1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:50:18.064 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんはそう言うと、するすると服をぬいでいきました
「ちょ、ちょっとまって」
おおかみさんは、あわててしまいました
たしかに、"たべちまうぞ"とは、いったけど
そういういみじゃあないから
なにやってんの、この娘
3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:50:41.779 ID: Penoxd0m0.net
ロリ
4:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:50:41.976 ID: CRA2Y31n0.net
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:51:26.998 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんはぬいだ服を、
一枚ずつ、だんろにくべていきました
「お、おい、ちょ、え……!?」
服がもえていくようすと、それを見てあぜんとしている
おおかみさんのようすを見て、赤ずきんちゃんの
"ほお"がこうちょうしていきます
赤ずきんちゃんは、おとなしそうに見えて、
とんでもないだいたんさを、かねそなえていました
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:52:13.375 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんもはずしてしまいました
今日は、私を、"赤ずきんちゃん"とよばないでほしい
私はわたし
おおかみさんには、ありのままの、自分を見てほしかったのです
だって、おおかみさんに、出会ってから、私——
14:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:54:37.925 ID: PdG0jdwG0.net
こんなことをするなんて、考えられませんでした
"赤ずきん"とは、"にっくねーむ"であり
本名ではありません
なんで"赤ずきん"とよばれるように
なったのでしょうか
赤ずきんちゃんは、かつての自分のすがたを
思いだしました
——
15:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:55:08.154 ID: PdG0jdwG0.net
「おいばばぁ、めし!」
赤ずきんちゃんは、とってもやさしいおばあさんに
いつものように、どなりつけました
「ごめんね、ごめんね」
おばあさんは、あやまるひつようもないのに
あやまってしまいます
そんなようすが、赤ずきんちゃんを
どんどん調子づかせます
22:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:58:34.944 ID: Penoxd0m0.net
23:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)20:59:13.377 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんは、いらいらしてました
毎日ごはんがでてくるのが、あたりまえだと
思っているのです
「おい、ばばぁ、はやくしろ」
そもそも何で、私が言う前に
ごはんが出てこないのか
赤ずきんちゃんは、それすら
はらだたしかったのです
29:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:03:23.988 ID: FCuSXrT70.net
32:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:07:34.096 ID: PdG0jdwG0.net
「はだかのおひめさま」「うさ子とカメ」は落ちずに完走できて良かった
あ、宣伝ではないっす、続きあげてきまっす
30:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:04:17.218 ID: PdG0jdwG0.net
「ごめんね、うちもきびしいのよ、ごめんね」
あかずきんちゃんは、したうちをすると、
しぶしぶ食べはじめました
ごはんをよういしてくれた、おばあさんよりも先に
34:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:08:30.763 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんは、ごはんを食べながら、
ひにひに、やつれていく
おばあさんに向かって、つぶやきました
「ごめんね、ごめんね」
おばあさんは、またあやまってしまいます
36:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:09:58.702 ID: PdG0jdwG0.net
いわゆる、"なにもしてないこ"でした
おばあさんを、どなりつけるだけの、毎日です
外では"むしょく"のあかずきんちゃんの、
家での、やくしょくは"じょうおうさま"です
37:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:11:03.378 ID: PdG0jdwG0.net
二人だけです
"ざいげん"がありません
ためていたお金が、そこを尽きかけていたので、
おばあさんは、家にある"かざい"などを売って
せいけいをたてて、いました
"いつかどうにかしないといけない"
そう思いながら、おばあさんは、
やさしいえがおをくずしません
38:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:13:24.450 ID: PdG0jdwG0.net
おばあさんにとっては、たからものでした
ぜったいに"だいじに育てる"と
心に決めているのです
あるていど、きびしくすることも"あいじょう"だと
おばあさんは分かっていましたが、
本来のやさしいせいかくからか、
なかなか、心を"おに"にできません
39:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:15:29.779 ID: PdG0jdwG0.net
ある日、おばあさんが、赤ずきんちゃんに
思い切って、たのみごとをしてみました
おばあさんは、このたった一言を、言うだけでも
つよい"ゆうき"がひつようでした
「はぁ、じぶんでいけよ、ばばぁ」
赤ずきんちゃんは、きれました
40:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:18:53.886 ID: PdG0jdwG0.net
ちょっと今、あるくことが出来ないんだよ」
すかさず言ったそれは、
おばあさんが、考えたうそ"でした
たしかに、おばあさんは、足をいためていましたが
歩けないほどじゃあありません
「このまま、かいものに行けないと
今日はごはんが食べられないのよ、ごめんね」
おばあさんは、どうしても、赤ずきんちゃんに
"いっぽ"を、ふみだしてほしかったのです
41:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:22:52.648 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんは、
しぶしぶかいものに行きました
赤ずきんちゃんが、家を出たあと、
おばあさんは小さな声で、つぶやきました
「あなたは、本当は、やさしい子なんだから
おばあちゃんは、分かっているからね」
43:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:25:01.247 ID: PdG0jdwG0.net
ふきげんな赤ずきんちゃんは、そんなことをつぶやきながら
とことこ道を歩いてゆきました
赤ずきんちゃんの、住んでいるはなれから、
お店のある村までは、
いちじかん位、歩かなければいけませんでした
50:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:42:56.905 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんは、お店につくと、
元気の良い、お兄さんのかけごえに、
きょどうふしんになってしまいました
「あ、え、あの、う……」
ことばが、上手くでてきません
赤ずきんちゃんは、ほしいもの指でさして
なんとかかいものを、おえました
たったこれだけのやりとりでも、
むねのたかなりが止まりません
52:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)21:53:26.160 ID: PdG0jdwG0.net
お姉ちゃんも気をつけてかえりなよ」
かえりぎわ、お店のお兄さんがこんなことを言ってくれました
まあ、私はだいじょうぶだろう
そう思い、赤ずきんちゃんは
とくにふか考えずに店をあとにしました
"とにかく早くかえろう"
赤ずきんちゃんは、もうそのことしか頭にありませんでした
まわりを見ずに、かけ足でかえろうとすると、
男女の二人ぐみとぶつかってしまいました
「あら、ごめんなさい」
55:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:01:48.688 ID: PdG0jdwG0.net
"くそっ、しあわせそうにしやがって"
赤ずきんちゃんは、自分からぶつかったにもかかわらず、
何にも言わずにそのばを、走り去ってしまいまいした
赤ずきんちゃんは、あらためて、村の人たちを
見わたしてみました
"楽しそうにあそぶ子供たち"
"仲良くすごしているかぞく"
そんなこうけいが、やたらと"はなにつき"ました
57:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:05:46.839 ID: PdG0jdwG0.net
"こいつらが、あわてふためく姿を見てみたい"
そんな思いから、赤ずきんちゃんは、
ある"あいであ"を思いつきました
——
赤ずきんちゃんは、村のいちばん人が多いばしょへ
やってきて、赤ずきんで顔ををかくしました
そして、お店の人と話した時の小声からはそうぞう出来ないような
大声で、こうさけびました
「おおかみが、来たぞー」
58:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:15:31.025 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんは、にやつきながら、ようすをながめていました
ふだんは、外界から"かくり"されて生きているので
周りの人たちに何かえいきょうをあたえるのが、
楽しみで仕方がありませんでした
59:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:18:29.496 ID: PdG0jdwG0.net
泣き出す子供、ころんでしまうお年寄り
にげまどい、あわてふためく人たちのようすを見て、
赤ずきんちゃんは、自分でおどろいてしまいました
"まさか、ほんとうにこんなさわぎになってしまうとは"
自分でやったことなのに、どこかげんじつみがなかったようです
赤ずきんちゃんは、あっというまに、
ざいあくかんで、むねが一杯になり、にげだしたくなりました
61:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:24:24.569 ID: PdG0jdwG0.net
子どもたちのあそんでいた近くのしげみから、
おおかみさんが出てきました
「ちっ、何でこんなに早く見つかったんだ」
おおかみさんは、あっという間にひなんしてしまった
村の人々のようすを見て、いさぎよくあきらめ、
かえっていきました
おおかみがかえっていくようすを見て、村の人たちは
大よろこびしました
もちろん、おおかみが村へ来ていたのは、たんなるぐうぜんです
「は、……え?」
このこうけいに、いちばんおどろいたのは、赤ずきんちゃんでした
63:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:29:55.526 ID: PdG0jdwG0.net
まっさきに、おおかみの近くであそんでいた
子供のうちの一人がかけよってきました
「う……あ……」
赤ずきんちゃんは、ばつがわるいようすでした
だって、赤ずきんちゃんは、
ただいやがらせをしようとしていただけなのです
「ほんとうに、ありがとうございました」
こんどは、その子の親たちが近づいてきました
65:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:37:46.047 ID: PdG0jdwG0.net
「いやー、お姉ちゃんはいのちのおんじんだ」
「あんなにとおくにいた、おおかみに、気が付けたなんて」
「なんて、ゆうきのあるお姉ちゃんだ」
村の人たちが、次々と声をかけてきます
こんなに、こういてきな目をたくさん向けられたのは
赤ずきんちゃんにとって、初めてのけいけんでした
赤ずきんちゃんは、なんだか恥ずかしくなり
赤ずきんで、かおをかくしてしまいました
67:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:42:24.672 ID: PdG0jdwG0.net
「いやいや、うちで食べていって下さい」
赤ずきんちゃんは、ほんとうはその場から
にげだしたかったのですが、
村の人たちに、ごういんにひっぱられ、
お礼として、おもてなしをうけることになりました
68:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:52:46.782 ID: PdG0jdwG0.net
「いやー、ほんとうにありがとうございました」
「赤ずきんの姉ちゃんいがい、だれもおおかみに気が付いていなかったんだよ」
そんなことを言われるたびに、赤ずきんちゃんは
ほんの少し、胸がいたみました
"ほんとうは、あんたらの困っているかおが見たくてやったのよ"
そんなこと、言えるはずがありません
うれしさと、はずさしさと、もうしわけなさで、
話しかけられるたびに、かおがまっかになりました
そして、そのたびに赤ずきんでかおをかくしてしまいました
そのようすから、しぜんと"赤ずきんちゃん"と
よばれるようになりました
69:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)22:58:32.467 ID: PdG0jdwG0.net
ずっと赤ずきんちゃんでした
これも、赤ずきんちゃんにとって初めてのけいけんでした
赤ずきんちゃんは、そのじかんが、楽しくて、楽しくて
仕方がありませんでした
"なによ、いい人たちじゃない"
赤ずきんちゃんは小さな声でつぶやきました
こんな人たちに、なんてことをしてしまったのだろうか
70:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:02:33.188 ID: PdG0jdwG0.net
えいきょうを与えるよろこびを知りました
いやがらせをすることなんかより、今のきもちの方が
ずっとずっと、ここち良いのです
赤ずきんちゃんは、心の中で
村の人たちに、こう言いました
"たすけさせてくれて、ありがとう"
71:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:04:49.298 ID: S2n4pTz70.net
74:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:14:39.122 ID: PdG0jdwG0.net
赤ずきんちゃんが、こんな気持ちになったのは
いつ振りでしょうか
いや、そもそも、そんなことがあったでしょうか
何をすれば、またこんなあたたかい気持ちが味わえるのか
赤ずきんちゃんは、考えながら、帰りました
76:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:21:15.927 ID: PdG0jdwG0.net
なんと、"人食いおおかみ"にそうぐうしてしまいました
「ん、うおっ」
おおかみさんは、知り合いにそうぐうしただけのような
軽い"りあくしょん"で、赤ずきんちゃんと"たいじ"しました
「ひっ……たすけ……あ……」
赤ずきんちゃんは、きょうふのあまり動けず、
大声も上手くだせませんでした
78:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:30:15.214 ID: PdG0jdwG0.net
そんな赤ずきんちゃんに、おおかみさんはおちついて
声をかけました
「え、え……?」
あかずきんちゃんは、わけがわかりませんでした
"おおかみさんにあったら、かならず食べられてしまう"
そう思っていたのです
「さっき村での狩りにしっぱいしてな、
かわりに森でいのししを食べたから、はらがいっぱいなんだ」
81:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:34:05.891 ID: PdG0jdwG0.net
聞いてもいないのに、おおかみさんが、かっこうつけながら、
教えてくれました
"なんだよ、人を食わなくてもいいのかよ"
赤ずきんちゃんは心の中でつっこみました
「じゃあな」
去っていこうとするおおかみさんに、赤ずきんちゃんは、
思いきって声をかけました
「な、何で……人を食べるの?」
87:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:51:15.599 ID: PdG0jdwG0.net
「……え?」
「そんなに人間ばっかり狩ってても、俺の方がもたないしな」
"確かに"と赤ずきんちゃんは、なぜかなっとくしてしまいました
「まあでも、食いたいものを狩る、これがきほんだな」
おおかみさんはつづけます
「"やりたいことをやる"、おじょうさんは、そうじゃないのか?」
"やりたいこと?"
赤ずきんちゃんは、なんのへんとうも出来ずにとまどってしまいました
"やりたいこと"って何?、そんなこと、考えたこともない
89:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/16(火)23:59:51.210 ID: PdG0jdwG0.net
自分の生きたいように生きていくさ」
そういうと、おおかみさんは、
赤ずきんちゃんの前からすがたを消しました
いつのまにか、おおかみさんへのきょうふはなくなっていました
90:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:02:21.173 ID: UIoq7Bth0.net
あたまの中で考えました
生きたいように生きる?何それ?
