいたんだよ」

モノクマ「実はこのおしおき『さつばつメモリアル』のフィナーレは白銀さんが用意したものとボクが用意したものの二通りあるんだよね」

モノクマ「ボクが用意したフィナーレ。それはね」

モノクマ「はい、モノクマ&モノクマーズ茶番劇場、始まり始まりー」

最原「は?」

334: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:09:52.92 ID:uVAK/wpG0
茶番劇場

白銀コスモノファニー「最原くん……アタイ、やっぱり生きたい!」

白銀コスモノファニー「生きてもっと最原くんと    したいの!」

最原コスモノタロウ「……」

最原コスモノタロウ「……」

モノスケ「……」

モノスケ「アイツ台詞忘れおったな」

最原(ぐだぐだすぎて茶番と言うのもおこがましい!)

モノクマ「そして最原くんの決死の説得により、白銀さんは生きる意志を取り戻しました」

最原(そんなシーンは無かったけど、ゴリ押すつもりなのか……)

モノクマ「そして、希望に縋ろうとする二人にボクはこう言ってやったのです!」

モノクマ「今なら出口に続くデスロードの先に特効薬置いておいたよ、と!」

モノクマ「ただ特効薬ポップの条件は白銀さんと一緒にデスロードに挑戦すること、だけどね、とも言いました!」

最原「……段々話が見えてきたぞ」

335: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:15:38.68 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「そして二人は果敢にデスロードに挑戦するのです! 明日を掴むために!」

モノクマ「ですが、既にボロボロになった白銀さんにそんな力はなく」

モノクマ「それを庇おうとする最原くんも更にボロボロに」

最原「ん? ストップ。あのデスロードって確かに意地は悪かったけどさ」

最原「致死性の罠や大怪我する類の罠は一つたりとも無かったよな?」

モノクマ「あ。ごめん言い忘れてた。白銀さんが生きる意志を取り戻すことを決めた時点でデスロードの致死率を上げる予定なんだ」

最原「え?」

モノクマ「しかも一度入ったら死ぬか、あるいは特効薬を手に入れるしかないんだよ」

モノクマ「正真正銘のおしおきだね」

最原「……」

モノクマ「ということで、ボクの考案したもう一つのおしおきのフィナーレはこうです。べんべん」

336: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:23:29.72 ID:uVAK/wpG0
最原コスモノタロウ「ぐあっはーーー! もうダメだー!」

白銀コスモノファニー「あ、ああ……三途の川の向こうで知らないおばあちゃんが手を振ってる……」

最原コスモノタロウ「……」

白銀コスモノファニー「……さ、最原くん? どうしたの? ねえ、目を開けて……」

白銀コスモノファニー「……アタイはまたしても最原くんを、殺しちゃったのね……」

白銀コスモノファニー「そんなつもりじゃなかったのに……」

最原「……」

白銀コスモノファニー「ま、いっか! こういうこともあるわよね!」

最原「ないよ!?」ガビーンッ!

白銀コスモノファニー「さーて、今日の晩御飯は何にしようかしら――」

モノキッド「汚物は消毒だーーーッ!」


ボォォォ!


白銀コスモノファニー「ぎゃああああああ火炎放射ーーー!」


THE END
GAME OVER


モノクマ「ちゃんちゃん」

338: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:29:25.46 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「どうだった? ボクの息子たちによる茶番は!」

最原「とても不快だった」

モノクマ「そう! ありがとう、最高の誉め言葉だよ!」

最原「……」

最原「特効薬の存在は本物なんだよね?」

モノクマ「首謀者のキミには嘘は言わない。絶対に特効薬は存在する」

モノクマ「ただそれをボクが持ってくることはできないってだけ」

最原「そうか」

モノクマ「……問題点は二つ。まず『白銀さんに生きる意志がないとスイッチが入らない』ってこと」

モノクマ「最原くんがどうにかして」

モノクマ「二つ目の問題点は、おしおきである以上、デスロードの難易度はナイトメア」

モノクマ「……入ったらほぼ死ぬ。希望はない」

最原「……」

339: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:42:13.93 ID:uVAK/wpG0
最原「……病気で既に弱っている彼女に、生きる意志を持たせる?」

最原「そんな……そんなの、とても……」

モノクマ「諦めるの?」

最原「違う。諦めたくなんかない。でも……」

モノクマ「……」

モノクマ「オマエさ、いい加減にしろよ」

最原「え?」

モノクマ「そもそも白銀さんがあんなふうになっちゃったの、全部オマエのせいじゃんか」

最原「ッ!」

モノクマ「白銀さんに愛を教えて、罪悪感を芽生えさせたのも」

モノクマ「彼女の描く最高のハッピーエンドを勝手な自己犠牲で台無しにしたのも」

モノクマ「全部最原くんじゃんか」

最原「……」

モノクマ「……別にいいよ。やんなくっても。ただその場合、ボクはオマエを許さないけどね」

モノクマ「許さないだけで特に何するってわけじゃないけど!」

最原(何もしないのか……)

341: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 13:55:10.06 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「白銀さんを生かした責任、ちゃんと取れよな! 人を生かすのって殺すのと同じくらい責任重大だぞ!」

モノクマ「……」

モノクマ「あ、ところで最原くん。色々お菓子取り揃えてるけど、どれから食べる?」

モノクマ「ポッキーとトッポ、どっちが好き?」

最原「パーティ続行するの!? 僕に説教した直後で!?」

モノクマ「うん。せっかく用意したんだしね」

モノクマ「今のところ白銀さんの調子も良さそうだし、多分大丈夫でしょ」

モノダム「ハイ、オレンジジュース」

最原「ああ、ありがとう」ゴクリ

最原「……」バターンッ

最原「ぐー」スヤァ

モノクマ「よし。寝たな。徹夜とか頑張りすぎだよ最原くん」

モノクマ「しばらくここで休憩ね」

343: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 14:13:43.05 ID:uVAK/wpG0
場所は伏す。神様(仮)を追う珍道中

なんか復讐しそうな人「幕としよう。最後の舞台で、おまえの魂は真に堕ち果てるのだ」

なんか復讐しそうな人「だが、もしも」

なんか復讐しそうな人「おまえが歩み続けると叫ぶのならば!」

なんか復讐しそうな人「おまえが! 未だ、希望を失っていないのならば!」

なんか復讐しそうな人「悪(オレ)を――!」

アンジー「神様あああああああ!」

天海「……」

天海「アンジーさんに連れられてきたっすけど、ここどこっすか?」

真宮寺「実に興味深いネ。監獄かな?」

天海「どうしてこんな場所に来ちゃったんすかね?」

344: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 14:14:43.95 ID:uVAK/wpG0
休憩!

345: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 17:02:42.78 ID:uVAK/wpG0
食堂

王馬「……」

王馬「アンジーちゃんのところでつまらなくない何かが起こっている気がする」

百田「何言ってんだテメェ」

キーボ「放っておきましょう。彼の言葉が意味不明なのはいつものことです」

細長星「悪いな東条。なにもこんな日くらい俺たちの料理なんて放っておけばいいだろうに」

東条「いいのよ。メイドですもの」

百田「悪い東条。後で星の整体も頼む」

獄原「まだ治ってなかったんだね……」

346: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 17:22:24.62 ID:uVAK/wpG0
バキバキバキッ

元に戻りつつある星「しかし忘れてたぜ。俺たちは誘拐されてきたんだったな」

元に戻りつつある星「……ふっ。俺が日和っちまうとはな。所詮俺も高校生、か」

百田「そんなん俺も忘れてたっつーの」

キーボ「……楽しかったですよね。夜に騒いだり、プールに行ったり」

王馬「プールに関してはキー坊は見てただけだったけどね!」

キーボ「……」

王馬「見てただけだったけどね! 見てただけだったけどね!」

キーボ「何回も言わないでください」

百田「あとの数日もこんな日々が続いてくもんだと思ってたぜ」

東条「そこは外の世界と一緒よ。どんなに楽しくっても、ある日急に終わってしまうこともある」

東条「……元から人生ってそういうものよ」

百田「……だあー、クソッ! 暗くなんな!」

百田「大丈夫だ! 白銀はぜってぇーに死なない! 傍に終一が付いてんだろうが!」

王馬「えっ? いやついてないけど」

百田「あ?」

王馬「朝に夢野ちゃんと春川ちゃんが目撃したっきり、白銀ちゃんの部屋に来てないよ」

百田「マジか!」ガビーンッ

347: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 17:36:59.86 ID:uVAK/wpG0
東条「私も夜には何回か見回りに行ったのだけど、そのときもずっと最原くんは白銀さんの傍にいたわ」

東条「おそらく徹夜で彼女のことを見守ってたんでしょう。朝に二人が来たから安心して自室に帰って……」

東条「そのまま寝ている、のかしら? まあ頑張ってたから寝かせてあげましょう」

百田「そうか……ヤロー、あのまんま寝ずに……」

百田「……」

百田「なら俺たちが代わりに見舞いに行くしかねぇ!」

王馬「うっわ、さりげなく俺のことも巻き込んだよ」

獄原「うん。でも行かないわけにもいかないよ。心配だし」

百田「元気づけてやるぜ! アイツの好きな物は漫画、アニメ、ゲームか?」

百田「ならそうだな……図書室に行ってなにかしら見繕ってくるか!」



首謀者ルーム


モノタロウ「フィーバー! フィーバー!」

モノファニー「南南西を目指してパーティを続けるのよ!」

モノスケ「主賓抜きで随分と盛り上がっとんな」

最原「うーん……うーん……」グギギ

モノダム「凄クウナサレテルネ」

モノキッド「ミーのギタークラッシュ芸を見やがれオラーーーッ!」

バキィッ

モノキッド「あっ」

モノクマ「あっ。ドアが壊れた」


バチバチッ


モノクマ「げ、げげっ! なんかイヤな予感!」

348: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 17:44:40.53 ID:uVAK/wpG0
図書室

百田「図書室についたぜ! さあ! アイツが好きそうなマンガをさらうぞ!」

星「……ん? なにか聞こえねーか?」


ギャーギャーワーワー


王馬「悲鳴? これはモノクマとモノクマーズ、かな?」

獄原「あ。こっちから聞こえるよ」

東条「……本棚だけど?」

キーボ「ああ、でも確かに『壁の中から聞こえる』としか言いようが……」


ドカァァァァンッ!


キーボ「おでゅっせい」バキィッ!

百田「本棚が吹っ飛んだーーーッ!」ガビーンッ!

王馬「キー坊も吹っ飛んだーーー!」ワーイ!

獄原「キーボくーーーんッ!」

349: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 17:53:22.89 ID:uVAK/wpG0
シュウウウウ

百田「な、なんだァ!? 本棚の向こう側が、爆発、したのか?」

王馬「けむいよー! キー坊マジで最悪だな!」

キーボ「ボクのせいじゃありません。あの、そんなことより本棚をどかして……」ジタバタ

獄原「ゴン太に任せて!」

東条「一体何が……!」

モノクマ「……あわわわわ」

モノクマーズ「わー! 逃げろー!」

モノクマ「あっ、ちょっ! 息子たち! まだ説教が終わってな――」

モノクマ「……」

モノクマ「ボクも退散しよっと」

星「させると思うか?」ガシッ

モノクマ「」

東条「ここは……何かのパーティ会場?」キョロキョロ

王馬「ん? 誰かいるよ」

百田「お。終一じゃねーか」

最原「……すぴー」スヤァ

百田「……で。なんだ?」




百田「この『今日から首謀者』って書かれたふざけたタスキ。なんでこんなもんかけてんだ?」

全員「……」

350: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 18:01:08.96 ID:uVAK/wpG0
星「起こすか」

百田「そうだな。おいコラ起きろ終一テメェ! 白銀が大変なときに何やってんだ!」ガクガクユサユサ

最原「……ん? あ、れ。百田くん? みんなも……」

最原「……」

最原「……?」キョロキョロ

最原「……」

最原「あっ!」ガビーンッ

百田「あっ、じゃねーよ! 状況を説明しろコラ!」ガクガク

東条「最原くん……まさか、あなたが首謀者だったの?」

最原「ええっ! 何言って……」

最原「……」←自分のタスキを確認した

最原「ああっ!?」ガビーンッ

百田「ああっ、じゃねぇーーーッ!」ガクガク

星「状況の説明を求める。モノクマ、最原両名にだ」

星「黙秘権はない。この閉鎖空間にそんな生易しいものはない」

王馬「確か入間ちゃんが最原ちゃんの研究教室の薬を魔改造して自白剤作ってたよね?」

最原「」

星「正直に答えろ。自白剤は脳への負担が凄まじいからな?」ゴゴゴゴゴ

351: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 18:09:48.54 ID:uVAK/wpG0
最原「ち、違うよ! 僕は首謀者じゃなかった! 昨日までは!」

星「ほう。それは興味深い話だな」

星「よし王馬。入間から自白剤を借りてこい」

東条「安心して。致死量に至らないように私が管理するわ」

王馬「すぐに帰ってくるねー」タッ

最原「ええっ!?」ガビーンッ

百田「よせよせ! この期に及んでコイツが嘘吐くわけねーだろ!」

百田「おい終一! さっさと知ってること全部吐け!」

百田「昨日まで首謀者じゃなかったって、どういうことだ?」

最原「え、ええっと……つまり僕は代理でモノクマに首謀者に認定されて……」

キーボ「モノクマに? 本当ですか?」

モノクマ「……うん。はい。ボクが認定しました。資格があったので」ショボーン

獄原「資格?」

東条「それは後にしましょう。代理ということは……」

星「本当の首謀者が、最原の他に存在したってこと、だな?」

最原「!」

星「誰だ?」

最原「言わない」

百田「おい!」

最原「……死んでも言うもんか!」

星「自白剤を投与する準備だ。東条」

東条「了解したわ」

百田「やめろ二人とも! 終一も吐いちまえ! コイツらマジだぞ!」

最原「……」

352: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 18:13:15.42 ID:uVAK/wpG0
最原「……言わない……!」

星「そうか。残念だ」

東条「ええ。残念ね」

百田「終一……」

星「まさか白銀が首謀者だったとはな」

最原「え」

東条「最原くんが死んでも庇いたくなるような相手なんて彼女しかいないわよね」

獄原「あ、そっか」

最原「」

百田「……盛大に墓穴掘ったな、終一……」

353: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 18:22:10.13 ID:uVAK/wpG0
最原「……」

星「この学園生活は楽しかった。娑婆にも出られたわけだしな」

東条「ええ。そうね。中々得難い体験だったわ」

星&東条「まあだからと言って誘拐していい理由にはならない(けど)(が)」

キーボ「どうします?」

東条「ひとまず拘束ね」

星「後のことは全員で決める」

モノクマ「やめろー! 学園長への暴力は校則違反だぞー!」ジタバタ

星「それ以上動いたら最原を殺す」

最原「」

モノクマ「」

星「代理とは言え、首謀者が死んだらお前も都合が悪いんじゃないか?」ギンッ

最原&モノクマ「」ガタガタ

354: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 18:26:49.93 ID:uVAK/wpG0
星「……連行だ」

東条「行くわよ」ズルズル

モノクマ「あー! あー! あー!」

最原「……」

百田「終一……」

獄原「……ねえ。連れていかれちゃったけど、どうしたらいいの?」

獄原「最原くんは、仲間じゃなかったの?」

キーボ「……それは」

百田「仲間に決まってんだろ」

獄原「!」

百田「俺は終一を信じる。絶対にな」

355: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 18:28:35.60 ID:uVAK/wpG0
休憩します!

