1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:10:05.12 ID:ObcQCwTV0
臼井「……こ、ここは?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:13:11.74 ID:ObcQCwTV0
臼井「たしか、山登りをしていて」

臼井「きれいな花を見つけて、資料にと撮ろうと思って」

臼井「……いててっ!」

臼井「そこから、思い出せないな」

臼井「それよりも、どこなんだ、ここは……」

臼井「春日部、か?」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:15:48.00 ID:ObcQCwTV0
シロ「アン! アン!」

臼井「!!」

臼井「……そんな!」

シロ「アン!」

臼井「シロじゃないか……」

シロ「くーん」

臼井「どういうことだ……」

臼井「……シロ、わたあめ!」

シロ「アン!」

臼井「……やっぱり」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:18:16.92 ID:ObcQCwTV0
臼井「いやいや、そんな馬鹿な」

臼井「これじゃあまるで、漫画の世界に迷い込んだみたいじゃあないか」

臼井「そんなこと、あってたまるか」

臼井「……そうだ、春日部から出よう」

ぶりぶりざえもん「でられやしないさ」

臼井「!!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:20:54.27 ID:ObcQCwTV0
ぶりぶりざえもん「でられやしない」

臼井「……ははは」

臼井「冗談はよしてくれよ」

ぶりぶりざえもん「冗談なんて言わないさ」

臼井「ぶりぶりざえもんじゃあないか」

ぶりぶりざえもん「いかにも!」

ぶりぶりざえもん「……ふっ」

ぶりぶりざえもん「あいつがいたら、「タコにも」なんて言っただろうな」

臼井「……本物なんだな」

臼井「どうして」

ぶりぶりざえもん「おまえは、死んだんだよ」

臼井「……えっ?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:24:51.44 ID:ObcQCwTV0
臼井「ウソだ!」

ぶりぶりざえもん「信じなくてもいい」

ぶりぶりざえもん「ただ、先輩としてひとつアドバイスだ」

臼井「……先輩?」

ぶりぶりざえもん「おまえの意識が残ってるのも、そう長くは無い」

ぶりぶりざえもん「そして、もう気づいていると思うが、ここは、お前が創り出したあの春日部だ」

臼井「……」

臼井「……ということは」

ぶりぶりざえもん「ああ」

ぶりぶりざえもん「あの一家もいる」

臼井「……」

ぶりぶりざえもん「もう一度言う」

ぶりぶりざえもん「お前はもう長くない」

ぶりぶりざえもん「会いたくはないのか?」

ぶりぶりざえもん「……しんのすけに」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:28:45.82 ID:ObcQCwTV0
臼井「ちくしょう!」

臼井「会いたいさ!」

臼井「にわかに信じられなかったが、お前をみちまったんだ」

臼井「信じるしかない!」

臼井「そして、しんのすけに一言いってやるんだ!」

ぶりぶりざえもん「……ふっ」

ぶりぶりざえもん「そうだな」

ぶりぶりざえもん「おっと、アドヴァイス料、10億万円もらおうか」

臼井「……ローンも可、だろ?」

ぶりぶりざえもん「ふはははは」
臼井「はははは」

ぶりぶりざえもん「じゃあな、健闘を祈ってるよ」

さらさら

臼井「あっ!」

臼井「消えた」

臼井「ぶりぶりざえもん……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:32:19.96 ID:ObcQCwTV0
臼井「そうときまれば、いそがなくては」

臼井「携帯は……やっぱりないか……」

臼井「……ん?」

臼井「……デジカメだ」

臼井「!!!!」

臼井「……指先が……透けてる」

臼井「そうか! まあ、わかりやすくていいじゃないか!」

臼井「シロ! 連れてって行ってくれ!」

臼井「しんのすけのもとに!」

臼井「アン!」

?「させないよ!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:38:13.10 ID:ObcQCwTV0
臼井「……おまえたちは!」