それは、今まで赤ずきんちゃんの中にはなかった"がいねん"でした
私は、どういうふうに生きたいんだろう
赤ずきんちゃんは、村でのことを思い返しました
91:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:05:51.530 ID: UIoq7Bth0.net
かえってきた、赤ずきんちゃんのそんな一言に
おばあさんは、おおよろこびでした
ちゃんとかいものをしてくれた上に、"ただいま"なんて、言ってくれて
おばあさんはおおげさになんども"ありがとう"とくりかえしました
「うっせ、これで早く、めしつくればばぁ」
赤ずきんちゃんは、今日のできごとを
きっかけに、少しずつですが、かわっていきました
93:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:09:06.116 ID: UIoq7Bth0.net
おそい時間に起きると、すでにおばあさんは、
いそがしそうに、いえじゅうをかけまわっていました
「おい、ばばあ!」
赤ずきんちゃんは、おばあさんを
大声でどなりつけました
「あ、あら、おはよう、どうしたの?」
おばあさんは、すこしびくつきながら
赤ずきんちゃんのほうを、見ました
「な、何か、手伝うこととか、ないのかよ」
94:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:12:19.024 ID: ZJ5yLc3G0.net
96:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:18:19.163 ID: UIoq7Bth0.net
おばあさんは、おどろきのあまり、
あぜんとしてしまいました
「へ、別に、ないんだったら、いいのよ、ないんだったら」
赤ずきんちゃんは、はずかしくなり、顔をまっかにし、
下を向いてしまいました
「ふ、ふんっ」
赤ずきんちゃんは、かおを赤くしたまま、
いすにすわりました
97:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:21:00.848 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんをみています
「な、何みてんのよ、ばばあ、ぶっころすわよ」
あかずきんちゃんの、その"どなりごえ"には
おばあさんは、おびえることはありませんでした
98:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:24:52.528 ID: UIoq7Bth0.net
「おいばばあ、ふざけんな」
家には、いつものように
赤ずきんちゃんのどなり声が、ひびきわたります
「"水くみ"は、私がやるって、いったでしょ!
かってにやんないでよ」
「ごめんね、ごめんね」
くそっ
あいかわらず、むかつくばばぁだ
すぐにあやまりやがって
だいたい、足をいためているんじゃあないのかよ
わたしがやるっていったら、やるんだから
やらせなさいよ
100:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:32:46.684 ID: UIoq7Bth0.net
ばんご飯のじゅんびも手伝いました
ほうちょうを使ったり、火をたいたり、
赤ずきんちゃんは、ほとんどやったことがありませんでしたので、
おばあさんが一人でやるよりも、ずっと時間がかかってしまいました
「さあ、いただこうかねえ」
けっきょく、ごはんを食べはじめるのが、いつもより、ずうっとおそくなってしまいました
赤ずきんちゃんは、自分が"あしでまとい"だったことを
じかくしていましたので、むすっとしていました
なによこれ
ごはんを作るのって、こんなにたいへんだったの?
101:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:34:12.173 ID: UIoq7Bth0.net
おばあさんは、にこにこしながら、言いました
「おかげで、おばあちゃん、とっても助かっちゃった」
何いってんのよ、このばばぁ
そんなわけないじゃない
私が手伝ったせいで、ばんご飯がこんなにおくれてしまったのよ
赤ずきんちゃんに、おばあさんのやさしさが、しみわたります
102:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:35:31.005 ID: UIoq7Bth0.net
おばあさんにどなりつけた"かこ"を、思い出して、
むねがいっぱいになりました
赤ずきんちゃんは、いそいでご飯をたいらげると、
「今日はもう、ねる」
そういって、じぶんのべっどにもぐりこみました
赤ずきんちゃんは、おばあさんのかおが
みれませんでした
103:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:43:06.665 ID: UIoq7Bth0.net
すっぽりとふとんをかぶりました
そして、ひとばんじゅう、つぶやきました
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
"今まで自分がどんなことをしていたか"
"おばあさんが、どんなにやさしかったか"
それに、しょうめんから向き合っていました
外からは見えませんが、
赤ずきんちゃんのかおは、"なみだ"と"はなみず"で
ぐちゃぐちゃでした
104:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:47:12.552 ID: WhMSjsz30.net
105:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:47:47.079 ID: UIoq7Bth0.net
いえにおばあさんはいませんでした
しかし、いつもどおり、赤ずきんちゃんの分の
朝食が"いつものばしょ"におかれていました
「あのばばあ、いったい、何時に起きているんだ」
赤ずきんちゃんは、小さな声で、つぶやきました
そのことに気が付いたのも、赤ずきんちゃんは、初めてです
このじかん、おばあさんは、近くへ野草をつみに
行っていることが分かっていたので、
帰って来るまでに、自分のしょっきを
あらっておくことにしました
106:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:49:22.389 ID: ZJ5yLc3G0.net
107:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:51:07.822 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんにとっては、そうではありませんでした
洗いおわると、赤ずきんちゃんは、
そわそわしながら、おばあさんが、
かえってくるのをまちました
しかし、いつまでまっても、
おばあさんは、かえってきません
赤ずきんちゃんは、ようすをみに
おばあさんの居そうな所へ
行ってみることにしました
108:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:53:33.627 ID: +omj7+vWH.net
やめてくれ…
109:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:54:31.102 ID: UIoq7Bth0.net
むちゅうになっていただけでした
しゃがみながら、せっせと作業をする
おばあさんは、近づいてくる赤ずきんちゃんに
先に気が付きました
おばあさんが立ち上がって、赤ずきんちゃんの元へ
歩いて行こうとしたところ、
つい、つまずいてころんでしまいました
111:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)00:56:57.675 ID: UIoq7Bth0.net
足がつかれてしまっていたのです
その"たいみんぐ"で、赤ずきんちゃんは、
おばあさんをはっけんします
「くそ、あのばばあ、こんなところでたおれてやがる」
かんちがいした赤ずきんちゃんは、
いそいでおばあさんの元へかけよりました
113:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:02:30.802 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんが、あわてたようすで
おばあさんに声をかけます
「ああ、ごめんねえ」
おばあさんは、うっかりつまずいただけでしたので
すぐに立とうとしましたが、それより前に、
赤ずきんちゃんが、おばあさんに向けて、
うしろむきにしゃがみました
「ほら、はやくのっかりなさいよ」
赤ずきんちゃんは、おばあさんが、せつめいする間もなく
ごういんにおぶっていきました
114:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:05:17.110 ID: UIoq7Bth0.net
まさか、この子に、おぶわれる日が来るなんて
いつの間に、こんなに大きくなって
おばあさんは、赤ずきんちゃんのせなかの
ぬくもりの心地よさを、かんじ、
ただつまずきただけ、ということはだまって
いることにしました
"ごめんね、家まで、このままでいさせて"
おばあさんは、心の中で、もう一言、あやまりました
あなたは、本当は、やさしいこ
おばあちゃんは、ずっと分かっていたんだからね
おばあさんは、赤ずきんちゃんのせなかで
なみだをながしていました
115:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:06:15.749 ID: ZJ5yLc3G0.net
116:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:07:35.534 ID: UIoq7Bth0.net
"べっど"にねかせました
「あ、あのね、実は……」
「うるさい、だまれ、ばばぁ」
おばあさんが、ほんとうのことを話そうとすると、
赤ずきんちゃんに一喝されてしまいました
「いいから、今日はもうだまってねてなさい」
「いえのことは、ぜんぶ私がやるから、"しじ"だけだしてくれればいいの」
赤ずきんちゃんのあまりのたのもしさに、おばあさんは
ふたたび、なみだをながしてしまいました
117:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:08:25.897 ID: svztbzt20.net
118:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:09:30.960 ID: UIoq7Bth0.net
打ち明けるきっかけをうしなってしまいました
「とりあえず、おきっぱなしにした野草を取ってくるから、
もどってきたら、やることをおしえなさいよ」
おばあさんは、赤ずきんちゃんがもどってくるまでに
なみだでぐしゃぐしゃになったかおを、
どうにかしなければなりませんでしたので、"おおいそがし"でした
120:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:13:40.185 ID: UIoq7Bth0.net
「はい、野草もってきたわよ、あと今日は何をすればいいのかしら」
「ごめんね、今日は、これを村に売りに行こうとおもっていいたの、おねがい出来るかい」
おばあさんは、赤ずきんちゃんのあまりのたのもしさに、
心をうたれ、今日はたよってみることにしました
「……はぁ?何これ、だいじにしていた時計じゃない。何でこれを売るのよ」
「これを売らないと、しょくりょうが買えないんだよ、ごめんね」
赤ずきんちゃんは、この時はじめて、自分のいえの
"けいざいじょうたい"に気が付きました
121:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)01:16:19.409 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、考えごとをしながら、村へと向かいました
はあ?