356: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 19:45:32.68 ID:uVAK/wpG0
食堂

茶柱「えー。では第一回、最原さんパニッシュメントの時間です」

茶柱「転子ですか? 転子はもちろん最原さんを有罪にしたいです」

茶柱「が、しかし一応民主国家出身の茶柱転子。独断で人を裁くのはよくありません」

茶柱「ので、病欠かつ真の首謀者だった白銀さんを除いた全員で、彼女に秘密裏で行いたいと思います」

茶柱「拘束具の提供は星さんです。ふっ、手錠   大好きなド変 らしい姿ですね、最原さん」

最原「うう……」ガチャガチャ

モノクマ「何故ボクまで。何故ボクまで」ガチャガチャ

茶柱「なお、最原さんが偽証をしたという疑いが出た場合、入間さん提供の自白剤を使う手筈になっております」

茶柱「投与は東条さんが安全に配慮した上で行います」

茶柱「……ただし、この場合の安全とは『必要最低限の安全』です」

茶柱「命以外のすべては保証しませんので悪しからず」

茶柱「さて。何から始めます?」

王馬「拷問だ! 拷問にかけろ!」

百田「王馬の言うことは気にすんな。言ってるだけだ」

357: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 19:53:01.52 ID:uVAK/wpG0
赤松「ね、ねえ。ひとまずこの話し合いの是非は置いといてさ」

赤松「心配事が一つあるんだけど」

茶柱「白銀さんの傍に誰もついていないことが心配ですか?」

茶柱「……大丈夫です。この場に最原さんがいる限りは」

赤松「え?」

最原「モノチッチっていう超極小の六体目のモノクマーズがいるんだ」

最原「群生型のモノクマーズ、つまり大量にいて一体ってカウントなんだけど」

最原「何らかの要因で電波障害になってない限り、そいつが学園全体を監視してる」

最原「白銀さんに何かがあったら、首謀者の僕にモノクマが異変を伝えるよ」

東条「何らかの方法で私たちを監視している、とは思っていたけど。まさか目に見えないほど小さなロボットが正体だとは、ね」

百田「どんな技術力してんだ?」

入間「……後で捕まえて確認してみっか。本当にいるんなら多分可能だ」

358: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:03:34.99 ID:uVAK/wpG0
真宮寺「まず最初。真っ先に確認したいことがあったんだよネ」

真宮寺「……僕たちを誘拐して、一体何が目的だったんだい?」

最原「……えーっと、今回は……モノクマ。一応これも外の世界に見せてるのか?」

モノクマ「一応ね。まあ視聴率は前と比べると下がってるけど」

最原「そうか。わかった。目的は『外の世界』に見せるため。つまり番組っていう表現は誇張でも比喩でもないんだ」

百田「俺たちのことを外の世界が見てたってのか?」

天海「……待ってください。それってどの程度?」

天海「俺たちのことは極小のモノクマーズが監視してたんすよね。つまり……」

茶柱「……あっ! その気になれば転子の着替えシーンとかも撮影し放題ですよね! 誰も気づかないんですから!」

茶柱「ぐあっはーーー! 外の世界に戻りたくないーーー! 恥ずかしい!」

最原「ええっと……モノクマ? どうなの?」

モノクマ「ああ。前回のときと撮影形態は一緒だよ」

最原(やっぱりキーボくんが視聴者代表だったのか)

最原「じゃあ、大丈夫かな。それは安心していいと思う」

茶柱「信用するとでも!?」

春川「やめなよ。そこを突いても仕方ない。ある程度最原の言葉を信用しないと尋問の意味がないでしょ」

359: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:13:49.12 ID:uVAK/wpG0
赤松「最原くんが首謀者なら……いや、首謀者代理ならさ」

赤松「私たちを今すぐここから出してよ! せめて白銀さんだけでもさ!」

赤松「彼女、このままじゃ死んじゃう……!」

最原「そうしたいのは僕だって同じだけどさ」

モノクマ「無理だよ。ボクたちにその権限はないんだ。十日と決めたら十日経つまで誰も出られない」

赤松「そんな!」

獄原「だから白銀さんも外に出なかったんだね……」

最原「そういうわけじゃないんだけど……」

東条「……もしかして、なのだけど」

東条「彼女のあのウイルスって、誰かに意図的に投与されたもの?」

最原「……凄いね。なんでわかったの?」

東条「あなたが、あのウイルスについてやたら詳しそうだったから。もしかしたらって……」

百田「クソッ! 実際そうだってのかよ……!」

入間「……」

360: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:23:06.70 ID:uVAK/wpG0
入間「……おい。今、なんつった?」

王馬「入間ちゃん?」

入間「意図的に投与されたウイルスだァ……?」

入間「もう一つ確認してぇ。あのウイルス、もしかして作ったヤツか?」

入間「テメェら番組側が作って地味眼鏡に投与したってことか?」

モノクマ「うん。おおよそその理解で合ってるよ」

入間「……」

入間「じゃあ特効薬ないしワクチンの存在は絶対にあるってことじゃねーか!」ガビーンッ!

入間「ウイルス兵器ってのは、それを使う自分たちが食らって自爆しないようにする防護機能もセットで初めて完成だ!」

入間「ああ、クソッ! 一晩中悩んでた時間を返せ! 俺様の肌年齢が五十億歳ほど縮んだじゃねーか  カスが!」

王馬「うわぁ! 入間ちゃんがまともなこと言ってる! 今日は空からアメーバでも降ってくるなコレ!」

入間「どういう意味だツルショタ、コラ!」ウガァ!

百田「も、モノクマ! どうなんだ! 入間の言ってることは――」

モノクマ「正しいよ。特効薬はある。しかも、この学園にね」

361: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:29:43.63 ID:uVAK/wpG0
アンジー「……主は言っていました。待て、しかして希望せよ、と……!」

アンジー「具体的にどこにあるの? アンジーが取ってきてあげるよ」

最原「ん? アンジーさん、何その帽子」

天海「そのことについて語るには時間がかかりすぎるので後にしてほしいっす」

真宮寺「聞くも涙、語るも涙の大冒険があったとだけ言っておくヨ」

最原「?」

モノクマ「……ダメだ。今は誰も特効薬に手を伸ばすことはできない」

モノクマ「白銀さんが『生きる意志』を見せないとダメなんだよね」

アンジー「生きる意志?」

最原「デスロードのこと、かいつまんで話すね」

362: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:39:53.48 ID:uVAK/wpG0
かくかくしかじかくはははは

百田「デスロードのスイッチを入れるのには白銀が生きる意志を持たないとダメ、か」

赤松「でもスイッチが入るとデスロードの難易度は上昇。致死率も跳ね上がる……」

王馬「ついでに白銀ちゃんがデスロードに参加しないと特効薬のポップはないというオマケ付き」

王馬「……意地が悪いね。まるで彼女を殺しにかかってるみたいだ」

モノクマ「実際そうだからね。いや、そういう建前をしておかないと特効薬を手に入れることができなかったからさ」

モノクマ「ボクの会社はとても趣味が悪いんだ」

星「……なるほどな」

キーボ「後に残った問題は……」

東条「番組側の人間、最原くんと白銀さんをどうするか、ね」

茶柱「……」

茶柱「なんのために白銀さんにウイルスを?」

モノクマ「……それは色々込み合った事情があってね。外の世界の真実に関する情報も語らないといけない」

モノクマ「だからボクは言えないよ。言うんなら最原くんが」

最原「……ええと……」

百田「……」

363: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:47:26.39 ID:uVAK/wpG0
最原「……ごめん。今は言えない。外に出たら必ず話すよ」

星「そんな都合のいい話が通ると思っているのか? ことここに至って」

最原「……」

星「俺が疑っているのは最悪の可能性だ。すべてがアンタらの自作自演じゃないと何故言える?」

入間「あ? 自作自演だ?」

星「番組の視聴率を上げるためのハプニングの一つなんじゃないか、と言っている」

星「狂ってるがな……」

赤松「……え。ちょっと。それはいくらなんでも!」

百田「ああ! ありえねぇーな! 昨日の朝の終一の慌てようはナマのものだった!」

百田「あれを演技でできるとは思えねぇ!」

星「フン……」

364: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 20:54:21.31 ID:uVAK/wpG0
入間「んだそりゃ。おい、コラヤバい原! 俺様を頼って研究教室に来たのも俺様を煽るためだったのか!?」

入間「ふざけんな! ちょっとでも心配した俺様の時間を返しやがれ!」

王馬「入間ちゃんは存在自体が無駄なんだから、ちょっとくらい時間を無駄にしたところで被害は皆無だよね」

入間「ひ、ひぐう! 酷いよお!」

東条「……彼女が死にかけていることだけは間違いなく本当よ」

東条「本当だけど……!」

夢野「……」

夢野「別にどっちでも構わないと思うんじゃが」

春川「え」

夢野「だって、ここに来て楽しかったのは本当じゃしのう」

春川「……」

春川「……そうだね」

獄原「み、みんな! 助けてあげようよ! だって仲間だったじゃない!」

モノクマ(学級裁判なら議論スクラムに持ち込みたいレベルの真っ二つっぷりだなぁ)

365: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 21:15:25.54 ID:uVAK/wpG0
モノクマ「……で。どうするの? ボクたちを助けるの? 助けないの?」

最原「せめて手錠は解除してくれるとありがたいなぁ……」

モノクマ「ちなみに言っておくけど、ここで最原くんと白銀さんが死んでも番組は続行だよ」

モノクマ「よくよく考えてみてよ。学園の中に脱出手段がないのなら、他にどこに脱出手段があると思う?」

赤松「え?」

モノクマ「この学園を一つの箱だと考えてみて? その中にいるのはオマエラ」

モノクマ「この箱に鍵がかかってる、ということはわかっている。でも鍵は中にはない」

最原「……鍵は外から掛けられているから、外にいる誰かじゃないと鍵は開けられないって言いたいんだね」

モノクマ「ここで最原くんや白銀さんをどうこうしよう、っていう議論そのものが無駄なんだよ」

モノクマ「中にいる以上、条件はオマエラと一緒なんだからさ」

百田「モノクマの言うことはムカつくが、確かにそうだな……」

春川「特に、今は首謀者だってことが私たちにバレてるわけだから」

春川「最早、立場としてはイーブンとは言い難いよね」

茶柱「……これでは単なる弱いものイジメですね」

366: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 21:33:58.99 ID:uVAK/wpG0
最原「今更になっちゃうけどさ、僕は首謀者代理なんだ」

最原「昨日までは『白銀さんが首謀者だということを知っているだけで条件は全部一般生徒同様』だったんだよ」

星「黙っているだけでも加担しているのと同じだと思うがな」

最原「……まったくその通りだ。ごめん」

星「……」

天海「で。結局どうするんすか」

百田「俺は終一を助けてぇ! 白銀もだ! 仲間だっただろうが!」

赤松「うん! 私も同じ気持ちだよ!」

茶柱「……黙ってたことは許せません。でも、転子も……」

夢野「楽しかったことは嘘じゃない。そうじゃろ? 最原」

獄原「助けない理由がないよ!」

真宮寺「ククク」

アンジー「アンジーもなれるかなぁ……神様みたいなファリア神父に」

最原(アンジーさんだけ何かおかしいな)

367: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 21:40:31.12 ID:uVAK/wpG0
春川「……保留する。後のことは好きにすれば?」

東条「対症療法は続けさせてもらうけど……」

王馬「……にしし」

天海「保留っす」

入間「……もう何もかもどうでもよくなったぜ」

キーボ「……ボクも保留させていただきます」

星「俺たちは最原、白銀のペアに過干渉はもうしない。好きにしろ」

星「だが……もうまともな助けは期待しないことだ」

最原「うん。わかった」

星「……楽しかったぜ。今まで」

星「もし何も知らないままだったら、俺は……どうしてただろうな……」

星「……考えるだけ無駄か」

最原「……」

368: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 21:57:14.79 ID:uVAK/wpG0
最原(僕とモノクマの拘束は解除された。でも……)