「ふかづめ 竜子!」

「魚の目 お銀!」

「ふきでもの マリー!」

竜子「三人合わせて」

「「「埼玉紅さそり隊!」」」

臼井「おー、師匠ー」

竜子「だーれが師匠じゃ!」

臼井「いや、そんなことよりも、ここを通してくれ!」

臼井「俺はしんのすけにあわなきゃいけないんだ」

竜子「へっ!」

竜子「あのくりくり坊主か」

竜子「それなら、私たちを倒して行きな」

お銀「そうだそうだ!」

マリー「原作で出番すくないんだよ!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:45:05.66 ID:ObcQCwTV0
臼井「ちくしょう! 時間が少ないってのに……!」

?「臼井先生、助けに来たぞ!」

臼井「……お前は」

吹雪丸「大丈夫だったか!?」

臼井「吹雪丸!」

魚の目「女侍!?」

吹雪丸「……私は……」

吹雪丸「男だあああああああ」

ひゅん!

マリー「町中で刀ふりまわすなよー!」

臼井「ありがとう、吹雪丸!」

吹雪丸「はやく行けっ」

吹雪丸「しんのすけに会うんだろ?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:49:27.53 ID:ObcQCwTV0
竜子「……くそう」

竜子「最後まで出番無しってか……」

竜子「……そんなこと、あってたまるかよ!」

竜子「二人とも!」

お銀、マリー「おうよ!」

吹雪丸「わっ!」

からんからん

吹雪丸「くっ……」

吹雪丸「三人がかりとは、卑怯な!」

竜子「刀持ってるやつに言われたかないよ!」

竜子「さあ、臼井先生、どうする?」

臼井「くそっ! 吹雪丸!」

吹雪丸「私のことはいいから、行けっ」

臼井「でも……」

?「行けえ!」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:52:10.42 ID:ObcQCwTV0
臼井「この声は!?」

又兵衛「ここは預かった!」

竜子「また侍!」

ひゅん!

お銀「わわっ!」

吹雪丸「せっ!」

マリー「くそっ」

がしっ

吹雪丸「たすかったよ」

又兵衛「かまわん!」

又兵衛「しんのすけには……借りがあるのでな」

吹雪丸「……」

吹雪丸「ああ、私もだよ!」

臼井「お前ら……」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:54:10.15 ID:ObcQCwTV0
又兵衛「臼井殿、今のうちに!」

吹雪丸「ここは大丈夫!」

竜子「くそう! ふたりとも、もう臼井はいい! この二人をやっちまうよ」

魚の目「えー」
マリー「えー」

又兵衛「ご覚悟めされよ!」

吹雪丸「やああああああ!」


臼井「……ふたりとも、ありがとう!」

たったったった

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 01:59:04.83 ID:ObcQCwTV0
臼井「一難さったわけだが……」

がっ

臼井「うわっ! 危ない! 背後から、誰だ!?」

ミスターハブ「そこねたか」

臼井「お前は!」

ミスターハブ「そうだ、ホワイトスネーク団のハブだ」

臼井「ちくしょう、やっかいなやつが!」

ミスターハブ「悪いがここで、ジ・エンドだ」

ミスターハブ「くらええい!」

ひゅん!

ががががががががが!

ミスターハブ「ちっ!」

臼井「銃声!?」

おいろけ「またせたねっ!」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:04:05.33 ID:ObcQCwTV0
ががががががが

おいろけ「もう! 銃って下品だから嫌い!」

臼井「助かったよ!」

おいろけ「いいってことよ」

臼井「だんなは浮気してないかね」

おいろけ「おあいにくさま」

おいろけ「尻にしいてやってるから、無問題よ!」

おりろけ「夫婦喧嘩は耐えないけどね」

臼井「そうか!」

ミスターハブ「団欒してるひまなんてないだろ?」

ひゅん!

おいろけ「わっ!」

臼井「おいろけ!」

おいろけ「私は大丈夫だから、行って!」

臼井「……でも」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:09:19.48 ID:ObcQCwTV0
おいろけ「いいから! 早く!」

ミスターハブ「くらえ!」

ひゅん!

