15/06/03
今から数年前、新卒で就職した会社から転職をしたときの話。
新しく働くことになったA社は、社長の親戚が経営するB社と仲がよかった。
行事やイベントのときはAB社合同で行っていて、そのときに会ったのがB社に最近転職してきた華子(はなこ。もちろん仮名)だった。
私と華子は出社時期も一緒、しかも名前もほぼ一緒。
華子は鈴木華子(すずきはなこ)
私は鈴木花子(すずきはなこ)
みたいな感じで読み方は同じ。他にもびっくりするほど同じことが多い。
・血液型同じ、同学年、しかも誕生日が一日違い
・出身県同じ、生まれ育った地域もかなり近い(マイナーな地区なのに)
さらには、現在住んでいる最寄駅も同じだった。位置は正反対だけど、駅から徒歩5分は一致。お互いに背中を向けて同じくらいの距離を歩く感じ。
ここまで同じ人は珍しく、すぐに意気投合。ちなみに見た目はどう考えても華子の方が上です…。
同学年で出身地が近いし現住所も近い、さらには転職したばかりとあって華子と意気投合。お互いの最寄駅で食事をすることになった。
驚くほどに気が合って、お互いに不思議な感じに。とにかく華子と会って話をするのが楽しくて仕方がなかった。
それは華子も同じらしく、向こうから食事に誘ってきてくれた。気付けば出会ってから10日で3回は個人的に会っていたほど。
3回目の食事…実質最後に会ったときの会話。
華子の家の最寄コンビニCの××っていうスイーツがおいしい!とおすすめしてきた。お返しにというのは変だけど、私の家の最寄コンビニDの××っていうおつまみがおいしいとおすすめ。
お互いの住居から考えると、お互いの最寄コンビニが近いことになる。偶然会ったらよろしくね~なんて言いあって、その話題は終了した。ちなみに季節は冬。
最後に会ってから2日後の深夜2時くらいのこと。私は華子がおすすめしていたコンビニCのスイーツが無性に食べたくなった。
とっても寒い日の夜だったので、いつもならば絶対に行かない。でも本当に食べたくて食べたくて仕方がなかった。
ここから駅まで5分、さらにコンビニCまで5分かー。こんな寒い日に徒歩10分かー。でも…ものすごく食べたい!と20分くらいは葛藤していたと思う。
深夜2時半くらい、いきなりチャイムが鳴った。ビクッとしながら室内のモニターを見ると華子の姿。華子はラフな部屋着で下をうつむいている。
華子どうしたんだろう?と思ったけど、そもそも詳細な住所を教えていなかったことに気づく。
大まかな位置は言ってるけど、マンション名や部屋の番号は言っていない。ポストに苗字も出していない。
違和感はあったけど、華子を無視することもできないのでドアを開けることにした。モニター越しに声をかけたけど、華子は無言。
そしてドアを開けると、華子はとびかかってきた。玄関先に私は倒れる。寒くて冷たくなった手で思い切り私の首を締めながら、
「あんたがこうなるはずだった!」
「許せない!」
「返せ!早く返せ!!」
と言いながら震える手でグッと力をこめてくる。良く見ると華子の顔は真っ青で、目は片目だけが真っ赤に充血している。
苦しさと驚きが一気に押し寄せてきて、逆に冷静になってしまった。このまま死ぬのかなーと感じ、自然と目を閉じた。
すると急に首周りから華子の手の感触が消え、馬乗りにされているときの体重も感じなくなり、目を開けると華子はいなかった。
心配になりエレベーターや非常階段付近を見回したけど、華子はいない。人の気配もない。
私は部屋に戻って華子の携帯を鳴らしてみた。呼び出し音だけで出ない。
とりあえずメールで
「どうしたの?私、何か悪いことをしたら謝るよ」