百田「……保留組は全員消えちまいやがった」

最原「仕方ないよ。確かに、黙ってた僕たちが悪い……」

最原「いや、みんなを勝手な都合で誘拐した番組が悪いんだ」

モノクマ「今となっては最原くんもその番組側! 完全にね!」

最原「はあ……」

最原(……どうにか『存在自体が全部嘘』っていう真実は隠し通せたな)

最原(いつか、出たら全部話さないといけないけど)

アンジー「じゃあ、早速始めようかー!」

最原「え?」

アンジー「つむぎのこと、全力で励ますんでしょー?」

最原「……!」

百田「俺たちも協力するぜ! 全力でな!」

赤松「うん! こんなところで死ぬなんて絶対にダメだよ!」

最原「みんな……!」

真宮寺「じゃ、始めようか」

夢野「ウチの魔法もフルスロットルじゃぞ」

獄原「ここで仲間を助けないのなら、それは紳士じゃないから!」

茶柱「前に言ったかもしれませんが、ちょっとくらいなら手を貸しますよ」

茶柱「……あなたが悪い人でないことだけは知ってますから」

最原「……うん! ありがとう!」

モノクマ「うぷぷ。希望が見えてきたんじゃないかな?」

最原「そうだね。その通りだ」

最原「……もう、弱音なんか吐けない!」

369: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 22:04:15.60 ID:uVAK/wpG0
校舎の外

星「……」

入間「ケッ。ふざけやがって……あーあ、脳細胞を無駄遣いしたぜ」

春川「……」

王馬「意外だな。春川ちゃんは助ける組だと思ってたけど」

春川「ん。別に、そこまでお人よしじゃないから」

春川「……」

キーボ「……」

キーボ「全員、保留するって言っただけで、助けないとは言ってないですよね?」

天海「キーボくん。それみんながあえて言ってなかったことっす」

東条「本当は助けない理由はないのよ」

東条「……助ける理由が一つ消えただけで」

星「……やれやれ」

370: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/12(金) 22:12:50.50 ID:uVAK/wpG0
モノタロウ「あ! キサマラー! 探してたんだよー!」

星「ん?」

モノタロウ「ひとまずこの前の写真の現像が全部終わったから渡しておくね!」

モノタロウ「はい、これ」

東条「……結構な枚数撮ったわね」

モノタロウ「じゃ、オイラはこれで! ばーいくまー!」

ドロン

東条「……みんな笑顔ね」

春川「あ、これ、あの首里城が破壊された直後の……」

天海「ははっ! みんなビックリして酷い表情っすね!」

入間「あの後のキーボの溜まり具合、本当に凄かったぁ……」ハァハァ

王馬「入間ちゃんキモい」

星「……」

王馬「で、どうするの星ちゃん?」

星「ん」

王馬「いつまで自分に嘘吐くの?」

星「……」

星「俺は……」

372: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 05:46:25.23 ID:v67Ob3yM0
食堂

百田「会議を始めんぞ! どうしたら白銀が生きたいと思うか会議だ!」

百田「ひとまず適当にそれっぽいアイデアを出しつくすぞ!」

赤松「プレゼント!」

茶柱「ネオ合気道!」

夢野「魔法じゃ!」

アンジー「ファリア神父!」

獄原「虫さんで和もうよ!」

真宮寺「降霊術」

最原(横取りはしないんだよね!?)ガビーンッ!

百田「で? この中で絶対にノゥなアイデアはどれだ?」

最原「……ごめん。ゴン太くんの虫さんの案は絶対に使えない」

獄原「!?」ガビーンッ!

373: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 05:53:16.23 ID:v67Ob3yM0
百田「じゃ、赤松。具体的に何をプレゼントする?」

赤松「今からピアノを猛練習して、白銀さんの目の前で弾いてあげるんだよ!」

百田「ボツだ」

赤松「!?」ガビーンッ!

百田「時間がかかりすぎるだろうが」

赤松「ぴ、ピアノ……!」ガタガタ

百田「しつけぇ」

赤松「」

最原「バッサリ行き過ぎだよ! 確かに無理だけどさ!」

百田「アンジーの案もよくわからんからボツだ!」

アンジー「仕方ないねー」

最原「後に残ったのはネオ合気道、魔法、降霊術……」

百田「夢野の案が一番まともってどういうことだオイ!」ダァンッ!

夢野「ウチが一番まともで何が悪いんじゃ!」ウガァ!

374: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 06:00:16.93 ID:v67Ob3yM0
真宮寺「そもそも、今の段階でこの話をしたところで意味はあるのかな?」

真宮寺「僕たちには、この番組の首謀者である最原くんがいるんだヨ?」

真宮寺「首謀者に何ができるのか、のことを話しておいてからでも話は遅くないんじゃないかな?」

百田「おお。そりゃそうだな。使えるリソースの確認は大事だ」

最原「モノクマ。どうなの?」

モノクマ「ええっと……まあ学園の一区画くらいなら改造できたりもすると思うけど」

モノクマ「他にはそうだなぁ。校則を追加したり?」

百田「学園の改造以外に使えそうな能力はねーな」

最原「あ! もう一つあるかも! ちょっと待ってて」ガタッ

夢野「んあ?」

375: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 06:07:09.82 ID:v67Ob3yM0
五分後

最原「ただいま」

モノクマ99体「ただいまー」ゾロゾロ

赤松「モノクマを大量に連れ帰って戻ってきたーーーッ!」ガビーンッ!

茶柱「気持ち悪ーーー!」ガタガタ

百田「……なんだこれ」

最原「首謀者はマザーモノクマに『産め』って言うとモノクマを増やせるんだ!」

最原「同時に稼働できるモノクマは百体までらしいけど」

真宮寺「ピクミンか何か?」

夢野「……人手が増えるのは魔法的にもありがたいが、特にだから何ってわけではないの」

モノクマ「失敬な! 一体一体の能力は凄いんだぞ! 特に殺傷能力が!」

夢野「んな能力いらんわいッ!」

376: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 06:32:42.94 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「……ん?」

最原「どうかした? モノクマ」

モノクマ「ああ、いや。保留組が揃って白銀さんの部屋に……」

モノクマ「……ん。なんだ。外に連れ出そうとしているだけか」

モノクマ「ずっと部屋の中にいても気が滅入るでしょ、ってことらしいね」

百田「まあ確かにそうだしな。放っておいてもいいんじゃねーか?」

最原「うん。東条さんや春川さんがいるのなら滅多なことは起こらないだろうし」

百田「会議を続けるぞ!」

モノクマ「……」

モノクマ「……あっ!」

最原「あ?」

モノクマ「あ、い、いや、ななっなななななんでもない」ガタガタ

最原「そうは見えないけど!?」ガビーンッ!

377: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 06:39:32.56 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「き、気にしなくていいよ。白銀さんに命の危機が迫ってるってわけじゃないから」

百田「そうか?」

モノクマ「……」

モノクマ「うっそだろ、マジかオマエラ!」ガビーンッ!

最原「ねえ! さっきから何が見えてるの!?」

モノクマ「気にしなくていいって言ってるだろ! しつこいな!」

最原「何その言い草!? 首謀者には素直なんじゃなかったの!?」

モノクマ「遠まわしな言動をする義務が消滅するだけで、ボクの意思が消えたわけじゃない!」ウガァ!

アンジー「仲がいいねー」

真宮寺「……保留組、一体何をしてるんだろうネ」

赤松「一度様子を見に行ってみる?」

モノクマ「……いや、できることならそれはやめてほしい……な……!」ガタガタ

最原「は?」

モノクマ「特に彼女のためにも最原くんだけは絶対に行ってほしくないなぁ!」

最原「何それ!? 余計気になるよ!」

378: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 06:48:59.54 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「……ひ、酷い! そういう意味じゃない! そういう意味じゃないんだ!」

モノクマ「ああ、やめっ……やめてあげて! 多分それじゃ助かったとしても……ギャー!」

モノクマ「春川さんにも誤爆したーーー!」ガビーンッ

百田「オイ! もう構わねぇ! 様子を見に行こうぜ!」

赤松「うん! 絶対よからぬことが起こってるよ!」

茶柱「……そういえば、保留組には入間さんと王馬さんもいましたね」

茶柱「まともな人とまともじゃない人の振れ幅が滅茶苦茶大きいです」

真宮寺「……」

真宮寺「ククク。察しがついたヨ。何が起こってるのか、ネ」

最原「い、行こう! 早く!」

380: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 07:46:40.08 ID:v67Ob3yM0
寄宿舎周辺

最原「モノクマ! 白銀さんは!?」

モノクマ「……絶対に行かない方がいいと思うけどなぁ……」

最原「モノクマッ!」

モノクマ「あと少しで見えてくるよ」

百田「アイツら、一体なにして」


ギュンッ!


百田「やが――」シュンッ

赤松「……ゑ?」

茶柱「あ、あれ? 気のせいですか? 百田さんが消えたように見えましたけど?」ゴシゴシ

真宮寺「……終わったネ、彼」

獄原「一瞬だったけど、春川さんが見えたような?」

381: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 07:51:24.63 ID:v67Ob3yM0
白銀「……あ。最原くん!」

最原「白銀さん! よかった! 無事だったんだね!」

白銀「うん! 入間さんがくれたお薬のお陰で、とっても気分がいいんだ!」ニコニコ

赤松「え」

茶柱「え」

夢野「んあ?」

夢野「……入間の……薬……?」

真宮寺「……」←やっぱり、という顔

獄原「……」クンクン

獄原「……最原くん。逃げた方がいいと思う」

最原「え」

獄原「なにか危険な匂いがする。頭がクラっと来るような……!」

真宮寺「それ多分、アレ、だろうね……前にチラッと見た……入間さん特性の……」

白銀「最原くんっ!」ダッ

ギュッ

最原「え。え?」

最原(急に抱き着かれた)

382: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 07:53:13.27 ID:v67Ob3yM0
白銀「いきたい……」

最原「!」

白銀「私、死にたくなんかない……! まだ、最原くんとしたいこといっぱいあるの……!」

最原「し、白銀さん……!」

白銀「私……私っ……!」スリスリ

383: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 07:58:05.44 ID:v67Ob3yM0
白銀「――最原くんと一緒にいっぱいイキたいのぉ!」

最原「」

赤松「」

茶柱「」

夢野「……」

夢野「こ、これ……アカンヤツじゃ……!」ガタガタ

真宮寺「モノクマ。スイッチは?」

モノクマ「……今の発言で入った。もう行けるよ……」

モノクマ「ち、ちくしょう……こんな、こんな最悪な形で……!」ガタガタ

獄原「よかった……んだよね?」

最原「どこも良くないよッ!?」ガビーンッ!

白銀「最原くんっ!」ガバァッ

最原「うおわあっ!」バタリッ

赤松「きゃー! きゃー! こんなところで! いやー!」

夢野「とか言いながら手で顔を覆うものの、指の隙間からチラチラ見ておるな」

385: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 08:07:00.68 ID:v67Ob3yM0
白銀「ふーっ……ふーっ……もう、ダメなの……我慢、できなくて……!」チュッチュッ

最原「首筋にキスしないで! 体を押し付けないで! そんなところに手を伸ばさないで!」ジタバタ

茶柱「ゴン太さん。転子を抑えておいてください」

茶柱「このままだと自分で自分の両目を抉ってしまいそうです」

獄原「わ、わかった! 頑張るよ!」ガシッ

茶柱「転子史上最大級に死にたいです」

真宮寺「……東条さん。いるんでしョ?」

東条「……ええ。いるわ。ここに」

真宮寺「これ、彼女、大丈夫なの? だって一応病人だよネ?」

東条「良いわけがないわ。免疫力が下がってるから、本当ならキスすらアウトよ」

東条「でも総合的に見て生命力が底上げされているから……後での反動は怖いけど……」

入間「ヒャーーッハッハッハ! これが俺様たちの答えだ!」

入間「要は、そこの地味眼鏡が『イキたい』と思えばいいわけだろ? なら 薬で充分じゃねーか」

入間「テメェらドザコどもはこんな簡単なことにも気づかなかったんだな。脳味噌搭載してんのか?」

最原「ち、違う。そういう意味じゃない! 『いきたい』ってそういう意味じゃないんだよッ!」

最原「ああ、服を脱がせにかからないで……わーーー!」ジタバタ

386: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 08:17:08.91 ID:v67Ob3yM0
夢野「お主たち、保留ってさっき言ったばっかりではないか。このツンデレどもめ!」

東条「……元から助けない理由はなかったわ。助ける理由が一つ消えただけで」

入間「だけどよ。ついさっき助ける理由が米一粒分ほどできたんだよ」

入間「……ただの写真なんだけどな」

東条「ええ。でも……それで充分なのよ。だって、私たちは仲間だから」

入間「……ケケ。光栄に思え! ここからは、この超高校級の発明家、入間美兎様が味方だッ!」

茶柱「心強い、ということは言っておきます。素直に」

茶柱「でもそれとこれとは話が別です」

最原「あ、ああ……やめ……ヒッ」

白銀「ふふ。形勢逆転だね。前は私の方が攻められる側だったのにさ」

白銀「もっと色々してあげる。  同人みたいに!   同人みたいに!」

茶柱「殺して……誰か、転子を殺して……」

獄原「茶柱さんの生きる意志が代わりに下がってるよ!?」

387: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 08:30:21.40 ID:v67Ob3yM0
入間「別に最後の最後までやってもいいと思うんだが」