がっ!

黒磯「おまかせを」

臼井「黒磯!」

おいろけ「ひゅー! かっこいいおにーさんの登場だね」

黒磯「愛さまが望んでいるはずですから」

ミスターハブ「ふん、ボディーガード風情が」

黒磯「はっ!」

ぼこっ

ミスターハブ「!?」

黒磯「愛さまの身を守ることは、並大抵ではないのですよ」

おいろけ「子供を守ることもねっ!」

ばこんっ!

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:12:10.61 ID:ObcQCwTV0
ミスターハブ「うがぁ!」

ミスターハブ「くっ……くそう」

おいろけ「さあ、今のうちに!」

臼井「ああ、ありがとう!」

おいろけ「しんのすけに会ったら、よろしく伝えといてよっ!」

臼井「必ず!」

臼井「黒磯も、ありがとう!」

黒磯「……(こくり)」

ミスターハブ「行かせるかっ!」

おいろけ「おっと!」

べこん

ミスターハブ「フライパン?」

おいろけ「さあ、料理の時間だよ」

臼井「(頼んだぞ……)」

たったったった

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:15:26.51 ID:ObcQCwTV0
臼井「みたことあるような公園だな……」

ネネ「まさおくーん」

まさお「な、なんだい、ネネちゃん?」

ネネ「新しいおままごとの設定を考えたんだけど、やるでしょお?」

まさお「いや、きょうは、ちょっと、用事が……」

ネネ「や る わ よ ね ?」

まさお「ひいいいいいいい」

まさお「いつものネネちゃんじゃなーい!」

臼井「……あいつら……」

臼井「おーい、君たち……」

ネネ「……? こんにちはー」

まさお「ひっく、ひっく こんにち、はっ」

臼井「しんちゃんは、今どこにいるかな?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:19:51.39 ID:ObcQCwTV0
まさお「おじさん、しんちゃんの知り合い?」

臼井「まあ、そんなところかなぁ」

ネネ「あやしいわね、ちょっと警察に連絡しようかしら」

まさお「えー、でも、わるい人じゃなさそうだよ」

ス・ノーマン・パー「いやいや、こういうおじさんが、一番怪しいんだよ!」

まさお「ス・ノーマン先生!」

臼井「……なんてこった」

パー「ネネちゃんも、はやく誰かに連絡したほうがいいよっ!」

ネネ「そうね!」

臼井「ちょっと、待って!」

まさお「おじさん、なんか、ますます怪しいよ!」

臼井「このオニギリ……」

パー「へっへっへ」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:24:04.05 ID:ObcQCwTV0
ネネ「警察って、何番だったかしら」

まさお「たしか、119だよ」

パー「惜しいなあ! それじゃあ、赤いやつがきちゃうよ!」

まさお「あ、そっかー」

パー「警察は、いち、いち……」

ネネ「いち、いち……」

ボー「なな!」

ネネ「なな! っと」

パー「!!」

ネネ「あれ、おかしいわね? ちょうどをお知らせします?」

臼井「ボーちゃん」

ボー「ん!(サムアップ)」

ボー「それより、おしくらまんじゅう、しよう」

パー「!!!!」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:28:22.17 ID:ObcQCwTV0
まさお「いいねー、少し寒くなってきたもんね」

パー「このオニギリ……」

ネネ「じゃあ、あったかくなってからおままごとね、約束よ?」

ボー「ボ」

ボー「先生も、一緒に」

パー「オレッチは、遠慮しとくよ」

ボー「いいから」

まさお「先生もやろうよー」

ネネ「あっ、しいぞう先生だわ!」

パー「!!!!」

ボー「(ニヤリ)」

ボー「うすいせんせ、いまのうちに」

臼井「ありがとう!」

臼井「……」

臼井「ネネちゃん、今度おままごと入れてもらっていいかな?」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:31:55.42 ID:ObcQCwTV0
ネネ「えー、怪しいおじさんを?」