しょくりょうが買えないって、何よそれ
いみわかんない
だから、あんなにがんばって、野草をあつめていたの?
だから、あんなにやせてしまったの?
だから、今日たおれてしまったの?
だから……
赤ずきんちゃんは、あるきながら、なみだをながしていました
今日は、おばあさんが"かろう"でたおれたものだと
かんちがいしたままでしたから、"ざいあくかん"で
いっぱいになりました
169:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)10:35:14.934 ID: UIoq7Bth0.net
村につくなり、いきなり村の女に声をかけられました
「赤ずきんのお姉ちゃん、こんにちは」
こんどは、その女性の子供らしき子が声をかけてきます
「こ、こ、こん……こんにち……」
あるいているだけで、声をかけられるなんて、初めてのことでしたので、
赤ずきんちゃんは、とまどってしまい、じょうずにへんじができませんでした
「ねー、お姉ちゃん、あそぼうよー」
「こら、お姉ちゃんはいそがしいのよ、やめなさい」
"この人はいそがしい"
そう言われて、赤ずきんちゃんは、少しどうようしました
"いそがしい"ということばが、いやみにかんじてしまったじぶんは
すこしゆがんでいるのではないか、と思ってしまいました
170:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)10:39:41.701 ID: UIoq7Bth0.net
「えー」
「しかなたいじゃない、こないだ一人やめてしまったんだから。
ねこの手でもガキの手でもかりたいじょうきょうなのよ」
そういうと、女性は明るく、わははっと笑いました
「あー、早くあたらしい人、入ってくれないかねぇ」
そう言いながら、かるくえしゃくをしながら、去って行こうとする女性に
赤ずきんちゃんは、ありったけのゆうきをふりしぼって、さけびました
「あ、あのっ」
女性はおどろいて、赤ずきんちゃんの方へふりかえります
「そ、それって、そのしごとって……その……」
「わ、私にも……できますか?」
赤ずきんちゃんは、がけから身を投げたような、しんきょうでした
173:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)10:57:34.665 ID: UIoq7Bth0.net
女性が、赤ずきんちゃんをじろじろ見てきます
やだ、やっぱりへんに思われた
やっぱり、私なんかじゃだめだったのかな
でも、だったら、どうしたらいいのかな
赤ずきんちゃんは、まだ返事をもらう前でしたが、
自信のなさからか、きえいりそうになっていました
「だって、お金をかせがないと、私 ……」
「いえが……おかねが……食べるものがないんだもの……」
気が付くと、赤ずきんちゃんは、ふたたびなみだを流していました
「私が……私がやらないと……おうちが……もう……」
そのようすを見て、女性はけっしんをしました
174:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)11:11:17.516 ID: UIoq7Bth0.net
女性は赤ずきんちゃんをうながしました
「わーい、お姉ちゃん、いっしょに行こう」
「うちの仕事は"らく"じゃあないからね、かくごしなよ」
わははっ、と明るく笑いかけてくれる女性のすがたと、
明るく手をひっぱてくれる子供のすがたが、
あたたかくて、
うれしくて、
ここちよくて、
赤ずきんちゃんは、あふれでて止まらないなみだをかくすため
赤ずきんで顔をかくしながら、歩いていきました
176:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)11:22:09.249 ID: UIoq7Bth0.net
「おーい、早くちゅうもんたのむー」
「おあいそ、してくれー」
赤ずきんちゃんたちがついたときには
おみせの中は、てんてこまいになっていました
そのようすを見て、赤ずきんちゃんは、びっくりしてしまいました
"ここで、私がはたらけるだろうか"
そんな不安でいっぱいになっていると、女性が店のおくから、
ふくろをもってきて、赤ずきんちゃんに手わたしました
「え、何これ?……お金……?」
178:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)11:26:28.551 ID: UIoq7Bth0.net
きゅうりょうをわたすんだけど、今回は"とくべつ"さ」
「や……こんなにたくさん……」
「"まえきん"ってやつさ、きゅうりょうの一部を先にわたしているだけよ」
え、うそ
なにこれ、こんなにもらっていいの?
「あんたは、うちの子供の"おんじん"だからね。じじょうは知らないけど
こういうときは、おたがいさまってやつさ」
「あ、ありがとう……ありがとうございます」
"ありがとう"
赤ずきんちゃんが、そんなことばを言ったのは、なんねんぶりでしょうか
180:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)11:39:03.869 ID: UIoq7Bth0.net
「ありがとう……ありがとう」
"ありがとう"もうそのことばしか、出てきませんでした
「はっはっ、明日から、そのぶんこき使ってやるから、かくごをしなよ」
女性は、どびっきりの笑顔で赤ずきんちゃんを見送りました
赤ずきんちゃんは、なみだが見えないよう、赤ずきんで
顔をかくすことでせいいっぱいでした
182:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)11:47:29.127 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、そんなことを考え、
おおかみさんの言っていたことを思い返していました
"じぶんの生きたい生き方"なんて、分からないけど、
できるなら、私もあんなふうに生きてみたい
183:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)11:53:40.582 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、いきようようと、きたくしました
「おかえり、ぶじだったかい?」
「うっさいばばぁ、あんたは自分のからだをしんぱいしてなさいよ」
「そ、そうだよね、ごめんね、ごめんね」
赤ずきんちゃんはたくさんのにもつをおばあさんの前に置きました
「しょくりょうをたくさん買ってきたわ。これで、えいようをつければいいわ」
「ねえ、もしかして……」
おばあさんは、しんぱいをしてしまいました
「あのとけいを売ったお金をぜんぶ使ってしまったのかい?」
185:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:00:19.167 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、おばあさんに時計を手わたしました
「まったく、だいじな時計なんでしょう、ちゃんとだいじにもってなさいよね」
「え……え?」
おばあさんは、わけがわからず、こんらんしてしまいました
「明日から、はたらくことにしたの、これは"まえきん"でかったのよ」
赤ずきんちゃんは、"まえきん"という
覚えたてのことばを、使いたくてしかたがありませんでした
そんな赤ずきんちゃんの"どうでもいい"じまんなどあたまに入らず、
おばあさんは、ただぼうぜんとしていました
"はたらく?"
"あの子が?"
186:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:14:38.013 ID: UIoq7Bth0.net
「だから……その……」
赤ずきんちゃんは、赤ずきんでかおをかくしながら言いました
「今日のうちに……さっさと体をなおしなさいよ、ばばぁ」
"いつのまに、あの子がこんな……"
おばあさんは、うれしさと、こんわくと、
いろいろなかんじょうがまじりあい、出てくるなみだをかくすため、
ふとんを頭までかぶってしまいました
「ばんご飯が出来たら起こすから、それまでねてなさいよね」
赤ずきんちゃんは、買ってきたしょくりょうで、
自分なりにごはんを作りはじめました
187:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:19:09.673 ID: UIoq7Bth0.net
「……」
おばあさんは、うれしそうに赤ずきんちゃんの作ったご飯を
食べていますが、赤ずきんちゃんはどこかふきげんです
「おいしいわぁ、ほんとうにおいしい」
おばあさんがそんなことを言うたびに、
赤ずきんちゃんのこころにことばがしみわたります
189:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:23:09.971 ID: UIoq7Bth0.net
そんなわけないじゃない
赤ずきんちゃんは、ちょっと良いしょくざいを使いましたが、
ちょうりほうほうが、めちゃくちゃだったので、
あまりおいしくなく、"たからの持ちぐされ料理"
となってしまったのです
くそっ、みてなさいよ
私は、明日から"いんしょくてん"で、はらたくのよ
いつか、"えんぎ"じゃなく、ほんとうにおいしいって言わせてやるんだから
190:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:29:02.996 ID: UIoq7Bth0.net
「ちょっと、お姉ちゃん、注文まだかー」
「さっきたのんだのと、ちがうものがきてるぞー」
赤ずきんちゃんは、軽いぱにっくじょうたいにおちいってました
「えっと、えと、次はどうしたら……」
「おい姉ちゃん、はやくー」
「ひ、は、はい」
赤ずきんちゃんは、てんやわんやのお店にたいおうできず、
てんぱってしまっていました
193:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:39:39.415 ID: UIoq7Bth0.net
すかさず、昨日の女性がふぉろーに入ってくれます
赤ずきんちゃんは、くやしくてしかたがありませんでした
このお店の、女性の、"恩にむくいたい"
そんな気持ちでがんばろうと思っていましたが、
自分の力のなさに
あこがれの女性との"力の差""きょりの遠さに"
なさけなくなってしまいました
「え、えっと、次はどうしよう……」
194:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:47:21.601 ID: UIoq7Bth0.net
とっても長い一日のしごとをおえた、赤ずきんちゃんは
"ひそうかん"でいっぱいでした
"ほんとうに何も出来ないのね、私は"
赤ずきんちゃんのあたまの中はそんな考えで一杯でした
「や、お疲れさん、赤ずきんちゃん」
あの女性が、声をかけてくれましたが、あかずきんちゃんは
恥ずかしくて目を合わせることができませんでした
「ごめんなさい、私、せっかく雇ってくれたのに……ぜんぜんだめで……」
195:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:48:08.184 ID: UIoq7Bth0.net
「はっは、何言ってんだい、さいしょからいきなり出来る訳がないだろう
いきなり出来たら、なんねんもやっている、私のたちばはどうなるんだい」
女性のとびっきりのえがおを見て、赤ずきんちゃんは、いっきに心がかるくなりました
196:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)12:56:16.399 ID: UIoq7Bth0.net
「え、えがお?」
「そう、"えがお"は女のさいだいのぶきなのよ。"みす"なんて、どうでもいいから
明日は"えがお"ではたらいてみなさいよ」
女性はそういって、また思いっきり笑ってみせました
なんだろう、あの"えがお"を見ると、なんだって平気な気になるわ
私にも、できるだろうか
私も、あんなふうになれるだろうか
198:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)13:08:59.323 ID: UIoq7Bth0.net
「い、いらっしゃいませー」
赤ずきんちゃんは、とびっきりの"えがお"でおきゃくさんに
あいさつをしました
すると、おきゃくさんも、えがおでえしゃくをしてくれました
「お、いい"えがお"じゃないか」
お店の女性が赤ずきんちゃんに声をかけてくれました
199:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)13:11:31.898 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、急にはたらくことが、
たのしくなってきました
"わ、ほめられた、どうしよう"
"ちゃ、ちゃんと笑えていたのかな、私"
「おーい、こっち注文たのむー」
「はーい、おまち下さい」
赤ずきんちゃんは、とびっきりの"えがお"で
おきゃくさんのところへ向かいました
200:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)13:12:23.212 ID: iTm84KYdM.net
201:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)13:16:49.564 ID: UIoq7Bth0.net
「おつかれさまでしたー」
一日のしごとをおえた赤ずきんちゃんは、
"えがお"でしょくばをあとにしました
はなうたをうたいながら、かえりみちを歩いていきます
さいきん、しごとがたのしくて仕方がないのです
まだまだ"みす"をするし、おきゃくさんからどなられることだってあるし、
たいへんだけども、なんだかじゅうじつしているのです
しょくばにあこがれの人がいることや、お客さんからひそかに人気がでてきたことも、
げんいんでしたが、なによりも、
"自分が何かの役に立っているかんかく"が
うれしくって仕方がないのです
203:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)13:29:43.979 ID: UIoq7Bth0.net
なんと、再びおおかみさんとそうぐうしてしまいました
「あ、おおかみさん、こんばんは」
赤ずきんちゃんは、よゆうであいさつをしました
「え?……あ、おう」
赤ずきんちゃんのあまりのへいぜんとしたたいどに、おおかみさんは
ぎゃくにとまどってしまいました
「ひ、久しぶりね、元気だった?」
赤ずきんちゃんは、おおかみさんにとびっきりのえがおを向けました
205:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)13:39:40.591 ID: UIoq7Bth0.net
おおかみさんは、思いました
何でこの娘、俺を怖がらないんだ?
つーか、久しぶり?うーん、こんな娘とめんしきあったかな?
あー、もしかして、ちょっと前に、この道で会った娘か
思い出した、思い出した
いや、しかし……
「な、なあに、かおに何かついてるの?」
赤ずきんちゃんは、照れながら笑いかけました
"こんなに可愛いかったかな、この子"
おおかみさんは、少しこんわくしてしまいました
208:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:03:21.356 ID: UIoq7Bth0.net
「だって、そんなにお腹がふくれているんだもの。今はおなかがすいていないんでしょう」
「う……」
おおかみさんは、自分のお腹に手をあてました
「"にくしょくどうぶつのほこり"があるものね、ふふふ」
赤ずきんちゃんは、たのしそうに笑いました
おおかみさんは、なんだかはずかしくなり、かおをまっかにしてしまいました
「ねえ、それよりきいて。私もね、"自分の生き方"について
考えてみることにしたの。おおかみさんに言われてから、いろいろ考えたのよ」
おおかみさんは、"なんてなれなれしい娘だ"と思いました
人間がおおかみに"じんせいそうだん?"なんだそりゃ
210:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:09:12.812 ID: UIoq7Bth0.net
おおかみさんは、大声で赤ずきんちゃんに
向かってどなりつけました
おおかみさんにも、ぷらいどがあります
こんな友達みたく話をされることが、たえられなかったのです
「自分の生き方なんてな、自分で決めるもんだ
いちいちだれかのしょうだくを得ようとするんじゃねえ」
その言葉で、赤ずきんちゃんは、自分の心がみすかされた気になって、はずかしくなりました
211:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:17:57.874 ID: F7oonp/60.net
212:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:19:09.551 ID: UIoq7Bth0.net
つらぬけばいいだろう。」
「お、おおかみさんは、出来ているの?」
「俺は、それが出来るつよさを、"ゆうき"だと思っている。自分ではできていると思いたいな」
赤ずきんちゃんは、思いました
このおおかみさんは、自分がなやんでいるもんだいなんて、
ずっと前に通りこして、今はもっと先のところにいるんじゃないだろうか
"何このおおかみ、かっこいい"
赤ずきんちゃんは、そのことで頭が一杯になりました
213:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:24:10.674 ID: UIoq7Bth0.net
夜のおおかみは怖いんだ、俺の気分がかわったら、お前を食っちまうぞ」
「おなかが一杯のくせに、何を言って……」
赤ずきんちゃんは、途中で言葉を止め、はっとしました
"夜のおおかみ?""食っちまう?"