東条「ダメよ。流石に彼女の体が持たないわ。これで充分」

入間「おいモザイククマ! そのスイッチって、イキがる意志がなくなったらまた切れるのか?」

モノクマ「生きる意志ね。いや、もう大丈夫。何が起ころうとスイッチは入りっぱなしだよ」

入間「じゃ、中和剤を投与するぜ」

ブスッ

白銀「最原くんっ……最原くんっ……」スリスリ

白銀「最原……くん? あれ……」

白銀「……」

白銀「い、いやあ! 殺して! 今すぐ私を殺してぇ!」カァァ

最原「だ、大丈夫! わかってるから! 全部薬のせいなんでしょ!?」

入間「あ? いやいや何言ってんだオイ。全部なわきゃねーだろ」

入間「元から『  い原と  いことしたい』っていう願望がなきゃ 薬の効果は出ねぇって」

入間「第一、この 薬の効果は『 欲を二倍にする』とかそんなもんだから、元の 欲が強くない限りこんなことには……」

白銀「いやあああああああ!」

最原「わかった! もういい! 入間さん黙って!」

389: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 08:47:20.24 ID:v67Ob3yM0
夢野「でもよかったわい。やり方は極端じゃが、お主ら二人が保留組から寝返ってくれて」

入間「寝返る?」

東条「……いえ。全員が二人を助ける方向に転換したわよ?」

獄原「ええっ! 全員が!?」

アンジー「あれ。じゃあ他のみんなは? どこ?」

入間「この 薬、ガスタイプなんだけどよ。あのツインテブスに普及したガスマスクだけが穴開いててな?」

入間「誤爆したんだよ。で、気が付いたら消えてた」

入間「今ごろ持て余した 欲をどっかで    発散してんじゃねーか?」

入間「で、それに気づいた男連中は血相変えてアイツを追ったんだよ。ワケわかんねーだろ?」

獄原「……」

真宮寺「……」

最原「……」

赤松「……もしかして百田くんが消えたのって」

最原「尊い犠牲だった」

赤松「……そうだね」

391: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 09:05:25.20 ID:v67Ob3yM0
校舎内

百田「うおおおお! 速ぇー! ハルマキ速ぇー!」

春川「……二人きりになれる場所に移動しよう」

星「待てッ! 春川! 百田ーーー!」




天海「……あの三人についていける気がしないっすね」

王馬「ま、俺たちは俺たちにできることをしようよ。罠とか張っておこう」

キーボ「春川さん、百田クンを担いでいるのに、星クンを振り切るスピード……感嘆するしかないですね」

王馬「あれが愛だよ! キー坊にはわからないだろうけどな!」

キーボ「ボクにだって愛くらい……」

キーボ「……いや、アレが愛ならわからなくていいです」



ギリギリ中和剤の投与は間に合った

392: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 09:06:04.53 ID:v67Ob3yM0
休憩です!

396: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 14:17:45.31 ID:v67Ob3yM0
食堂

白銀「……」ズーン

百田「さあ。これで……準備はすべて整った!」

アンジー「神様もこんなとき言うはずだよー。"行け! 貴様が希望を掴みとらんと欲するならば!"と」

最原「さっきから気になってたんだけど、アンジーさんの神様の語りが微妙に変化してるような……」

星「どうでもいいだろう。最原。悪いな」

星「……俺たちにもたった一つだけ守りたいものがあったぜ」

王馬「俺は最初から白銀ちゃんを助けたいと思ってたけどね!」

キーボ「全然説得力がありません」

天海「元から保留すると言っただけ。助ける理由が欲しかったんす」

天海「……それが意外に早く見つかった。ただそれだけっすよ」

春川「……」ズーン

百田「ハルマキはどうしたんだ? 筋肉痛か?」

春川「違う」

最原(これ襲われそうになったことに気付いてないな……)

397: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 14:25:38.11 ID:v67Ob3yM0
百田「行くぜ! デスロードに!」

アンジー「おー!」




白銀「やめて。そんなことしないで」

百田「……あ?」

最原「……」

百田「おい。そんなこと言ってる場合か? 特効薬がなければお前は」

白銀「死ぬから何!? 私一人のために、誰かの命を危険に晒せないよッ!」

白銀「そういうの……もうイヤだよ……!」

百田「……」

百田「俺はやる。お前がなんと言おうが」

白銀「!」

アンジー「主は言うでしょう。"クハハ! 貴様の悲嘆など知ったことか! オレはオレのやりたいようにやるだけだ!"と」

最原「ねえ。それ本当にアンジーさんの神様?」

天海「色々あったんす」

百田「……終一。俺は事情を知らない。だから白銀にかける言葉はない」

百田「テメェは違うがな」

最原「……」

最原「……うん。任せて」

398: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 14:33:39.22 ID:v67Ob3yM0
白銀「最原くん。お願い。みんなを止めて……」

白銀「……もう、ラストなんだよ? 死んじゃったら本当にお終いなんだよ?」

最原「そうだね」

白銀「ごめんなさい。私の罪悪感はもう晴らせなくって良い」

白銀「地獄に堕ちても構わない」

白銀「だから、止めて……みんなを止めてよ……!」

最原「うん。もしもみんなが死ぬのなら、僕は止めなきゃいけないだろうね」

最原「……誰も死なないとしたら?」

白銀「え?」

最原「……やればなんとかなるかもよ?」

白銀「――ッ!」

399: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 14:42:21.50 ID:v67Ob3yM0
最原「僕はこれまでのすべてに感謝するよ」

白銀「え?」

最原「始まりはキミの気まぐれだったかもしれないけどさ」

最原「キミに愛を教えることができた過去の自分を誇りに思う」

最原「お陰でさ! キミはもう怪物なんかじゃなくなった!」

最原「愛を知ってる。罪悪感がある。だから僕は……」

最原「キミを許せるんだ。思う存分に」

白銀「……」

最原「僕はキミを許す。死んでいった仲間たちがどう思ってもさ」

最原「……許すよ。命をかけて」

最原「誓うよ。もうキミを置いて、どこにも行ったりしない」

最原「――生きよう。一緒に」

白銀「……うっ……」

白銀「……うっ……うう……」ポロポロ

白銀「あああああああっ……!」ポロポロ




赤松「……事情は確かにわからないけど、あれ実質上プロポーズ?」

茶柱「醜悪ですねぇ」

茶柱「……あ、あれ。なんでしょう。転子の目から汗が止まりません」ポロポロ

夢野「お主、割と涙脆いのう」ポロポロ

入間「テメェもな、電波ロリ」

400: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 14:50:37.77 ID:v67Ob3yM0
百田「話はまとまったか!?」

最原「うん! なんとか!」

白銀「……もう、私の身も心も最原くんに預けるよ」

白銀「死ぬときは一緒だからね。今度こそ」

最原「まだ死なないよ」

白銀「そうは思えない。だからさ……そう思わせてくれると嬉しいな」

最原「ということで、百田くん! 完全に準備完了だよ!」

百田「おっしゃあ! じゃあ行くぞ!」

百田「命懸けの行軍になる! 自由参加だ! 来たいヤツだけ来い!」

東条「おやつは三百円まで!」

星「この際言っておくが、バナナもおやつに入るぞ!」

獄原「えっ!」←ポケットにバナナを入れようとしてた

百田「うおおおおおお! 行くぞおおおおおおお!」


ダダダダダッ

401: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 14:57:03.68 ID:v67Ob3yM0
ビビーッ

アナウンス『白銀つむぎを含む複数の参加者を確認しました』

アナウンス『デスロードナイトメアを開始いたします』

アナウンス『なお、特効薬を手に入れた時点で、デスロードの全機能はストップします』

アナウンス『みなさん、頑張って挑戦しましょう』



天海「……」

王馬「……」

キーボ「……」

獄原「……」

最原「……」

真宮寺「……」

星「……」

百田「……」

赤松「……」

入間「……」

白銀「……」

茶柱「……」

東条「……」

春川「……」

夢野「……」

アンジー「……」




百田「なんで全員来てんだよッ!?」ガビーンッ!

赤松「ええっ!? 全員来る流れじゃないの!?」ガビーンッ!

夢野「ノリで来てしまったわい」ガクガクガク

402: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:03:39.54 ID:v67Ob3yM0
百田「まあいい! ひとまず終一は背負ってる白銀に集中してろ!」

百田「腕力、体力に自信があるヤツは、ないヤツを守ってやれ!」

百田「頭脳系のトラップもあるかもしれねぇ! そのときは思いっきり得意なヤツに頼るぜ!」

真宮寺「ククク。こうなったらヤケクソだよネ!」

最原「駆け抜けよう! 最後まで! 一気に!」

モノクマ「あ。ストップ、最原くん。最後に一つ言うことがあった」

最原「あ。モノクマ……」

モノクマ100体「やっほー」

最原「が、いっぱいいるーーーッ!」ガビーンッ!

モノクマ「首謀者であるキミには、ボクが味方についている」

モノクマ「思う存分使ってよ! キミとの悪だくみも楽しそうだ!」

最原「……」

最原「足は引っ張るなよ」

モノクマ「辛辣ゥ」

最原「よし! じゃ、行こう!」

403: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:11:08.96 ID:v67Ob3yM0
火炎放射「」ボォォ

赤松「モノクマガード!」

モノクマ「ぎゃー!」

機関銃「」パラララッ

アンジー「モノクマガード!」

モノクマ「ぎゃー!」

丸のこ「」ギュィィィンッ

東条「モノクマガード!」

モノクマ「ぎゃー!」



モノクマ「いや確かに使えとは言ったけど想定と違う!」ガビーンッ!

最原「クッ! もうモノクマの数が五十体を切った!」

最原「まだ先は長そうなのに!」

モノクマ「酷くね!?」

百田「もっとスピードを出して駆け抜けろーーーッ! モノクマが尽きる前に!」

404: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:15:54.10 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「……そろそろ折り返し地点。つまり半分だよ!」

最原「モノクマの数が持つかどうかだけが心配だな……!」

百田「ああ。致死性トラップっつっても、モノクマが庇ってくれりゃ問題はねぇ」

王馬「最悪、モノクマが尽きた場合はキー坊を代用にすればいいよ!」

キーボ「冗談じゃないッ!」

モノクマ「……」

モノクマ「いや、ダメだよ。折り返し地点にあるトラップは、ボクじゃ庇えない」

最原「……え?」

モノクマ「ほら。見えてきた」

405: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:20:51.91 ID:v67Ob3yM0
帽子モノクマ「やっほー! ウェルカムトゥようこそモノクマパーク!」

百田「あ?」

赤松「最原くんが初日に被ってた帽子をつけた……モノクマ?」

最原「あれって……」

モノクマ「首謀者の味方ではない、別系統で稼働するモノクマだよ」

百田「ケッ! だから何だ! こっちにはモノクマがあと四十体近くいるんだぜ!」

百田「たかが一体なんだってんだ!」

モノクマ「違う。ヤツは物理攻撃はしない」

帽子モノクマ「うぷぷ。オマエラに、教えてやるよ」

帽子モノクマ「外の世界に希望なんてないってことをね!」ギンッ

最原「……」

白銀「……」

最原「まさか、コイツ……!」

406: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:28:01.49 ID:v67Ob3yM0
百田「どうだっていい! んなこたあ!」

百田「それより、このデスロードにいるモノクマなら、特効薬の位置を知ってるんじゃねぇか?」

百田「締めあげて吐かせれば話が早くなるぜ!」

帽子モノクマ「まあまあ。まずはボクの話を聞いてよ百田くん」

帽子モノクマ「……ねえ。どうして外の世界から助けが来ないんだと思う?」

入間「あ? そりゃお前らが根回しして……」

帽子モノクマ「そんなことをする必要はないんだ」

帽子モノクマ「だって、この世界は元から全部フィクションなんだからさぁ!」

最原「――ッ!」

百田「……」

帽子モノクマ「じゃ、これ見ればわかりやすくなるかな?」

帽子モノクマ「オマエラ一人ひとりのオーディション映像をプレイバーーーック!」

407: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:32:07.06 ID:v67Ob3yM0
最原?『僕は、ダンガンロンパが大好きで――』

最原「……!」

赤松?『私ってコロシアイに向いている性格だと思います。基本的に人を信用してないので』

赤松「……えっ」

百田?『賞金がありゃあ、不可能なんてなくなるぜ!』

百田「……」

最原(……目の前のモノクマは全部バラしはじめた)

最原(この学園にあるものは、僕たちを含めて全部フィクションであること)

最原(……外の世界に僕たちの居場所はないことを)

夢野「な、なんじゃと……!? こ、こんなの……そんなの嘘に決まって……」ガタガタ

帽子モノクマ「嘘はオマエラの方なんだよ。だから助けが来ないんだ」

百田「なんてこった。そうだったのかよ……」

百田「で?」

帽子モノクマ「え?」

408: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:35:05.70 ID:v67Ob3yM0
百田「それと特効薬の位置に何か関係があんのか?」

帽子モノクマ「いや特にないけど」




百田「ふざけんじゃねえーーーッ!」バッキィィィィ!

帽子モノクマ「ぎゃあっはああああああ!?」

最原「百田くんの見事なサブマリンアッパーが決まったーーーッ!?」ガビーンッ!

百田「あー! クソ! 時間を無駄にした! くだらねーことで引き留めてんじゃねぇ!」

百田「かーっ、ぺっぺっ!」

帽子モノクマ「」

最原「ええーっ!?」ガーンッ!