ネネ「……」

ネネ「まっ、いいわ。そのかわり、靴べらの役だからね」

臼井「ああ! 十分すぎるよ! ありがとう!」

しいぞう「あー!!! まさおくんに、ねねちゃんじゃないかー!!!」

しいぞう「キャンプファイヤーでもしようか!!!ね!!!ね!!!」

パー「ひいいいいいい」

ボー「せんせ、はやく」

臼井「ああ、ありがとな」

ボー「しんちゃんに、よろしく」

臼井「まかせとけ」

臼井「また、どこかで!」

ボー「ボ」

たったったった


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:38:48.35 ID:ObcQCwTV0
臼井「ついた……野原家だ」

臼井「いるのかな……」

臼井「ごめんくださ-い!」

臼井「……」

臼井「だよなあ」

臼井「!!!!!!」

臼井「くそっ!」

臼井「もう手首まで透けてるじゃないか」

臼井「急がなければ」

臼井「……ん? あれは?」

徳郎「あの、道をお尋ねしたいのですが……」

臼井「徳郎先生!!」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:42:28.37 ID:ObcQCwTV0
臼井「どうして……」

徳郎「どうかしましたか?」

臼井「……いや、なんでもないんだ」

徳郎「……? そうですか」

徳郎「ふたば幼稚園の場所をお伺いしたいのですが」

臼井「……」

臼井「すまない」

徳郎「えっ?」

臼井「いや、地元の者ではないんだ」

徳郎「そうだったのですか」

徳郎「それは、失礼しました」

臼井「……」

臼井「すまなかった」

徳郎「どうしたのですか?」

臼井「いや、謝らせて欲しいんだ」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:47:18.05 ID:ObcQCwTV0
徳郎「変わったお方だ」

徳郎「実は私、接骨院で働いていましてね」

徳郎「なにか病んでいましたら、骨の悩みでなくともお聞きしますよ」

臼井「……ありがとう」

臼井「そのうち、お邪魔させてもらうよ」

徳郎「ええ、お待ちしてます」

徳郎「それでは、失礼します」

臼井「ああ」

臼井「まつざか先生よろしくな」

徳郎「えっ?」

徳郎「……いない」

徳郎「誰だったんだろう……」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:55:36.47 ID:ObcQCwTV0
臼井「さて、どこに行けばいいものか」

臼井「そうだ、せっかくデジカメがあるんだから」
臼井「この町を撮っておくのもわるくないかな」

臼井「俺が創った、この世界を」

臼井「おっ」

臼井「ちょうどおあつらえむきなカップルが」

臼井「……なんてな」

臼井「どうせ、あいつらだろ」

ヨシリン「ミッチイイイイイイイイイイ」

ミッチー「ヨシリイイイイイイイイイン」

臼井「あははは」

臼井「ほんとに、もう」

臼井「幸せだなあ」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 02:59:08.88 ID:ObcQCwTV0
臼井「ちょっと、おふたりさん」

ヨシリン「ミッチイイイイイイイイイイ」

ミッチー「ヨシリイイイイイイイイイン」

臼井「おふたりさん!」

ヨシリン「ミッチーただいまあああ」

ミッチー「おかえりヨシリイイイン」

臼井「おあついですね、おふたりさん!」

ミッチー「あら、私たちのことね、ヨシリン」

ヨシリン「ああ、僕たちのことだね、ミッチー」

臼井「二人があまりに中むつまじいので、写真を撮りたいのですが」

ヨシリン「もちろん、おっけーさ。ね、ミッチー?」

ミッチー「ええ、ヨシリン。もちろんおっけーよ」

臼井「ありがとう じゃあいきますよ」

臼井「いちたすいちはー?」

ミッチー・ヨシリン「にー」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:03:04.53 ID:ObcQCwTV0
パシャ