え、うそ、やだ、そういういみだった?
赤ずきんちゃんは、きゅうにてんぱってしまい
どきどきがとまりませんでした
214:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:29:27.311 ID: UIoq7Bth0.net
「……あ?」
「ど、どういうときに、そういう気分になるの?」
赤ずきんちゃんは、思い切ってしつもんをしました
「食いたいと思ったら食う。"自分の気持ちにしたがう"のが、
"俺の生き方"だからなそれはつらぬくつもりだぜ」
「今は気分じゃないだけだ、じゃあな」
そう言って、おおかみさんは、去っていきました
——
おおかみさんが、"そういうきもち"になったら
私はおおかみさんにおそわれてしまうのかしら
赤ずきんちゃんは、そんなことを考えながら自宅へかえりました
215:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:33:53.212 ID: N4JP22g10.net
216:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:35:19.168 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんの、待ちに待った"しょにんきゅう"の日がやってきました
"まえきん"で"がく"はへっていましたが、それでも十分すぎる"がく"です
赤ずきんちゃんは、いそいで帰って、おばあさんにそれをみせました
"まさか、この子がきゅうりょうを持って帰ってくるなんて"
おばあさんは、かんげきしてしまいました
赤ずきんちゃんは、その"しょにんきゅう"から、ひっそりと
"こうすい"を買っていました
"自分のみりょくが上がれば、おおかみさんが来てくれるかもしれない"
そんな想いを心にひめていました
217:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:38:26.215 ID: UIoq7Bth0.net
しょくばで、女性に声をかけられました
「ほら、"かみがた"だってかわっているし、ふくの着方も前とはちがうじゃない」
「そ、そうかしら、別にそんなこと……」
「にあってて、可愛いわよ」
「う、うん……ありがとう」
赤ずきんちゃんは、かにかみながら、"えがお"を見せました
「そう、それ、いいわね、その"えがお"
ねえ、赤ずきんちゃん、覚えてなさい。女のいちばんの"けしょう"は
"えがお"なのよ、あなたの"えがお"なら、どんな男でも"いちころ"よ」
221:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:44:55.169 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、あわてて否定をしようとしましたが、
ふと今の自分を振り返りました
今の自分、ちょっとまえからしたら、考えられない
いえの手伝いをして
"おしごと"が楽しくて
ちょっと、おしゃれなんかしちゃったりして
まいにちが、じゅうじつしていて
ようやく、ちょっとずつだけど、自分が好きになれてきていて……
「え、えへへ、へへ……」
赤ずきんちゃんは、そんなことを思うと"えがお"が
あふれ出てきて、止まりませんでした
——ねえ、おおかみさん
"私、今生きてる、生きてるよ"
225:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)14:58:53.292 ID: UIoq7Bth0.net
再びおおかみさんとそうぐうしました
「はっ、今日はおまえを食いに来たぜ」
"お、おおかみさんが、来てくれた"
"しかも、食う、とか言っている"
赤ずきんちゃんは、心の中でおおはしゃぎしました
「しかし、ぶようじんだったな、いぜん見つかった道を
おなじ時間にそうなんども通るもんじゃないぜ」
"ちがうのよ、待っていたの"
"あなたに見つかるように"
226:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:03:29.712 ID: UIoq7Bth0.net
「今日は、家にだれもいないの、よかったらこない?」
赤ずきんちゃんは、顔をまっかにしながら、おおかみさんをさそいました
「おい、何を言っているんだ、お前は。
俺はお前を食いにきたんだ。"ともだち"じゃあないんだぜ」
「うん、だから……外じゃあ、いやなの」
赤ずきんちゃんは、まだ顔がまっかです
"ともだち"じゃない
そんな言葉にむねがときめきました
「まあいい、"しにばしょ"くらい、えらばせてやるか」
おおかみさんは、そうつぶやき、若干いわかんをおぼえながらも
家についていくことにしまいた
227:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:12:11.327 ID: ottSZ//70.net
228:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:13:28.229 ID: UIoq7Bth0.net
「さあ、いただくとしようかな」
「ま、まって、あせらないで」
赤ずきんちゃんは、だんろに火をつけました
下じゅんびはしてあったようで、あっというまに
だんろの火がもえあがります
「お、おい、ばか、やめろ」
おおかみさんは、だんろからとおざかってしまいました
火がにがてなようです
229:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:21:48.809 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、そう言うと、だんろの火がちょうどあたる
べっどに、おおかみさんをさそいました
「うっ……」
"やられた"おおかみさんは、そう思いました
こいつ、火でじぶんを守るために、家に入ったのか
まあ、でもこのくらい火からはなれていたら、もんだいない
さっさとこの娘を食らい、家から出てしまおう
おおかみさんがそう思ったその時です
231:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:25:55.934 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんはそう言うと、するすると服をぬいでいきました
「ちょ、ちょっとまって」
おおかみさんは、あわててしまいました
たしかに、"たべちまうぞ"とは、いったけど
そういういみじゃあないから
なにやってんの、この娘
ここで、おおかみさんは、初めて
この娘が、かんちがいをしていることに気が付きました
234:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:34:51.189 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんはぬいだ服を、
一枚ずつ、だんろにくべていきました
「お、おい、ちょ、え……!?」
服がもえていくようすと、それを見てあぜんとしている
おおかみさんのようすを見て、赤ずきんちゃんの
"ほお"がこうちょうしていきます
赤ずきんちゃんは、おとなしそうに見えて、
とんでもないだいたんさを、かねそなえていました
236:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:36:17.941 ID: L1q97O9W0.net
237:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:38:33.855 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんもはずしてしまいました
今日は、私を、"赤ずきんちゃん"とよばないでほしい
私はわたし
おおかみさんには、ありのままの、自分を見てほしかったのです
だって、おおかみさんに、出会ってから、私——
238:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:44:25.326 ID: UIoq7Bth0.net
おおかみさんは、どうようのあまり、うごけないでいました
こんな"じょうきょう"は初めてでしたので、どうすればよいか分かりません
もうかんけいなく、この娘を食べてしまおうか
そう思って赤ずきんちゃんを見ると、ふと目が合ってしまいました
「ねえ、はずかしいの?だいじょうぶ、私もほんとうははずかしいのよ」
赤ずきんちゃんはそう言うと、てれながら、おおかみさんに"えがお"を向けました
"か、可愛い"
おおかみさんは、思わず目をそらし、まっかになってしまいました
"く、くそっ、何だ、このじょうきょうは"
239:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:45:00.583 ID: UIoq7Bth0.net
まーちょいで完結するよ
242:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)15:53:24.380 ID: UIoq7Bth0.net
相手を"せいのたいしょう"とした上で、食べる
そんなことは、"くず"のやることだと思っていました
"女をだくときは、かならず大切にするとちかって、だく"
"しょくじは、ひつよう"さいていげん"にし、相手に"けいい"を払う"
それは、おおかみさんがいつか心に決めた、"生き方でした"
ここでは、この娘を、食べることも、だくこともできない
どちらも、あいてに対する"けいい"にかけていると、おおかみさんは思いました
256:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:11:01.831 ID: UIoq7Bth0.net