と連絡したが返信なし。その晩は華子の冷たい手の感覚が取れず、まったく眠れなかった。
ちなみにこれは土曜夜の話。日曜になって連絡をしたら圏外になっていて、メールの返信も相変わらずなかった。
そして月曜日に出社したとき、朝礼で社長から衝撃的な話を聞く。
「B社の鈴木華子さんが土曜日深夜、交通事故で亡くなりました」
と。
頭の中が真っ白になり、腰から身体が沈んで行くような感覚になる。そのまま私は倒れてしまったらしい。
意識が戻ったのは会議室。倒れて意識が朦朧としていたが、そばにいた社長に詳しい話を聞く。事故に遭ったのは土曜日の深夜2時半ごろ。場所は~と説明されると、コンビニDの近く。
私がコンビニCのスイーツを食べたくて仕方がなかったとき、華子もコンビニDのおつまみが食べたかったのではないか。
私はぐずぐずしていて出るのが遅れたけど、華子は私よりも早く出て事故に遭ったのでは……と。
考えすぎかもしれないが、本当は私が死ぬ運命だった。でも華子がその運命を被ってしまった。
だから
「(私の人生を)返せ!」
と最期に私の前に現われたのではないかと。
葬儀関係は身内で済ませるとのこと。倒れてしまった私の顔は真っ青だったらしく、気分が落ち着いたらそのまま早退して構わないと言われたので、花を買って事故現場までいってみた。
そこにはたくさんの花が置いてあった。コンビニDのすぐ近くだ。
花を置いて手をあわせる。涙が溢れ、頭がくらくらしてくる。もしかして自分のせいで…といった気持ちになり、その場で泣き崩れてしまった。
何度も
「華子、ごめんね」
と言った。
その日の夕方、電話がかかってきた。発信主は通知不可能。こんなのは初めてだったし、いつもなら無視するんだけど、そのときは何も考えずに出てしまった。
すると向こうは超早口の、声が高めのおばさん。正直、何を言っているのか分からなかったけど、一方的にこんなことを言っていた。
・あなたは気にする必要なんてないの(強調するように何度も言っていた)
・あの子も反省しているの、混乱していただけなの
・ときには思い出して、いつでも見守っている
といった内容。
どこの誰なのかを聞いても無視。とにかく言いたいことを一方的に話されて、電話は切れた。電話の不思議さや怖さよりも、華子のことなのだろう…と悟り号泣した。
あれから数年が経過した。私は夫と知り合い、猛アプローチをされ、そのまま結婚。なんで私を選んだのか分からないほどの相手。
そして夫の仕事の都合でA社を退職し、妊娠が判明。刺激はないけれど穏やかで幸せな日々を送っている。
今でもこれは華子の人生だったのでは…と思ってしまうときもある。私の運命と入れ替わったのでは?と。
なぜこれを書き込んだのかと言うと、子供が女の子だと分かり、そのときに夫が候補としてもってきた名前が『華(仮)』のつくものだったから。
2週間弱くらいのお付き合いだったけれど、華子は大切な友だちだった。
やはり私と華子の人生はどこかで繋がっていたのかもしれない。名前はゆっくり考えていこうと思う。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
986: 名無し\(^o^)/ ID:Nxjfy89/Ka.net
ほんのりと怖い話スレ その108
コメント
コメント一覧 (52)
この人が現実と認識しているところの描写は細かいが 客観的に見てそれ以外の所が驚くほど描写されていない
しかし1コメみてまたすげーってなった。
頭悪いかな、私。
いや、すごく素直で純粋なだけだよ
投稿者にひどいことをしてしまったと後悔する華子さんに
「大丈夫! おばちゃんからちゃんと言ってあげるから!