臼井「ありがとう」

ヨシリン「きれいにとれてるだろ?」

ミッチー「愛の力ね、ヨシリン」

ヨシリン「ああ、そうだね」

臼井「あははは」

臼井「じゃあ、またどこかで」

臼井「これからも、末永くお幸せにな」

ヨシリン「いわれなくても!」

ミッチー「いわれなくても!」

ミッチー・ヨシリン「ねー!」

臼井「はは、またな」

ミッチー・ヨシリン「ばいばーい!」

臼井「さて、写りのほうは……と」

臼井「!!」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:09:37.97 ID:ObcQCwTV0
臼井「……なんだ、これ」

臼井「まっくらじゃないか」

臼井「所詮、空想の世界だとでもいうのか!」

臼井「くそっ!」

?「臼井くーん!」

ききききっ

臼井「この特徴的な声は」

北春日部博士「探したよ臼井くん!」

臼井「北春日部博士!」

リリ子「臼井先生!」

臼井「リリ子も! ということは……」

北春日部博士「そのアクション仮面なんだが」

北春日部博士「立ち話もなんじゃ。とりあえず、車に乗ってくれ」

リリ子「はやくはやく!」

臼井「……はいっ!」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:15:31.16 ID:ObcQCwTV0
臼井「……実は」

北春日部博士「しんのすけ君を探しておるのじゃろ?」

臼井「!!」

臼井「……はい、そのとおりです」

北春日部博士「おそらく、今しんのすけ君はアクション仮面と行動を共にしているだろう」

臼井「アクション仮面と!」

リリ子「今朝、しんのすけ君が家出をしたの」

臼井「家出?」

リリ子「ええ。ひろしさん、みさえさん、それに町内の人たち総出で探したのだけれど」

リリ子「結局見つからずじまい」

北春日部博士「探しに行くといってひろしくん、みさえくんもいなくなってしまったのだ」

臼井「……そんな」

北春日部博士「じゃが、心配することは無い」

臼井「!!」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:21:13.97 ID:ObcQCwTV0
北春日部博士「アクション仮面が探しに出かけて数時間がたつ」

北春日部博士「そろそろ見つかってもいいころあいじゃろう」

臼井「……そうですか」

リリ子「もう、あんまり心配を掛けさせないで欲しいですよね」

リリ子「って、きゃあ!」

どごん!

北春日部博士「車が幅寄せして、ぶつけてきたじゃと?」

臼井「誰だ!?」

ケン「……」

チャコ「……」

リリ子「あー、もう、退屈しないんだから」

北春日部博士「まったくじゃ」

臼井「……ほんとにもう」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:24:54.16 ID:ObcQCwTV0
ケン「……」

チャコ「……」

ケン「なあ、臼井よ」

ケン「生きるのって、疲れないか?」

チャコ「……」

臼井「いまそれを、俺に聞くのか」

ケン「お前は俺を、こういうふうに創ったんだ」

臼井「……」

ケン「後悔は早めに終わらせたほうがいい」

ケン「時間がないんだろ?」

チャコ「……」

臼井「生きたいさ!」

ケン「……」

ケン「……そうか」

チャコ「……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:28:31.04 ID:ObcQCwTV0
臼井「まだまだ生きていたいさ!」

臼井「しんのすけにも、幼稚園のみんなにも」

臼井「春日部のみんなにも、映画のみんなにも」

臼井「そして、お前ら二人にも」

臼井「もっともっと、生きてもらいたいんだよ!」

ケン「……そうか」

ケン「……わかった」

チャコ「……はぁ」

北春日部博士「……やつらの車が、減速していく!」

ケン「……わかった」

ケン「もう少し、生きてみるとするよ」

ケン「あのぼうずに、よろしくな」

ケン「……ありがとう」

臼井「……はあ、はあ」

臼井「なんだってんだ、ちくしょう!」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:35:24.97 ID:ObcQCwTV0
北春日部博士「大丈夫か?」