409: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:42:35.48 ID:v67Ob3yM0
真宮寺「……キミ本当凄いネ。僕ですらショックだったのに」

百田「ああ? くだらなさの極みだろうが、こんな与太」

百田「自分自身と、他人。どっちを信用するかなんて考えるまでもねーだろ!」

百田「第一、今この状況となんも関係ねぇじゃねーか!」

赤松「……」

アンジー「確かにそうだねー。アンジーたちはつむぎを助けにきただけだし」

東条「……先に進みましょう! 私たちの足で!」

獄原「ええっと、ゴン太たちのどこら辺が嘘だって話だったの?」

王馬「あ、別にいいよ。こんな話理解しなくっても。本当に」

最原「……ははっ……」

最原(最後の学級裁判で、キミが生きていれば……そう思っちゃったよ)

最原(百田くんには敵いそうにないなぁ)

410: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:54:50.66 ID:v67Ob3yM0
百田「ちっ。特効薬の位置やトラップの配置について締め上げたかったのに完全に伸びちまいやがった」

百田「さっさと行くぞ!」

獄原「うん!」

最原「もうちょっとだよ。白銀さん!」

白銀「……」

白銀「……なんかさ」

最原「うん?」

白銀「……もう、救われた気分なんだけど。私」

白銀「ふざけんな、の一言でふっ飛ばされちゃうんだね。アレ」

最原「……百田くんだからだよ」

白銀「……ああ、でもさ。最後の学級裁判で必死に現実をふっ飛ばした最原くんの方が格好良かったかな」

最原「えっ」

白銀「……ふふ」

白銀(……)

白銀「大好き。最原くん」

最原「……うん! 僕もだ!」

白銀(……)

白銀(……体の感覚がなくなってきた)

白銀(でも心が軽くて、温かい)

白銀(……ありがと。みんな)

白銀(……どうか誰も死なないで)

411: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 15:58:50.25 ID:v67Ob3yM0
休憩します

413: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 16:11:16.15 ID:v67Ob3yM0
ミスった

415: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:03:19.14 ID:v67Ob3yM0
五分後

最原「……モノクマ! 残機は!?」

モノクマ「ボクを含めて二十五体! かなりやばいよ、このペースは!」

百田「……そうか」

春川「百田?」

カチッ

百田「ッ! 仕込み銃か!?」

モノクマ「はいはい、またボクの出番――」

百田「来なくていい!」

モノクマ「は?」

バァンッ!

百田「がっ……!?」

春川「百田ッ!?」

百田「もう俺はモノクマガードを、使わねぇ!」

百田「……平気だ! 肩を貫通しただけだからな!」

春川「バカッ! どこも平気なんかじゃないよ!」

最原(まずい。ここに来て初めて負傷者が……!)

416: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:07:13.61 ID:v67Ob3yM0
百田「弱気になんな!」

最原「え」

百田「……全員で生きて出るんだよ、ここを!」

百田「俺だって死ぬ気はさらさらねぇ!」

最原「……うん!」

茶柱「特効薬をゲットさえすれば全部終了です! 早く!」

天海「この程度の修羅場、いくらでも潜り抜けてきたっす!」

東条「諦める理由は微塵もないわ!」

最原「……そうだ。その通りだよ!」

モノクマ「……そろそろ来るよ。最後の難関が!」

417: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:09:18.57 ID:v67Ob3yM0
モノケモノ「……」フシュー

最原「……」

全員「……」

最原「スーパーダンガンロンパ2に出てきた、モノケモノ、だっけ?」

モノクマ「うん。これが最後の難関。合計五体いるよ」

全員「……」

百田「無理じゃね?」

最原「流石に百田くんでもそう思うよね!?」ガビーンッ!

418: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:17:22.59 ID:v67Ob3yM0
アンジー「……終一。モノクマ、二十四体ここに置いて行って」

最原「え?」

アンジー「これが最後の難関なら、後は終一とつむぎが先に行けばいいよー」

アンジー「後のことはアンジーたちが食い止めるからさー!」

百田「……そうだな。それがいいかも、な」

東条「それが結果的に全員の生存率を上げる最善の策……」

赤松「特効薬が手に入れば全部終わりだもんね」

最原「そんな……!」

キーボ「行ってください! 全員で生き残るために!」

最原「……モノクマ」

モノクマ「わかってる! ボク以外のモノクマは生徒のガード!」

モノクマ24体「おー!」

最原「先に行く……みんな! どうか無事で!」

星「ああ。お前さんもな」

星「……さあ。ショータイムだ!」

アンジー「……主は言いました」

入間「あ?」

419: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:23:01.39 ID:v67Ob3yM0
アンジー「"慈悲などいらぬ!"」

ボォッ!

なんか復讐しそうな人「"我が往くは恩讐の彼方!"」

入間「ぴえっ!?」ガビーンッ!

赤松「あ、あれ!? なんかアンジーさんの隣に知らないフランス人がいるような……!?」ゴシゴシ

アンジー&なんか復讐しそうな人「クハハハハハハハ!」


ドガガガガッ!


モノケモノ「!?」

王馬「なんかよくわからないけどモノケモノが一体壊れたーーーッ!?」ガビーンッ!

天海「この調子で行くっすよ!」

真宮寺「本当彼女の召喚術は無茶苦茶だネ」

春川「百田。これ以上無茶したら私が殺すから」

百田「ああ。悪ィなハルマキ」

百田「……頑張れよ、終一」

420: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:34:23.86 ID:v67Ob3yM0
最原「……」

モノクマ「……ねえ」

モノクマ「もう気付いてるんでしょ。白銀さん、さっきから一言も……」

最原「……死んでない。まだ」

モノクマ「……特効薬を投与したところでさ。今までボロボロになった体が急激に癒えるわけじゃない」

モノクマ「助かるかどうかは、五分五分。いや……もっと低いかもね。確率」

最原「うん」

モノクマ「……最原くんは頑張ったよ」

モノクマ「白銀さんをちゃんと救った」

最原「うん」

モノクマ「……それでも走る?」

最原「やめるわけにもいかないでしょ」

モノクマ「……」

モノクマ「悪役としては落第点だったけど、首謀者としては最高だったよ。キミは」

421: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:42:53.02 ID:v67Ob3yM0
最原「白銀さんだけを庇って。僕のことはどうでもいいから」

モノクマ「うん」

最原「……ところでさ。なんで白銀さんを助けようとしたの? モノクマ」

モノクマ「今回はコロシアイじゃないから」

最原「それだけ?」

モノクマ「……彼女が本気でダンガンロンパを愛してたから。ボクも含めてね」

モノクマ「ま、オマエに取られちゃったけど」

最原「え。まさかの恋敵?」

モノクマ「違う違う! ボクはもうちょい親とか先生的なポジなの!」

モノクマ「……ま。オマエに嫉妬はしてるけどね」

最原「……ごめん」

モノクマ「いいの。フィクションのキャラとしてさ。愛されることは至上の喜びだから」

モノクマ「……仮に飽きられても、愛されたっていう真実は変わらない」

最原「……」

モノクマ「湿っぽいの終了! 行くよ! 頑張って!」

最原「うん!」

422: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 17:58:23.18 ID:v67Ob3yM0
ズドンッ!

最原「ぐっ……!?」

モノクマ「大丈夫! 腕のお肉がちょっと抉れただけ!」

最原「そう!」


ブシュウウウウ!


最原「げほっ……!?」

モノクマ「あ、毒ガス! これはやばい! 白銀さんのためにもさっさと駆け抜けて!」

最原「うん!」


ザクッ!


最原「がっ……!?」

モノクマ「足首がちょっと切られただけ! 半分以上残ってるよ!」

最原「それはよかった!」




モノクマ「あと少し……ほんの少しだよ!」

最原「わかってる!」


ヒュンッ ブスッ


最原「……ところで僕の胸に刺さってる、この吹き矢っぽいの、何?」

モノクマ「……毒矢だね。まあ致死量だけど、気合で耐えれば問題ないよ」

最原「へえ」

423: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 18:05:42.01 ID:v67Ob3yM0
ズルリ……ズルリ……

最原「はあ……はあ……」

モノクマ「あとちょっと! ほんのちょっと……」

モノクマ「あれ」

最原「どうした、の……?」

最原「……行き止まりじゃないか」

モノクマ「……コンクリートの壁で塞がれてるだけだ。向こうにちゃんと特効薬はあるはずだよ」

最原「……ゴン太くんがいれば壊せたのになぁ……」フラッ

最原「……モノクマ。そろそろ、限界が近い……目が、霞んで……!」

モノクマ「しっかりしてよ。もう障害はこれしかないんだからさ」

最原「でも、僕には壊せないよ」

モノクマ「ボクが自爆する」

最原「え」

モノクマ「……ちょっと離れてて」

最原「……うん」

モノクマ「最原くん。最後に一つ言っておくよ」

最原「……なに?」

モノクマ「よくできました」ニヤァ

最原「!」



ドカァァァァン!

424: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 18:13:24.91 ID:v67Ob3yM0
最原「……あった。特効薬」

最原「グッ!」フラッ

最原(……一瞬意識が飛びそうに……)

最原「バカか僕は。こんなところで……!」ガクリ

最原「あれ。膝、ついて……あれ……」

最原「……」

最原(……ここで、終わり、なのか……?)

最原(……僕は、まだ何も……!)

グイッ

最原「ん?」

最原(誰かに腕を引かれて無理やり立ち上がらされた)

百田「……」ニヤリ

最原「あ、あれ。百田くん。どうしてここに?」

百田「……」バンッ

最原「あ痛っ! 肩パンしないでよ……わかってる。あと少しなんでしょ」

最原「……うん。わかってる。ちゃんとやるから」ズルリズルリ

百田「……」




百田「流石は俺の助手だ。俺が死んだ後もキチンとやれてるじゃねーか」

425: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 18:22:53.47 ID:v67Ob3yM0
最原(……ここまで本当に遠かった)

最原(物理的な距離だけの話じゃない。みんなに背中を押されて……到達できた場所だった)

最原(……そうだ。銃弾が何だ。毒ガスがなんだ。足首が半分近く切れたから何だ。致死量の毒矢が何だ)

最原(そんなの、今更どうってことない!)

最原「……僕はみんなの意思を背負ってここにいる」

最原「行けない場所なんてないんだ」

最原「どんな不可能も、やりとげちまえば可能に変わる!」


ガシッ


最原「……ほら。届いた!」


ビビーッ

アナウンス『特効薬が入手されました。デスロードナイトメアを終了します』

アナウンス『現在の生存者、十六名。全員生還です。お疲れさまでした』

最原「……よかった。全員、生きてる!」

最原「僕は、やりとげ……」フラッ

最原「……」ガクリ

最原「……いや、やっぱり致死量の毒矢食らったら死ぬよね。普通。はは」

最原「……置いてかない、はずだったんだけど……!」

最原「……」

最原(最後の気力を振り絞って、背負っていた白銀さんを床に降ろす)

最原(……死にかけているけど、生きていることを確認できただけでも、充分安心できた)

最原「……後のことはみんなに頼むよ」

最原「ご、め……」


バタリッ

426: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 18:25:36.01 ID:v67Ob3yM0
休憩しますん

427: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:16:16.00 ID:v67Ob3yM0
謎の花畑

最原「……」

最原「死んだら花畑とか露骨すぎない?」

最原「……はあ。今度こそ死んじゃったのか……」

最原「……白銀さんに申し訳ないな」

最原「……」

赤松「最原くん」

最原「ん」

赤松「……お疲れ様。頑張ってたね」

最原「……赤松さん」

赤松「ていうか頑張り過ぎだよ。致死量の毒矢を気合で耐えるとかさ。普通耐えられないから!」

最原「あ、うん。そうだね。よく考えたらモノクマ凄い無茶言ってたな」

赤松「その無茶を実行するキミが一番凄いけどね……」

428: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:19:51.60 ID:v67Ob3yM0
赤松「……一緒に来る? もういいと思うけど」

最原「……」

最原「その言い方だと、元の場所に戻れるって聞こえるよ」

赤松「うん」

最原「なら戻る」

赤松「そっか」

最原「……」

最原「ありがとう、赤松さん。キミのこと、ずっと忘れたことはなかったよ」

赤松「白銀さんが聞いたら怒るんじゃない?」

最原「……うん。だから一度しか言わない」

赤松「……あっちの私と仲良くね。そしたら私も嬉しいから」

最原「うん!」

429: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:24:57.16 ID:v67Ob3yM0
赤松「……行っちゃった。ねえ。最原くんに言いたいことあったんじゃないの?」

百田「いい。アイツはもう大丈夫だ」

百田「キチンと確認した」

赤松「そっか」

赤松「……ふふ。本当、成長したね最原くん。もう一人で立てるんだ」

百田「ああ。そいで、誰か別のヤツを支えてやれる」

百田「……そうやってよ、俺がやったことをアイツが誰かにやるんならよ」

百田「俺はきっとまだ死んでないって言えるんじゃねーか」

赤松「かもね」

赤松「……今度こそみんなで友達に……」

赤松「……ふふ。いや、もう友達、かな」

430: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:34:11.85 ID:v67Ob3yM0
八日目

最原「……ん……?」

夢野「んあっ! さ、最原! 最原が……」

最原「……あれ。夢野、さん?」

夢野「うおーーー! 最原! 最原が生き返ったんじゃー! ヤッホーイ!」

夢野「東条コール! 東条コール!」カチカチ

最原「……生きてる」

夢野「マジで危ないところだったんじゃぞ! 毒矢がぶっすり刺さっておったんじゃからの!」

夢野「でもなんとかなったんじゃ! 後で入間に感謝するんじゃぞ! 癪じゃろうが!」

最原「え。入間さん?」

夢野「テンパッた入間がテンパッて適当に調合した薬が奇跡的にお主の毒を治癒したんじゃ!」

最原「面白ミラクルすぎない!?」ガビーンッ!