おおかみさんは、そっとそのばを立ち去ろうとしました
「……じゃあな」
赤ずきんちゃんはくやしくなりました
"やっぱり、私なんかじゃ、おおかみさんには釣り合わないんだわ"
そう思いましたが、さいごにゆうきをもって、おおかみさんに、
ありったけ、こころのうちをうちあけることにしました
257:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:13:39.590 ID: UIoq7Bth0.net
いや、違う
"ふざけるな"
"へたれ男"
ん?何かしっくりこないな
色々考えをめぐらせながら、赤ずきんちゃんは
自分の中でいちばんしっくりきたことばを
言い放ちました
それは、とってもいがいな言葉でした
「ありがとう」
258:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:14:57.822 ID: hXHj762D0.net
259:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:19:07.740 ID: UIoq7Bth0.net
おおかみさんは、わけが分かりませんでした
「あなたの言葉おかげで、私、変われたの」
——ううん、あなただけじゃあないわ
あのばばぁに、お店の人たち、それから、それから……
赤ずきんちゃんの心の中は、
まわりの人へのかんしゃのきもちがあふれだしていました
「ねえ、おおかみさん、これから私、
色々な人に"かんしゃ"をしながら生きていくことにしたの」
260:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:21:29.358 ID: QnZcxaZna.net
261:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:23:10.824 ID: UIoq7Bth0.net
「何か文句ある?ううん、あってもぜったいに変えないわ
それが私の生き方なんだもの。もう決めたんだもの」
おおかみさんは、何も言わず、そっとほほえんで、家を出ていきました
赤ずきんちゃんはいつのまにか、
自分の中に、だいじな"たからもの"かかえていました」
264:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:32:17.369 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんは、ありったけのゆうきをふりしぼって、
ある"こくはく"をすることにしたのです
「おい、ばばぁ」
「う、ううん、ちがう、"おばあちゃん"、こっちにきて」
おばあさんは、びっくりしてしまいました
"おばあちゃん"そんなよびかたをされたのは、いつぶりでしょうか
「い、いつも、ありがとう」
赤ずきんちゃんは、てれくさいきもちを
せいいっぱい、おしころしながら、おばあさんの目をみて言いました
「い、いままでも、いっぱいいっぱい、私のために、ありがとう」
265:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:34:03.342 ID: UIoq7Bth0.net
そういうと、赤ずきんちゃんは、おばあさんに
きれいな"かみどめ"を"ぷれぜんと"しました
「え……え……」
おばあさんは、うれしさのあまり、また泣き出してしまいました
さいごに"ありがとう"なんて、言われたのは、いつだったでしょうか
赤ずきんちゃんに、なにかを"ぷれぜんと"されたことなど、はじめてでした
「あ、ありが……うぅ……」
おばあさんは、なみだごえになってしまい、
うまくおれいが言えませんでした
「な、なによ、こんな"やすもの"くらいで、おおげさに泣かないでよ」
そう言う赤ずきんちゃんの目も、なみだでうるんでしまっていました
266:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:35:38.002 ID: DBY/0vTSM.net
268:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:42:39.931 ID: UIoq7Bth0.net
赤ずきんちゃんが、かんしゃのきもちを伝えてくれたことがうれしかったのです
その"かみどめ"が、きもちのこもったものだと、分かっていたからうれしかったのです
赤ずきんちゃんも、本当はそのことが分かっていましたので
それいじょうは、何もいいませんでした
「ありがとう……おばあちゃん、とっても……うれし……」
おばあさんは、なみだごえでも、ひっしに赤ずきんちゃんの
目をみて、おれいを伝えてくれました
269:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:43:00.591 ID: YCw9xc+3a.net
270:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:48:48.857 ID: UIoq7Bth0.net
その言葉にはおばあさんのきもちが、思いっきりつまっていたことが
分かってしまいましたので、赤ずきんちゃんもなきだしてしまいました
「う、ううん……こっちこそ……いつもありが……」
「ありがとう……ありがとうねえ」
二人でなみだをながしながら、"かんしゃ"のきもちを
つたえあいました
その安物の"かみどめ"は、おばあさんの
一生の"たからもの"になりました
271:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:50:00.217 ID: UIoq7Bth0.net
次の"きゅうりょう"をもらったら、こんどは私をやとってくれた、
お店の女性に"ぷれぜんと"とかんしゃのきもちを伝えるのよ
あと、あと、
ふだん、お店に来てくれる人にも、かんしゃをしなくっちゃあ
きもちのいい"せっきゃく"をして、"おいしいりょうり"を
食べて、かえってもらうのよ
あと、あと、
それから、えっと
赤ずきんちゃんは、"やりたいこと"がやまのようにありました
それを考えること、こなしていくことが、
赤ずきんちゃんにとっての"しあわせ"でした
273:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:51:17.126 ID: UIoq7Bth0.net
そんなことは、赤ずきんちゃんにとってはささいなもんだいでした
——
「よーし、今日も"えがお"でがんばるわよ、いってきまーす」
赤ずきんちゃんは、ようやくみつけた"たからもの"を
だいじにだいじにかかえながら、これからも生きていきます
——完
274:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:51:36.824 ID: nvZzBqlv0.net
275:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:55:29.750 ID: mHnJZRG+a.net
276:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:55:32.967 ID: UIoq7Bth0.net
保守サンクス
278:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:56:33.115 ID: YCw9xc+3a.net
281:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:58:05.518 ID: 73OnaGUGa.net
まあ乙
282:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)17:58:54.995 ID: u75WmyVD0.net
乙
283:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)18:10:44.448 ID: EosuqM29d.net
291:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:20:05.358 ID: 9S2BLkh5a.net
292:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:24:04.937 ID: qrkpbUU3d.net
294:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:30:25.965 ID: UIoq7Bth0.net
"気分がのった人"だけ見て下さい
タイトル:「はだかのお姫さま」
スレタイ:姫「"バカには見えないふく"を、作ってもらったの」
295:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:30:59.179 ID: UIoq7Bth0.net
「どう、さっそくきてみたのだけど、にあうかしら?」
そう言って、お姫さまは、だいじんに"じまんのすがた"を見せつけました
「ひ、姫さま、いったい!?」
だいじんは、顔をまっかにして、下を向いてしまいました
「あら、どうかしたのかしら?」
お姫さまは、そんなだいじんをふしぎそうな顔で見つめました
「ひ、姫さま、そんなに近づかないでください」
だいじんは、まっすぐ自分を見てくる、お姫さまの顔が
"ちょくし"できませんでした
297:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:34:13.316 ID: UIoq7Bth0.net
お姫さまは、"むねをはり"、再度
自分のすがたを、だいじんに見せつけました
「何か、かんそうとかないのかしら」
だいじんはうつむきながら、考えました
バカには見えないふく?なにそれ?