臼井「……はい」

臼井「それで、この車はどこに向かっているのです?」

リリ子「サトーココノカドーよ」

臼井「……どうしてまた?」

リリ子「アクション仮面から信号が送られてきたの」

北春日部博士「サトウココノカドウニテシンノスケクンハツケン」

北春日部博士「とな」

臼井「なるほど」

北春日部博士「ほれ、そうこう言ってるうちに、到着じゃ」

ききー

臼井「……」

リリ子「……あーあ」

北春日部博士「駐車場に、すごい数の……」

臼井「……サルだ」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:39:36.94 ID:ObcQCwTV0
ウキー ウキー

北春日部博士「だめじゃ、車から出られん」

リリ子「このサルたち、そうとう怒ってる……」

臼井「くそう、ここまで来たってのに!」

ウキー ウキー

臼井「足先も透けてきやがった!」

臼井「ここまでなのか……」

ウォウウォウォイェー

臼井「このBGMは!」

だんっ!

北春日部博士「ボンネットに誰かが!」

ぐわっしゃーん

リリ子「フロントガラスが!」

臼井「今度は誰だ!?」

パラダイスキング「俺だよ!!!」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:54:53.32 ID:ObcQCwTV0
パラダイスキング「あのガキには借りがあるんだよ」

臼井「……ったく」

臼井「あいつはそこらじゅうで貸し借りしやがって」

パラダイスキング「ふんふふーん」

パラダイスキング「ふふんふーん」

パラダイスキング「んー ダイナマイト!!」

しゅぼっ

北春日部博士「おいおいまさか」

リリ子「……ちょっとまずいわね」

がちゃがちゃ

臼井「くそっ、サルが邪魔でドアが開かない!」

パラダイスキング「ジ・エンドだ」

「トッペママペット!」

ぱんっ

パラダイスキング「……ダイナマイトが、バナナに!?」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 03:59:10.86 ID:ObcQCwTV0
トッペマ「臼井先生、間に合った?」

臼井「……ああ! ばっちりだ!」

パラダイスキング「くっ!」

パラダイスキング「お人形遊びもたいがいにしとけよっ!」

トッペマ「トッペママペット!」

ぱんっ

キー キー

臼井「ドアが開いた!」

リリ子「臼井先生、行って!」

臼井「でも、二人が」

北春日部博士「わしらは大丈夫じゃ!」

北春日部博士「わしが開発した、ストレートパーマ光線銃があるからな」

リリ子「……博士……それ、何に使う予定で?」

北春日部博士「……金儲けじゃ」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:04:01.10 ID:ObcQCwTV0
北春日部博士「……さ、さあ、臼井くん、行くんだ」

トッペマ「行って!」

トッペマ「しんちゃんに会ったら、私のこと覚えてるか、訊いてみてね」

臼井「そんなの、訊くまでもないでしょ!」

臼井「俺、行きます! パラダイスキングはよろしくお願いします!」

博士・リリ子「了解!」

トッペマ「トッペママペット」

ぱんっ

キキー キキー

パラダイスキング「くそ、入り口までの道がひらけちまった」

臼井「それじゃあ、ありがとう!」

北春日部博士「アクション仮面によろしくな」

リリ子「ふりかえらずに」

トッペママペット「いっけえええええ!」

たったったった

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:08:21.42 ID:ObcQCwTV0
キキー キキー

臼井「くそう、ふとももあたりまで透けてやがる」

臼井「……はあ、はあ」

臼井「店の中もサルだらけじゃないか」

キー キキー

臼井「エレベーターは動いてないし」

臼井「……はあ、はあ」

臼井「万事休すか……」

臼井「……階段、か」

臼井「ちょっとサルは多いが」

臼井「行くしかないよな!」

臼井「……」

臼井「……よっしゃ」

臼井「……春日部防衛隊」

臼井「ファイヤアアアアアアアア!!」

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:12:13.00 ID:ObcQCwTV0
キキー キキー

臼井「ほら、どけどけ!」

どさっ
キキー

臼井「俺は、会わなくちゃならないやつがいるんだ」

がしっ
キー

臼井「お礼を言わなくちゃいけないやつがいるんだ!」

キキー
キキー

臼井「こんなところで、まごついてられねえんだよ!」

臼井「うわっ!」

キキー キキキー

臼井「……くっそ! 重い!」

臼井「……ここまでなのか!?」

つーん

キキッ!?