432: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:40:22.52 ID:v67Ob3yM0
最原「でもそうか。ギリギリのところで僕は生きて……」

最原「……白銀さんは?」

夢野「んあっ……」

最原「……白銀、さんは……」

夢野「……特効薬でウイルスはなんとかなったはずじゃ」

夢野「でもな。でもな。まだ白銀は、目覚めなくての……!」

夢野「今は眠っておる。死んではおらん」

最原「……見舞いに行くよ」

夢野「やめい! お主もボロボロじゃぞ!」

最原「……お願い。夢野さん。見逃してくれないかな」

夢野「……」

夢野「東条への言い訳はお主がするんじゃぞ」

最原「うん。わかった」

433: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:47:44.11 ID:v67Ob3yM0
最原「……あれ。まだ痛むけど、もう治りかけてる。銃弾の傷とか、足首の怪我とか」

夢野「ふぃぶりん? とかいう、生体用の糊らしいぞ? 入間が用意したんじゃ」

夢野「というかアイツが自分用に用意してたものをウチらがぶんどったんじゃ」

最原「はは……余裕さえあれば、ただのバカな言動を繰り返す天才だなぁ」

夢野「……そろそろ東条が来る。さっさと行けい」

最原「うん」

夢野「……」

夢野「白銀よ。最原は起きたぞ。だからお主もキチンと起きるんじゃ」

夢野「全員でここを出るんじゃぞ……!」

434: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 19:54:46.42 ID:v67Ob3yM0
寄宿舎ホール

最原「ええと……さっき僕が出てきたのは、僕自身の自室か。じゃあ白銀さんは……」

百田「ああっ! 終一! 終一じゃねーか!」

最原「あ! 百田くん!」

百田「うおおおおお! この野郎、キッチリやれたじゃねーか! オイ!」バシンッ!

最原「いった! 背中を叩かないでよ!」

最原「……ねえ。百田くん。特効薬を手に入れる直前でさ……」

百田「ん?」

最原「……いや、なんでもない」

百田「そうか? あ、ところでテメェ、こんなところで何を……」

最原「白銀さんの見舞いに行こうかなって」

百田「……」

百田「歩くの手伝うぜ」

最原「ありがとう」

435: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 20:03:31.05 ID:v67Ob3yM0
簡易医務室

最原「……やあ。白銀さん」

最原(声をかけても返事はない。相変わらず顔色の悪い白銀さんが、ベッドで寝息を立てていた)

最原(……やれることはやった。手遅れになっていないかだけが心配だ)

百田「終一。テメェはよくやった。後は絶対に大丈夫だ」

百田「……大丈夫に決まってんだろ」

最原「うん。ありがとう百田くん」

百田「……どんな夢見てんだろうな」

最原「……」

百田「後のことは俺たちに任せておけ。もういいだろ?」

最原「え」

百田「え、じゃねーよ。テメェだって死にかけてたんだからな?」

最原「え、ちょ」


シュンッ


東条「最原くん。連行するわ」

最原「あ」

東条「病室に戻ったら傷に障らない程度にお説教よ」

最原「」

436: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 20:17:21.06 ID:v67Ob3yM0
最原の自室

最原「戻って来ちゃったよ!」

夢野「それでいいんじゃ! それで!」

最原「……はあ。仕方ないな。後のことはモノクマに頼もう」

夢野「んあ……」

最原「モノクマ。出てきて」

最原「……」

最原「モノクマ?」

夢野「全滅した」

最原「え」

夢野「モノクマは、全滅したんじゃ」

最原「そっか。じゃあ新しくマザーモノクマに産ませないと……」

夢野「あの壊れた図書室の向こうにある丸っこいヤツじゃろ?」

最原「うん」

夢野「後でいいのではないか?」

最原「いや、いれば結構便利だしさ」

夢野「……後でいいじゃろ」

最原「……」

最原「マザーモノクマに何かあった?」

夢野「ッ!」

437: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 20:25:40.43 ID:v67Ob3yM0
夢野「……ちょっとしたオーバーヒートじゃ。心配はない」

夢野「百体ものモノクマを酷使したことがちょっと響いたらしいの」

夢野「入間の話じゃ、直せることには直せるらしいぞ?」

夢野「……一週間くらいで」

最原「時間が足りない」

夢野「……そう、じゃの。少なくとも、もうウチらはモノクマに会えん、ということじゃ」

最原「……」

最原「最後に一回くらいは礼を言いたかったな」

夢野「そうじゃの。あんなヤツでも、最後には助けてくれたんじゃしの」

438: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 20:35:28.72 ID:v67Ob3yM0
首謀者ルーム

入間「だー! くっそ! なんで俺様がこんなことをしなきゃなんねーんだよ!」

モノタロウ「お願いだよ! お父ちゃんを助けてー!」

入間「だぁーってろ赤チン! 平気だ。直せない故障じゃねぇ!」

入間「……時間が足りないだけでな。多分、俺様たちが外に出た後で誰かが直すだろ」

モノタロウ「ぐすん」

入間「それまでは適当に応急処置くらいしてやらァ!」

入間「ま、無理したりしなけりゃ記憶もそのまま。綺麗さっぱり前と同じになるだろうよ」

モノダム「……」

モノファニー「……ダンガンロンパは終わりよ」

入間「あ?」

モノファニー「……お父ちゃんはもう用済み。わざわざ誰かが直したりなんか……」

入間「……ケッ。俺様がそんなこと知るかよ」

入間「祈っとけ。誰か酔狂なヤツが直してくれるってよ」

439: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 20:42:46.62 ID:v67Ob3yM0
マザーモノクマ「……」

マザーモノクマ(……いや。ダンガンロンパはこれで終了)

マザーモノクマ(モノファニーの言う通り。ボクも完全に用済み、だよね)

マザーモノクマ(……さて。どうしたものかな)

マザーモノクマ(このままプカプカ浮かんでるだけ、ってのもつまらないよねぇ)

マザーモノクマ(……才囚学園の生徒たちの物語はこれからも続いていく)

マザーモノクマ(ボクだけは外に出られないけどね)

マザーモノクマ(ハァ……最後に何か一つくらいイタズラしたいなぁ)

440: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 20:54:32.90 ID:v67Ob3yM0
最原(八日目は昨日とは打って変わって、特に何も起こらなかった)

最原(僕の病室に、入れ替わり立ち替わり、見舞いに人が来るくらいで)

最原(……白銀さんも、いい五分の方に傾いてくれたらしく、モノクマが心配していたようなことにはなってない)

最原(段々と回復に向かっているらしい)

最原(……)

最原(そういえば、好感度が一定以上になっていない人は学園からの脱出は不可、という話だったな)

最原(この分なら多分全員大丈夫だろうけど……)

最原(ラブラブ度の管理をしていたモノクマはあの有様だしなぁ……確認ができない)

最原(……そうやって悶々としている内に、夜になり、僕は眠りについた)

最原(本当に、久しぶりに平和な日だった)

441: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 21:01:52.58 ID:v67Ob3yM0
八日目の二十四時 九日目の零時

白銀「ん……?」

白銀「……あ、あれ。医務室?」

白銀「……生きてる。私、生きてる……?」

白銀「……みんなは……?」キョロキョロ


ビヨヨーンッ!


モノクマ「やあやあ白銀さん! 起きた?」

白銀「あ、モノクマ!」

白銀「……」

白銀「なんか顔に十円ハゲができてない?」

モノクマ「いや、自己情報を無理やり書き換えて自力で出てきたから、ちょっと不具合が出ちゃって」

モノクマ「そこの黒マジックでハゲた部分を塗ってくれると嬉しいんだけど」

白銀「はいはい」

442: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 21:06:00.56 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「全員無事だよ。最原くんも死にかけたけど、今は問題ない」

白銀「……そっか」

白銀「最原くん、今回は本当に最初から最後まで私に勝ちっぱなしだったなぁ」

白銀「結局、強くてニューゲームな物語のテンプレートそのものだったよね」

白銀「凄いや。全部手に入れるなんてさ」

モノクマ「うん。そうだね」

モノクマ「じゃ、そろそろ行こうか!」

白銀「え。どこに?」

モノクマ「最原くんの部屋!」

白銀「え」

モノクマ「寝起きドッキリとかしたくない?」

白銀「……」

白銀「超したい」ニヤァ

443: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 21:13:17.85 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「前の学園生活でやらなかっただけで、ボクならどこの鍵でも開けられるんだよ」ガチャリ

モノクマ「おーじゃまっしまーっす……」

白銀「ふふふ。最原くん、驚くだろうなぁ。さっきまで寝ていた私が急に起きて、しかも部屋にいるんだもん」

モノクマ「うぷぷ。ワクワクのドッキドキだよね。ザザッ」

白銀「ん? 今音声にノイズがかからなかった?」

モノクマ「あ、ごめん。やっぱり無理に出たのが祟ったんだね」

白銀「もう。後で入間さんに診てもらわないと……」

モノクマ「うぷぷ」

白銀「ええっと……どうしよっかな。入ったのはいいけど」

モノクマ「添い寝するなり馬乗りになるなり、お好きにどうぞ」

白銀「……地味に恥ずかしいけど、まあ寝ているし……」

白銀「お邪魔しまーっす」ゴソゴソ

白銀「ふふ。やっぱり最原くんの体温、大好き。まあすぐに出るんだけど……」

最原「……ええっと……」パチクリ

白銀「……」

白銀「起きてるじゃんッ!?」ガビーンッ!

444: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 21:24:01.33 ID:v67Ob3yM0
白銀「も、モノクマ!? これ一体どういう……いない! 逃げた!」

白銀「は、ハメられた! 寝ていると思ってたから来たのに!」

最原「悪質だな! いや、モノクマもそうだけどキミも!」

白銀「あ、い、いや……」

白銀「俺は悪くねぇ! 俺は悪くねぇ!」ルゥゥゥク

最原「安易なオタク的パフォーマンスに逃げないでよ!」

最原「……あ、でも……えーっと……嬉しいよ」

最原「起きたんだ」

白銀「……うん」

最原「よかった。ずっと心配でさ……」

白銀「私も」

最原「……よかった……本当に……ッ!」

白銀「うん……うん……!」

445: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/13(土) 21:33:28.11 ID:v67Ob3yM0
モノクマ「……」ガガッ

モノクマ「悪ふざけで人を殺してきたマスコットが、悪ふざけで完全に壊れる、か」

モノクマ「うん。悪くない。悪くない結末じゃないかな」

モノクマ「……ダンガンロンパはもういらない」

モノクマ「ボクの役目は終了、かな」

モノクマ「……うぷぷ。皮肉だね。誰よりも役目に殉じたいと願っていた白銀さんじゃなくって」

モノクマ「その隣にいたボクが役目に殉じるんだからさ」

モノクマ「……うぷ。うぷぷぷぷ」

モノクマ「アーッハッハッハ!」

なんか復讐しそうな人「クハハハハハハハハ!」

モノクマ「アーッハッハッハッハッハ……誰オマエ!?」ガビーンッ!

451: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 06:42:20.13 ID:CQM3/yOI0
モノクマ「……まあいいか。この際」

モノクマ「最期くらい大笑いしていたいしね」

モノクマ「アーッハッハッハッハッハ!」ザザッ

モノクマ「アーッハッハッハッハッハ!」ガリガリッ

モノクマ「アーッハッハッハ……」

モノクマ「ハ……」

ブツンッ

バタリッ

モノクマ「……」

モノクマ(卒業、おめでとうの一言くらいは言いたかったけどね)

モノクマ(……)

452: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 06:51:31.64 ID:CQM3/yOI0
最原の自室

白銀「……えーっと、それじゃあお互いに無事を確認できたし、私はそろそろ部屋に……」

最原「戻っちゃうの?」

白銀「……まだいようかな」

最原「よかった」

白銀「……もう。甘えん坊だなぁ。病み上がりなのに」

最原「ボロボロなのはもうお互い様だよ」

白銀「……とても頑張ったよね。最原くん」

白銀「みんなと仲良くなって……私を救って……」

最原「僕一人じゃ無理だったよ。いろんな人の協力あってこそ、だった」

白銀「そっか」

白銀「……全部嘘でもさ。こんなに強くなれるんだもん」

白銀「嘘で世界を変えたキミが、今更女の子一人程度、守れないはずがない、か」

最原「……」

最原「一番最初に嘘で変わったのは僕だった」

白銀「ん?」

453: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 07:10:27.24 ID:CQM3/yOI0
最原「キミの嘘で、僕はキミのことを好きになった」

最原「でさ。それでキミが影響された」

最原「……結局さ。キミも自分自身の嘘で変わっちゃってるんだよ」

最原「嘘は無力なんかじゃないって自分で証明してたんだ」

白銀「……そうだね。そういえば、そうだ」

白銀「バカだな、私。最後の学級裁判になる前に知ってたんだね」

白銀「外の世界が用意したフィクションの希望に、今更最原くんが縋るわけないって」

白銀「真実を自前で掴めるんだからさ。そんなもの元からいらないよね」

最原「うん。あれはないよ。白銀さんを殺すわけにはいかない」

白銀「……」

白銀「ダメだ。幸せすぎる」

白銀「やっぱりさ。悪いって思うよ。みんなを殺した私が、こんな……」

最原「うん。それでいいと思う。多分、白銀さんは永遠に救えない」

最原「でも僕は許すよ。一生をかけて、唯一生き残った僕が白銀さんを許す」

最原「……死んだ後に地獄に堕ちるんだとしても、生きている間くらいは絶対に」

白銀「……最原くん」




白銀「キスしていい?」

最原「え。ダメだよ。病み上がりだし……」

白銀「……ダメ?」

最原「……」

最原「ここから出れたら、その、たくさんするから……今は、やめよう? ね?」アタフタ

白銀(可愛いなぁ)クス

454: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 07:25:13.68 ID:CQM3/yOI0
白銀「私を引き留めて置いて、今更何を……って感じだけど」