あんたはもう泣いてないて成仏するんだよ!」
とか言って電話してくれたのかなと思った。
もちろんおばさんも故人。
なんて想像した私も※1に「幸せになれる」と言われちゃうのかw
あなた、いい人。
文章で描くとき、例えば朝起きたときの布団の重みやマットレスの感触、エアコンの音とか全部描写しないと許してくれない人なんだろうかw
血液型一緒で、名前の漢字一つが一緒って娘が。
女房の友達なんだが、何もないw
恨みごと言って首締めてきた相手をそんな風に思えるのかー
すごいねー
想像力足りないねあんた
>見た目はどう考えても華子の方が上です…。
年齢ではなくて、美貌の事だと思うよ
どんだけ年齢に敏感なの
ババアだから年齢に敏感なんだね。早くくたばれババア
くたばれと言われるほど酷いこと言ってないのに、
見ず知らずの人にネットだからって平気でくたばれ言える方が問題だと思うわ。
つまり、名前に華はつけたくないって事だね。
いいと思います。
片方は死に、片方は出遅れたおかげかタイミングがズレて助かった
っていう話なら、私が死ぬ方だったのかもっていう考え方もわかるんだが
そもそものコンビニが違う(つまり、使う道が違う)時点で、
私の身代わりかもって考え方が理解出来ない。
身近で起きたら怖いとは思うんだけど、そもそも違ってるじゃんって思う。
花子さんには全力で
「ファイナルデスティネーション」っていう映像作品をオススメしたかったわぁ
観ていただいて是非とも感想を聞きたかったなあ
ただ、ここまでほぼぴったり裏と表みたいな運命持ってる同士だと
この報告者がさっさとコンビニに行ってたらこの人がコンビニCの近くで事故に合って
華子さんはウダウダ迷って出かけないでいて…みたいな可能性もありそうだ
話しだなぁ。
なぜかというと(ry
ババアだって好きでババアになったんじゃないんだし、
今ババアじゃなくても、いつかはババアになるんだから、
あんまりババア、ババアいうもんじゃないよ。
ババアが傷つくじゃん。
報告者が普段使ってるコンビニの近くで事故にあったからだよ
行きたいコンビニが事故にあった時だけ入れ替わってた
情報交換をしていたお陰で目的地が入れ替わった
だから、喋ってなければ事故現場を通ってたのは報告者の可能性が有る
華子宅(近所にコンビニC)―――駅――――報告者宅(近所にコンビニD)
みたいなルートを想像してたから、使う道は一緒だと思ったわ
娘が大事なら「誰かの名前」から一文字貰うなんて馬鹿なことは止めな。
娘は「華子」の身代わりか?
無理矢理「因縁」を繋げて、娘が不幸になってもいいのか?
身内の名前を一文字貰っても不幸になるのに、「死んだ誰か」の名前から一文字貰うなんてアホの極みだ。
もらった人は「誰か」より生きられない。
もしくは「誰か」と同じ死に方をすると言われている。
名前を付ける時は、よく考えるんだな。
もちろん生年月日も同じな人がいると警察から聞いた。
免許証失効で警察署に行ったら、これはどっちが君かね?
って聞かれて見せられたのがそれ。
ただ、まだ会ったことはないんだけどね。
いや、華の字が入る名前を提案したのは夫だよ
その不思議な偶然に縁を更に感じたという話
あと、オカルトめいた話が好きみたいだけど、故人から名前を貰うのは割とよくあったよ
祖父母やら著名人にあやかって、とか、聞いた事ないわけじゃないでしょう?
身内の名前を一文字貰っても不幸にならないから安心してね
足の小指をぶつけたり初恋が悲恋に終わったり志望校に落ちたり雨の日に傘を盗まれたりする程度の不幸なら、誰の身にも起こる事なのよ
なのに全てがほぼ同じだと主張
そのうち目が2つと鼻が1つあるだけでほぼ同じとか言いそう
>・出身県同じ、生まれ育った地域もかなり近い(マイナーな地区なのに)
これだけの要素の中で、血液型が一番最初に来るのが気持ち悪い
たかが1/4が一致するだけなのに
日本人の場合A型は4割くらい、AB型は1割くらいと偏ってることを計算に入れなきゃ
こういうことですか?わかりません!><
※12もある意味純真だw
個人的には、、わざわざそういうこという人は、
ゆるキャラショーに出かけて楽しんでる人達の前で
「中の人がいるのにねー」と得意満面にいうに等しいと思うが
同じ地元で有名な姓名判断に行ってつけてもらったみたい
よくよく考えると干支も一緒
姓名判断だといくつか名前候補を出してもらってその中から選ぶらしいけど、
干支と誕生日と苗字が同じだと候補がかぶるんじゃないかって結論だった
身近で早逝した人の名前を子供にもらうのは何となく自分が落ち着かなくて個人的にはイヤだな、根拠はないけど
一回年金記録が間違って届いたぐらいだ。
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