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:15:55.39 ID:ObcQCwTV0
?「ほーれ、今朝から走り回って、相当汗っぽい靴だぞー」

ぽいっ

キキキッ!!!
キキー!!
キキッキキキー!!

臼井「……サルたちが、逃げていく」

臼井「……」

臼井「……ありがとう」

臼井「……ひろし」

ひろし「なーに、良いってことよ」

ひろし「それよりさ、もう時間ないんだろ」

ひろし「しんのすけなら、7階にいるから」

ひろし「早く会いに行ってくれや」

臼井「……ああ!」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:20:29.24 ID:ObcQCwTV0
臼井「……はぁ、はぁ」

臼井「まだ、五階……」

臼井「サルは減ったといえども」

臼井「辛いな、こりゃ……」

臼井「だめだ、もう、顔以外ほとんど透けてやがる」

臼井「もうだめなのかな……」

バシン!

臼井「いてえ!」

みさえ「だめじゃない!」

臼井「……みさえ」

みさえ「あんたねえ、いつまでうちの息子またせてるつもり!?」

みさえ「しんちゃんを泣かせたら、ただじゃすまないのよ!」

バシン! バシン!

臼井「いてえ!!」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:24:09.86 ID:ObcQCwTV0
みさえ「わかったら、さっさと走る!」

みさえ「ほら、ダッシュ!」

臼井「はいっ!」

みさえ「あと、これは、餞別!」

『げんこつ』

臼井「……っ!」

みさえ「ほら、行った!」

臼井「……ありがとう、みさえ!」

みさえ「……(コクリ)」

臼井「……」

臼井「おっしゃああああああ!」

臼井「もう、消えてもいい!」

臼井「俺は」

臼井「しんのすけに」

臼井「あいにいくんだああああああ!!!!」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:28:02.06 ID:ObcQCwTV0
臼井「……はあ、はあ」」

臼井「……ついた、7階」

臼井「……あの柄は、アクション仮面!」

アクション仮面「臼井先生、遅いぞ!」

臼井「……はあ、はあ」

臼井「ああ、待たせたな!」

?「ひっく、ひっく」

アクション仮面「ほら、しんのすけくん」

?「ひっく、ひっく、ずずっ」

アクション仮面「臼井先生が来てくれたよ!」

?「ひっっく、ぐすっ」

臼井「しん、のすけ?」

しんのすけ「ぐず……遅いぞぉ!」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:32:23.55 ID:ObcQCwTV0
臼井「……しんのすけ」

しんのすけ「オラ、すぅーっごく待ってたんだぞ」

しんのすけ「夜、すぅーっごく怖いゆめを見て」

しんのすけ「臼井先生がいなくなっちゃう夢で」

しんのすけ「オラが……オラが……」

しんのすけ「オラがおたすけしなくちゃ、て」

しんのすけ「ひっく、ぐす、うわーん!」

しんのすけ「臼井先生のおばかああ!」

臼井「……しんのすけ」

臼井「俺が、分かるのか?」

しんのすけ「臼井先生はおばかだ!!」

しんのすけ「オラが先生のこと分かってあげなくて」

しんのすけ「ほかに誰がわかるって言うんだあ!!!」

臼井「……っ!」

臼井「しんのすけ……」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:36:02.27 ID:ObcQCwTV0
臼井「遅くなって、ごめんな、しんのすけ」