白銀「……救えない、か。本当にそうかな」

最原「え?」

白銀「このままここで寝てさ。明日の朝に、何かの間違いで私が死んじゃってて、二度と目覚めないとしてもさ」

白銀「私、悔いはないよ」

最原「……」

白銀「もう充分。キミは救っちゃいけない人間まで救っちゃった」

白銀「ありがとう。大好き、最原くん」

最原「……明日はお互い治療に専念しない?」

白銀「え」

最原「それでも十日目が残ってるからさ」

最原「そのときに思い切り遊ぼうよ」

白銀「……デートの約束?」

最原「うん」

白銀「……あ、あれ。なんだろう。顔が熱くなってきた」

白銀「今更なのに」

最原「……これが引き延ばし。明日死んでも悔いがないとか、言わせないよ」

白銀「なんかズルいなぁ!」

最原「……今日はこのまま寝たい気分だ……」

白銀「あ、うん。そうだね。明日の朝に東条さんが見回りに来る前に起きて戻れば大丈夫かな……」

最原「バレたらお終いだね」

白銀「……地味に恐ろしいよね」

白銀「先に起きたら私を起こしてね。医務室に戻るから」

最原「うん」

白銀「……おやすみ、最原くん」

455: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 07:43:20.51 ID:CQM3/yOI0
白銀「……」スヤァ

最原「……よし。白銀さんは寝た、な……」

最原「……探しに行かないと」



屋外 寄宿舎出入り口周辺


最原「……モノクマ……」

モノクマ「……」

最原「入間さんから聞いたよ。無理したら壊れるって状態だったらしいじゃないか」

最原「バカだな。何もこんなことのために無理しなくってもさ」

最原「……」

最原「白銀さんに僕を会わせたかったの?」

最原「……」

最原「ここから出たらさ。チームダンガンロンパに入るのも悪くはないかも」

最原「それで、今度は人が死なないコンテンツを作ってさ……そのときはお前がマスコット」

最原「礼としてはここら辺が妥当かな」

最原「……白銀さんが悲しむよ。だから、僕はお前のことも助ける」

最原「待ってて」

456: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 08:00:26.29 ID:CQM3/yOI0
最原「……ところでお前、なんかコーヒー臭いんだけど」

最原「何があったんだ?」

モノクマ(あのフランス野郎絶対殺す。弔いだとか言ってコーヒーぶっかけやがって……)ビキビキ


一応善意だった

457: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 08:00:53.72 ID:CQM3/yOI0
休憩します!

458: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 09:05:17.01 ID:CQM3/yOI0
九日目 最原の自室(現最原の病室)


東条「……」

白銀「……んん」スヤァ

最原「……むにゃ」スヤァ

東条「……ハリセン用意」スチャッ

東条「ファイア!」スパパーンッ!

最原&白銀「痛たーーーッ!?」

東条「何をしているの?」ゴゴゴゴゴ

白銀「……あ。いけない。寝過ごしちゃった」

最原「最悪の展開だ!」ガビーンッ!

459: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 09:09:29.84 ID:CQM3/yOI0
東条「……ふふ。まあいいわ。説教はなしにしてあげる」

東条「おかえりなさい、白銀さん。これで全員揃ったわね」ニコリ

白銀「……」

白銀「うん。ただいま、東条さん!」

東条「じゃあ全員叩き起こして来るわね」

白銀「え」

東条「この喜びを全員で分かち合わないと損だもの」

白銀「え。ちょ。まだ朝六時……早いよ!?」

東条「じゃあ行ってくるわね」スタスタ

白銀「人の話聞かないなあの人!?」



スパーンッ イテェ!
スパーンッ キャア!
スパーンッ エデ……ワタシハ……


白銀「しかも一人ひとりハリセンで目を覚まさせているみたい!?」

最原「アグレッシブだな」

460: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 09:22:29.46 ID:CQM3/yOI0
十分後

王馬「鍵開けは俺がやっていましたー!」ピースピース

獄原「よかった! 本当によかったよ! 白銀さんが元気になって!」

真宮寺「ククク。まさに愛と勇気が勝つストーリーだよネ! 人間って素晴らしい!」

アンジー「にゃははー! 待っててねー! 今アンジーの神様がコーヒーを持ってくるからー!」キラキラ

百田「神様をパシリにしてんのか!?」

春川「ていうか神様なんているわけないでしょ」

赤松(春川さん、霊感とか全然ないんだね。アレが全然見えてなかったみたい……)

入間(そっちの方がいい気がするけどな……)

赤松「それはそれとして! どうする? ピアノとか弾く!?」

赤松「ショパンでもドビュッシーでもモーツァルトでも何でも弾くよ!?」

キーボ「……不思議ですね。目覚めてほしいと願っていたはずなのに」

キーボ「いざこうして目の前に立つと、どうしたらいいのかまるでわかりません」

王馬「いや、たかがロボットには期待してないから。大人しく置物にでもなってろよ」

キーボ「空気清浄くらいはできますよ! ただの置物と侮らないでください!」

天海「なんか反論がズレてるっす」


ワイワイガヤガヤ

461: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 09:34:34.81 ID:CQM3/yOI0
茶柱「……いい目をしています。あの死の行軍で、何か吹っ切れたみたいですね」

茶柱「ちょっと綺麗になりましたよ、白銀さん」

星「ふん。悪くねーな」

白銀「え。えーと、地味に反応に困るな。そんな褒められても」

夢野「東条。今日はうんといいものが食べたいぞ。夕飯は豪華にしてくれ」

東条「心得たわ」

アンジー「……あ。神様……うん。うん……ありがと……」ゴソゴソ

百田「ん。アンジー。ドアんところで何してんだ?」

アンジー「はいコーヒーお待ちどー!」ジャーン!

白銀「うわ! 凄い豪華そうなティーセット! ていうかいつの間にコーヒー淹れたの!?」

アンジー「淹れたのは神様だってー!」

白銀「ええと、二人分あるけど」

アンジー「あ。アンジーの分とつむぎの分ね」

最原「僕の分じゃないんだ!?」

天海「もうすっかり彼も影の仲間っすね……」

最原「?」

百田「さあ! 今日は祝うぞ盛大にな!」

東条「二人はまだ治療だけど」

百田「じゃあ二人を抜きでお祝いだ!」

最原「本末転倒だよッ!」ガビーンッ!

462: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 09:51:22.50 ID:CQM3/yOI0
入間「俺様の生体糊は完璧だぜ。患部にベットベト塗るだけでハァハァ」

入間「す、すぐに……いぃ……っ! えちゃうの! 傷が!」 

最原「普通に癒えるって言って。無理に  く言う必要ないから」

入間「もう走ったりしない限りは傷は開いたりしねーだろ。最原は退院でいいんじゃねーか?」

東条「……ま、そうね。最原くんは先に、ね」

白銀「えっ。ずるい」

赤松「まあまあ。白銀さんもすぐに完治するから。だよね?」

東条「この分なら……薬もある程度モノクマに貰ったものが残ってるから問題はないわ」

東条「……私に任せてちょうだい」

463: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 10:02:40.89 ID:CQM3/yOI0
星「まだ時間は残っている。さあ。これから、何をする?」

星「首謀者代理。テメェの企画なら乗ってやってもいいぜ?」

最原「えっ」

百田「そうだな。モノクマはもういねぇが、モノクマーズは残ってる」

百田「権利のすべてが消えたわけじゃねーだろ?」

王馬「ああ、そっかー。最原ちゃんを脅せば、この学園を好きにし放題だよね」

最原「えっ。えっ」

赤松「ピアノのチューニングをお願い!」

茶柱「転子の研究教室のさらなる充実を!」

百田「ロケットだ! ロケットを出せ!」

最原「どれも無茶ぶりすぎる!」ガビーンッ!



白銀「……今、なんて言ったの?」

百田「あ? ロケット……」

白銀「じゃなくって、モノクマがいないって?」

百田「あっ」

春川「……バカ」

464: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 10:09:06.74 ID:CQM3/yOI0
寄宿舎の外


白銀「……モノクマ」

モノクマ「……」

白銀「バカだなぁ。あんなことのために壊れちゃうなんてさ」

白銀「……朝まで待てば、どうせ私、最原くんに会えたのに」

白銀「……」

最原「白銀さん……」

入間「……稼働しないっていう選択肢はなかったんだろ」

入間「ぶっ壊れるよか、役目を果たせず終わる方が機械にとっちゃ致命的だ」

入間「コイツはコイツなりの行動目的に殉じた。ただそれだけだ。悲しむことじゃねぇ」

キーボ「……」

真宮寺「いなくなったらいなくなったで、寂しいネ。口やかましいクマだったけど」

百田「でも仲間だった」

最原「うん」

白銀「……」

465: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 10:10:31.61 ID:CQM3/yOI0
白銀「ところでなんでコーヒー臭いの?」

全員「さあ?」

モノクマ(チクショーーー! しまらないーーー!)ズーン

466: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 10:13:38.52 ID:CQM3/yOI0
休憩します!

469: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 11:23:06.00 ID:CQM3/yOI0
白銀「……外に出るときは一緒だよ。モノクマ」

白銀「今まで本当にお疲れ様」

白銀「……私のワガママにつきあってくれてありがとう」

最原「……真面目に礼を言っても茶化すだけだろうけどさ」

最原「多分、今の言葉でちょっとは報われたんじゃないかな。モノクマ」

白銀「どうだろ。わかんない」

アンジー「主は言っていました。"彼の物語にこそ喝采がふさわしい!"」

アンジー「"なればこそ! オレはその生に敬意を表する!"と」

最原「なんか最近アンジーさんの神様が大仰だな……」

天海「でも俺も概ね同意っすよ。ムカつくマスコットっすけど、それとこれとは話が別っす」

百田「おっし! 外に出るときはモノクマも一緒だ! 決定事項だぜ!」

春川「……モノクマのことまで救うの?」

百田「文句あっか!?」

春川「ないよ。バーカ」フフ

百田「バカって言うな!」

470: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 11:30:30.08 ID:CQM3/yOI0
モノタロウ「じゃあオイラたちのことも一緒に連れてってよー!」ヒシッ

最原「はっ!? あ、も、モノクマーズ!?」

モノファニー「廃棄処分はイヤー!」

モノダム「助ケテホシイナ」

モノキッド「スクラップは御免だー! スクラップにする方なら大好きだけどよ!」

モノスケ「ということで、ワイらのことも頼むわ。新首謀者」

最原「厚かましい!」ガビーンッ

百田「あ。そいつらのことは終一に任せるぜ」ヒキッ

最原「お願い見捨てないで! コイツら本当に鬱陶しくて……!」

最原「纏わりつくなッ!」

モノタロウ「わー! 怒られたー!」

白銀「……あははっ」

471: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 11:40:30.44 ID:CQM3/yOI0
最原(と、まあ九日目もおおよそこんなものだった)

最原(外の世界がどうなっているのか……まだ僕たちにはわからないけど)

最原(この分だと全員出られるだろう。そして、そのときイヤでも真実がわかる)

最原(僕たちの存在が本当に嘘だったのか……やっぱりまだわからないことだらけだ)

最原(僕たちは外に出たら何がしたいかを全員で話し合って)

最原(夕飯は東条さんが腕を振るった祝いの豪華な晩餐をとって)

最原(赤松さんの研究教室と放送のスピーカーを無理やり繋げて学園中に音楽を流したりもした)

最原(……そして、最終日)



十日目

472: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 11:48:03.50 ID:CQM3/yOI0
最原「……せっかく歩き回っていいって許可が出たのにさ」

最原「校舎をぶらつくだけでいいの?」

白銀「いいの! だって思い出の校舎だもん!」

白銀「前回、キーボくんに粉々にされちゃったときは本当に涙目になるほどだったんだよ?」

最原「そ、そこまで……」

白銀「最原くんにとっては、やっぱり仲間を失った悪夢の校舎、かな」

最原「……いや。思い出は僕もあるよ」

最原「外に出るのは、やっぱり寂しい」

白銀「……私たちだけは残っちゃおうか?」

最原「え」

白銀「で。一生二人っきりで暮らすの。楽しそうじゃない?」

最原「……」

最原「流石にそれはイヤだ」

白銀「はは。冗談。嘘だよ、最原くん!」

最原「キミとは色んな場所に行きたいからさ」

白銀「……」

白銀「うん。あ、そうだ。一緒にコスプレするって約束、私、まだ忘れてないからね」

最原「うん」

473: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 12:00:32.69 ID:CQM3/yOI0
食堂

百田「終一と白銀はデートか。一体どこに行くんだろうな」

春川「女子トイレ……」ボソッ

赤松「え。なんて言った?」

春川「なんでもない」

赤松「……ねえ。デスロードで帽子のモノクマに言われたこと、覚えてる?」

百田「もう忘れた」

赤松「え」

百田「俺は俺だ。他人がどうこう言おうが関係ねぇ」

赤松「……そっか」

赤松「うん。そうだね! 私、ピアノが好きなのは本当だから!」

春川「私はもし嘘だったらな、ってちょっとは思うけど」

百田「あ?」

春川「……もしもこの才能が嘘だったら、どんなに……」

赤松「春川さん?」

百田「……ハルマキ。俺は今のテメェのことが好きだぜ?」

春川「えっ」

百田「だから今更嘘だとか言うな」

春川「……えっ」

赤松「……」

赤松「……」ニヤァ

春川「な、何その顔! 殺されたいの!?」

赤松「後はごゆっくりー!」ダッ!