しんのすけ「うわーん!!」

臼井「俺は、どこにも行かないから」

しんのすけ「うそだ!」

臼井「ずっとそばにいるから」

しんのすけ「うそだ、うそだ、うそだあ!!」

臼井「……しんのすけ」

しんのすけ「……だって、だって」

しんのすけ「だって、臼井先生」

しんのすけ「もう、おからだが消えちゃって、声しか聞こえないんだゾ!?」

臼井「……なんだって……」

しんのすけ「うわああああん!」

アクション仮面「……」

臼井「……そんな」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 04:57:58.96 ID:ObcQCwTV0
アクション仮面「なにか、してやれることはないのかな」

臼井「……くそう!」

臼井「……」

臼井「……」

臼井「……そうだ!!」

臼井「写真だ!!」

しんのすけ「ぐすっ?」

臼井「アクション仮面!」

臼井「このデジカメで、写真をとってくれ」

臼井「俺と、しんのすけの!」

しんのすけ「!!」

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 05:05:55.41 ID:ObcQCwTV0
臼井「よし、こんなもんだな」

アクション仮面「見えないんだが……」

しんのすけ「……臼井先生、みえないゾ」

臼井「大丈夫だから」

臼井「ほら、アクション仮面、頼むよ」

アクション仮面「あ、ああ、わかった」

アクション仮面「じゃあ、とるぞ」

臼井「しんのすけ!」

しんのすけ「?」

臼井「ちゃんと、わらえよな」

臼井「俺も、わらうから」

しんのすけ「……」

ごしごしっ

しんのすけ「うんっ!」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 05:14:04.08 ID:ObcQCwTV0
臼井「これで、思い残すことはないな」

しんのすけ「もう、いっちゃうの?」

臼井「ああ、正直もう意識がもうろうとしてるんだ」

しんのすけ「……そっか」

臼井「……」

臼井「……最後に、しんのすけ」

しんのすけ「お?」

臼井「――――」

さらさら

アクション仮面「消えた……」

アクション仮面「臼井先生は、最後になんて?」

しんのすけ「……」

しんのすけ「……聞こえなかったゾ」

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 05:18:16.29 ID:ObcQCwTV0
***

みさえ「しんのすけー! 起きなさーい! バス来ちゃうわよー!」

しんのすけ「うーん」

みさえ「あー! もー!」

ばっさばっさ!

しんのすけ「おー! ばかぢからぁー!」

みさえ「いいから、はやくご飯食べて!」

ひろし「あさからうるせーなー」

ひろし「朝のコーヒーで俺の一日がスタートするってのに」

しんのすけ「それ、しょみきげん昨日までだぞ」

ひろし「ぶふぉ!」

ぷっぷー!

みさえ「ほら、バス来ちゃった! しんちゃん、はやく!」

しんのすけ「ほっほーい!」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 05:20:58.12 ID:ObcQCwTV0
まつざか「おはようございまぁす」

みさえ「おはようございまーす」

みさえ「あら、今日はまつざか先生なんですね」

まつざか「そうなんですよ」

まつざか「よしなが先生、風邪気味らしくて」

みさえ「……まつざか先生、眼、はれてません?」

まつざか「あらやだ」

まつざか「昨日見た恋愛映画のせいね」

まつざか「そんなことより、しんちゃんは?」

みさえ「!!」

どたどた

みさえ「はぁはぁ」

みさえ「はい、お願いします」

しんのすけ「お着替えのとちゅうだゾー」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/04/06(火) 05:25:43.35 ID:ObcQCwTV0
ぷっぷー。

みさえ「さて、と」

ひろし「さて、俺も行くかな」

みさえ「はいはい、いってらっしゃい」

ひろし「お! この写真、玄関に置いたんだな」

みさえ「ええ。ほんと、二人とも最高の笑顔よね」

ひろし「そうだな」

がた

みさえ「あらやだ、落としちゃった」

ひろし「おいおい、大事に扱わないとしんのすけに怒られるぞー」

みさえ「……あら?」

ひろし「写真の、裏に何か書いてあるわね」



『オラも、ありがとう。
 臼井先生、大好きだゾ』

しんのすけ「臼井先生をおたすけにいくゾ」 fin

引用元: しんのすけ「臼井先生をおたすけにいくゾ」