春川「待っ……!」

春川「……」カァァ

春川「その言葉、もう撤回しないでよ」

百田「お? おう。男に二言はねーぞ?」

百田「なんで顔真っ赤なんだ?」

春川「うるさい」

474: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 12:12:46.21 ID:CQM3/yOI0
裏庭周辺

王馬「やっぱり諦めきれねぇ! 俺はっ……俺は手塚●虫に会うんだーーー!」

獄原「うーん。もうこの学園にはいないんじゃないかな……」

王馬「そ、そんな……俺は……俺はマンガの神様への足掛かりを失ったっていうの……!?」

王馬「うびゃああああああうあうあう! あんまりだァーーー!」ビエェェン!

獄原「お、王馬くん! そんな泣かないで」

獄原「ほら! ゴン太の研究教室で虫さんと和もうよ!」

王馬「和めるか! ふざけんなよこの脳筋!」

王馬「……」

王馬「いや。どうせ最後だ。行こうか。ゴン太の研究教室」

獄原「えっ」

王馬「まあ退屈はしなさそうだしね」

獄原「……お、王馬くんんんんん!」

王馬「うっわ、泣くなよ! そんな図体してて! 鬱陶しい!」

475: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 12:19:44.58 ID:CQM3/yOI0
入間の研究教室

入間「おっしと。メンテ終了。もう起きていいぜ、キーボ」

キーボ「……入間さん。最後に訊きたいことがあります」

入間「あ?」

キーボ「モノクマに対して、あなたは言いました」

キーボ「ぶっ壊れるよか、役目を果たせない方が機械として致命的と」

キーボ「じゃあボクの役目って、一体なんなんでしょう」

入間「自分で決めろ。面倒くせぇ」

キーボ「えっ」

入間「強いて言うなら、それを探すのがテメェの役目だろうが。俺様に訊くな」

入間「えげつねぇ   付けられたくなかったらな」

キーボ「……」

入間「一応言っておくが、人間だってそういうの探してるんだよ」

入間「別にテメェだけに課せられた義務ってわけじゃねぇ」

入間「ま。俺様の役目はわかってる。発明を作って作って作りまくることだ!」

入間「この結論に一切の疑いの余地はねぇ! 俺様は天才だからな!」

キーボ「……ブレないですね、あなたは」

キーボ「ああ、でもそうか。探すことを役目にしてもいいんですね」

キーボ「……外の世界に出ても、よろしくお願いします! 入間さん!」

476: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 12:25:59.18 ID:CQM3/yOI0
倉庫

アンジー「……むいー。取れないー。取れないよー」ゴシゴシ

天海「あれ。アンジーさん。どうしたんすか、そんなところで」

アンジー「あ。蘭太郎ー!」

真宮寺「僕もいるヨ。う。なんか、薬品臭いね。何やってたんだい?」

アンジー「それがさー。今日起きてみたらさー。左手の甲に落書きがしてあったんだよー」

アンジー「誰にされたのかわからないけど、全然取れなくってさー」

アンジー「倉庫の薬品とか使っても効果なしだしー」

天海「落書き?」

真宮寺「……」

天海「……これ……落書きっていうか令――」

真宮寺「まだまだ外に出ても楽しそうなことがいっぱいありそうだネ!」ズギャァァァン!



???「クハハハハハハハハ!」

478: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 12:42:10.15 ID:CQM3/yOI0
中庭

星「……」

東条「こんなところでボーッとして、どうしたの?」

星「ふっ。いや。いろんなことがあったな、と考えていただけさ」

星「結局のところ、何が大切で、何がそうではないのかは気の持ちようなのかもな」

東条「……そうね。最初は私たちは、二人を助けることを拒絶したんだったわね」

星「この学園での生活すべてが嘘だってわけじゃない」

星「そんなことわかっていたはずだったのによ……ついつまらねー意地を張っちまった」

東条「でも最終的には助けたわ」

東条「……しかも命懸けだったのよ。これでチャラにするにしてもお釣りが来るわ」

星「俺はそうは思わねぇ」

星「だからって何ができるってわけじゃねーけどな」

東条「……」

東条「外に出れば、何をすればいいのか考える時間はいくらでもあるわ」

星「死刑囚に時間を説くか」

東条「……どっちにしろ、次があったら間違えないようにすればいいだけ」

東条「こんな学園に連れてこられるなんて、私は想像もしてなかったわ」

東条「……時間はあるかもしれないし、ないかもしれない」

東条「次があるかもしれないし、ないかもしれない」

東条「……いい方に考えてみましょう?」

星「……」

星「そうだな。ちょっとくらいは」

479: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 12:53:34.60 ID:CQM3/yOI0
夢野の研究教室

夢野「……よしと。おおよそこんなもんじゃろ」

茶柱「す、凄かったですよ夢野さんの魔法!」

茶柱「これを独り占めできた転子は地球一の幸せ者です!」キャー!

夢野「大袈裟……ってほどでもないか。ウチの魔法じゃしの」

夢野「……」

夢野「ちょっと聞きたいことがあったんじゃが」

茶柱「ん? なんですか、夢野さん」

夢野「お主、最原の首謀者バレのとき、ヤツを有罪にしたいと言っておったよな?」

夢野「その割には、途中から最原に肩入れしておった、と思っての」

夢野「お主、男子は嫌いでも最原のことはそこまで嫌いではなかったのではないか?」

茶柱「……さて。どうでしょう」

夢野「お主にしては歯切れが悪いのう」

茶柱「今更考えても仕方ないですし。本当に転子にもわからないですからね」

茶柱「ただ、最原さんのこちらを見る目が、やたら親し気でこそばゆかった、と言いますか」

茶柱「……知り合いにでも似てたんですかね?」

夢野「……他人とは思えんかった、と?」

茶柱「変な話ですけどね。少なくとも最原さんの方は確実にそう思ってたはずです」

茶柱「……ま。それだけですよ」

夢野「そうか。変な話してすまんかったの」

夢野「……もうちょっと続けるか」

茶柱「やったー!」

480: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 13:17:25.41 ID:CQM3/yOI0
白銀の研究教室

白銀「……」

白銀「ねえ。結局さ。どこからどこまで嘘だったんだと思う?」

最原「え?」

白銀「……もしかしたらさ。最原くんの記憶全部、コロシアイしてたっていうものも含めてさ」

白銀「思い出しライトで作ったものだった、とか思わない?」

最原「そうなの?」

白銀「……いや、違うけどさ」

最原「キミがそう言うのなら、僕にとってそれが真実だ」

白銀「……そこまで信じられるとさ。怖いよ」

白銀「いつか裏切っちゃいそうで、さ」

最原「もう一回裏切られてるけど、僕は白銀さんのことを嫌いになってないよ?」

最原「……いや。むしろ裏切られる前より好きかも」

白銀「や、やめてよ! 元非リアの女の子にそんな台詞! 恥ずかしい!」

白銀「……」

白銀「二人きり、だけど……」

最原「うん?」

白銀「……で、私、元気だけど。今のところ」

最原「うん」

白銀「……まだキスしてくれないの?」

最原「……」

最原「キミの台詞も大分恥ずかしいんだけど」

白銀「心配するな。自覚はある」キリッ

481: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 13:25:27.67 ID:CQM3/yOI0
最原「……もう、いいんじゃないかな、とは思うよ」

白銀「えっと、じゃあ、その……」

白銀「……やっちゃう?」

最原「……うん」

白銀「あの、あの、病み上がりだから、優しく……」

最原「……ん? あれ。キスだけだよね?」

白銀「……言わせる気?」

最原「……いや。もう充分だよ」

最原「キスだけで終われなかったら、ごめん」

白銀「んっ……!」



キーボ「ハッ! ボクの内なる声が叫んでいます!」

キーボ「今すぐ白銀さんの研究教室に行けと!」

入間「は? 急に何言ってんだお前」

キーボ「もっとクセを出して走れーーー!」ガションガションガションッ!

入間「ああっ!? おい! キーボ!?」

482: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 13:31:52.89 ID:CQM3/yOI0
キーボ「走れー! 明日へー! 続くー! 進化の道はー!」ガションガションガション!

キーボ(……走りながら、ボクは思っていた)

キーボ(あ、これ多分、どこかから操作されてるな。ボク、と)

キーボ(……さっき、入間さんに言われたばかりだ)

キーボ(ボクの役目は、ボクが探すものだと……)

キーボ(……そうだ。それなら、ボクは、こんな声なんかに)ピタリッ



キーボ「うおおおお! こんな声なんかに……」ガタガタ

赤松「ん? キーボくん? どうしたの、こんなところで震えて――」

キーボ「こんな声なんかに支配されてたまるかァーーーッ!」ボキィッ!

赤松「きゃああああああああああ! キーボくんがアンテナむしったーーーッ!」ガビーンッ!

483: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 13:34:51.54 ID:CQM3/yOI0
キーボ「じ、自由だ。これで。ボクは操り人形なんかじゃない!」

キーボ「あははははは! 最高に『ハイ』ってヤツだァーーー!」

赤松「入間さん! キーボくんが壊れてる! 入間さん! 入間さーーーんッ!」

キーボ「修理なんかされてたまるか! こんなアンテナこうだ!」ブンッ!


ガシャァァァンッ!


赤松「アンテナを窓にぶん投げたーーーッ!?」


もう二度とアンテナがキーボの頭に戻ることはなかった

486: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 16:18:53.17 ID:CQM3/yOI0
最原(……僕のワガママと、白銀さんのワガママが合わさって産まれた学園生活は、終わる)

最原(これでダンガンロンパは完全に終了)

最原(この密室から生まれた僕たちの存在は、外に出たら消えてしまうのだろうか)

最原(……なんて、今更こんなこと、まったく心配はしていないのだけど)

最原「さあ。行こう白銀さん」

最原「今度はみんな一緒に学園を出よう」

最原「もうひとりぼっちなんかじゃないから」

白銀「……うん!」

487: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 16:27:08.31 ID:CQM3/yOI0
みんなさよなら才囚学園

百田「でっけー出口だな!」

春川「この向こうが外の世界、か……」

赤松「みんな! 忘れ物はない!?」

王馬「うぐうう……心臓を部屋に忘れてきてしまった。もうすぐ死んでしまう」

獄原「ええっ!?」ガビーンッ!

天海「嘘っすから大丈夫っす」

アンジー「……うん。アンジーも大丈夫ー! だと思う。落書き消えてないけど」

真宮寺「ククク! 学園の外でもよろしくね夜長さん!」

入間「なあ。怖ぇ。キーボがさっきから超怖ぇぞ」

キーボ「ボクは外の世界を破壊します! もう二度と操られないために!」

夢野「なに言っとんじゃコイツ」

茶柱「大丈夫ですよー、夢野さん。あんまり行き過ぎるようなら転子が〆ますので」

星「さてと。鬼が出るか蛇が出るか……」

東条「……ふふ。ちょっとだけ楽しみね」

488: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 16:32:33.32 ID:CQM3/yOI0
最原「本気でお前らもついてくるのか……」

モノタロウ「ついていくよ!」

モノファニー「お願いだから見捨てないでよー!」

モノキッド「もっとミーはキサマラとヘルイェーしたいぜ!」

モノダム「……仲良クシヨウヨ」

モノスケ「ま。そういうこっちゃ。首謀者になったキサマの不運ってやっちゃな」

最原「ええー」

白銀「……最原くん。大丈夫? モノクマ、重くない?」

最原「うん。危ない機能とかは極力入間さんに取り外してもらったから、意外と軽いよ」

白銀「……また喋ってくれるよね。モノクマ」

最原「……うん。きっと」

真宮寺「さァ。ドアを開けようヨ!」

モノタロウ「良し来た! 開けるよー!」


ポチリ


ズガガガガガガガガッ!

489: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 16:44:56.49 ID:CQM3/yOI0
最原(何度も夢に見た、全員での脱出。それが僕の目の前で現実として存在する)

最原(……あの人たちと同一人物じゃないかもしれないけど、それでも確かに――)

モノクマ「――オマエラ。卒業おめでとう」

最原「!」

白銀「……最原くん、今……!」

最原「……うん」

百田「俺にも聞こえたぜ」

赤松「……心残りは全部消えたね」

最原(……物語は終わらない)

最原(僕が願う願わない関係なしに続いていく)

最原(目の前にあるのはいつだって白紙のページ)

最原(……それを一緒に好き勝手に書いていく)

最原(仲間と一緒に。あるいは、誰かに追い詰められながら)

最原(……隣にいる誰かを守りながら)

最原(それは、なんてやりがいのある――)

490: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 16:46:39.98 ID:CQM3/yOI0
最原「二周目は彼女と共に」 白銀("嘘"! だけどね!)

THE END

491: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2017/05/14(日) 16:56:07.06 ID:CQM3/yOI0
最原「……ところで、知らない人がいるけど、どちら様?」

なんか復讐しそうな人「……」ニヤァ

なんか復讐しそうな人「休む暇はないぞ!」

アンジー「およ?」

なんか復讐しそうな人「さあ! 次の物語を始めようではないか!」ギンッ!


NEXT
アンジー「聖杯戦争?」



モノクマ「いや続かないよ!?」ガビーンッ!

モノクマ「これで終わり! 終わりーーーッ!」




終結!