それが、だいじんのわたしに、見えない?
そんな話、でたらめに決まっている
いや、しかし……
「ねえ、まさかだいじんのくせに、私のふくが見えないんじゃないでしょうね」
こんらんするだいじんに、お姫さまは、
まるでねらっているかのような、
"おとこのぷらいど"をしげきする一言を言い放ちました
298:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:37:42.968 ID: UIoq7Bth0.net
「そうよね、当たり前よね、だいじんなのだから」
だいじんは思い切って、お姫さまを"ちょくし"しました
「っ!!」
だいじんはますます顔を赤くし、またすぐにうつむいてしまいました
だめだ、まともに見れない
「ねえ、ここに付けてもらった"ぽけっと"がおしゃれだと思うの」
お姫さまはそう言うと、自分のむねのあたりを指さし、
だいじんに近づきました
「ねえ、ちゃんとみてくれてる?」
300:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:46:29.086 ID: UIoq7Bth0.net
"ひ、姫さま、顔が近いです"
それと、むねも……
だいじんは、はずかしさのあまり、何も言えなくなってしまいました
「もう、なによ、ぶすいな男ね、ふくのかんそう一つ、言えないのかしら」
お姫さまはそう言うと、だいじんにせなかを向け、どこかへ歩きはじめました
「も、もうしわけありません」
だいじんは小声で、つぶやきながら、お姫さまに目をむけました
うしろすがたなら、なんとか"ちょくし"することができました
まさか、うつくしいおひめさまの、"こんなすがた"を見ることがあろうとは
だいじんは、ひっそりとそのうしろすがたを目にやきつけました
301:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)19:55:21.759 ID: UIoq7Bth0.net
お姫さまはざんねんそうな声で、そう言うと、
だいじんのいたへやをあとにしました
——
「……ふう、やれやれ」
ようやくだいじんがおちつきをとりもどすと、
お姫さまが向かっていった
ほうこうのことを思い出しました
そちらには、兵士たちのいるへやがあったのです
まさか……
だいじんのあたまを、これ以上ない不安がおそいました
「ちょ、ちょっとお待ちください、姫さま」
だいじんはいそいで、お姫さまを追いかけて行きました
304:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:02:17.787 ID: UIoq7Bth0.net
兵士たちの部屋へ向かいましたが、
だいじんがついたころには
お姫さまは、すでにたくさんの兵士の前で、
"じまんのすがた"をひろうしていました
兵士たちも、だいじんどうよう、
"ぱにっく"を起こしているさいちゅうでした
「ひ、姫さま、いったい何をしてらっしゃるのですか?」
「あら、なにかしら?」
だいじんがこえをかけると、お姫さまは、
何のちゅうちょもなく、だいじんの声のする方へ
ふりむきました
305:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:11:09.990 ID: UIoq7Bth0.net
だいじんは、ふたたび顔を赤くしましたが、
こんどは姫さまから、目線を外しませんでした
「姫さま、おたわむれはよしてください!」
「あら、私は"じまんのふく"をひろうしているだけよ、なにがだめなのかしら」
お姫さまは、かれいに"いっかいてん"し
自分のすがたをまわりに見せつけました
そのすがたの"うつくしさ""かわいらしさ"に
だいじんや、まわりにいた兵士たちのだいぶぶんは、
おもわず見とれてしまいました
307:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:22:51.956 ID: UIoq7Bth0.net
だれかに見せるときには、十分ちゅういされてください」
だいじんは、姫さまにおもいきってちゅうこくをしました
「ここにいる兵士たちは、ほとんどが"学のない"ものたちです
姫さまのふくが見えないものには、姫さまの、
だ、"だいじなすがた"がみえてしまいます」
だいじんは顔をまっかにしたまま、言いました
しかし、それを聞いたお姫さまの顔は、
もっとまっかになっていました
309:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:33:54.558 ID: UIoq7Bth0.net
姫さまは、へや中の兵士たちにきこえる
大きな声で、いいました
「ここにいる人たちは、たしかに"べんきょう"はあまりしてこなかったかもしれない」
でも、だからといって"バカ"だなんて、私は思わないわ」
そう、お姫さまは怒っていたのです
「兵士さんたちは、日頃"命をかけて"国を守ってくれているのよ
そんな人たちに、何てことを言うのよ」
310:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:34:56.303 ID: UIoq7Bth0.net
「少なくとも、私にとっては、とってもだいじなひとたちだわ
だから、だいじなおようふくを、見てもらいたかったの
兵士さんたちのお仕事のじゃまをしたなら、あやまるわ
だけど、兵士さんたちの悪口を言うのは、やめてくれるかしら」
まわりにいた兵士たちは、思わず聞き入ってしまっていました
311:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:42:46.530 ID: UIoq7Bth0.net
それは"バカ"とはちがうわ
こんなすてきな人たちの中に、"バカ"な人なんてきっといない
そう信じているから、私は、はずかしさなんて感じることはないわ」
お姫さまは、まだまだつづけます
「ううん、兵士さんたちだけじゃなく、この国で働く人、
みんながそうだと、私は思っているわ」
「だいじんだって、いつもこの国のために、がんばってくれているでしょう
だから私は、安心してこのふくを見せることが出来るのよ」
気が付くと、だいじんはうっすら目に
"なみだ"をためていました
「姫さま……そこまでこの国のことを思っていたなんて……」
312:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:46:28.857 ID: UIoq7Bth0.net
かんげきしてしまっていました
「ふんっ」
お姫さまは、怒ったまま、そのばをあとにし、
自分の部屋へ向かっていきました
「姫さまのふく、きれいだったよな」
「ああ、まったくだ」
「センスがよかったよな」
お姫さまがさったあと、兵士たちはくちぐちに
こういいました
「たしかに、あの"ぽけっと"かわいらしいかったですな」
だいじんまで、こう言いだしました
313:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:47:05.101 ID: DUojWOnq0.net
314:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:54:47.487 ID: UIoq7Bth0.net
そのうわさをまわりに伝えはじめました
そんなに広くないおしろでしたので、
じょうないで、はたらく人たちへは、あっという間に広まっていきました
お姫さまが国を想う気持ちに、王さままでかんげきし、
お姫さまをげきれいしました
王さまは、お姫さまが、その"とくしゅなふく"を
"なんぱたーん"も作ってもらったと話していたことも聞き、
"毎日"きるように、おねがいをしました
国民を想う気持ちを、"そんなかたち"であらわすなんて、
すばらしいことだとかんげきしていました
315:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:56:38.120 ID: UIoq7Bth0.net
生活することがあたりまえになっていました
はたらく人たちへの"しんらい"というかたちで、
"バカ"には見えないふくを、なんのはじらいもなく見せている
それがみんなにも伝わっていましたので、
"お姫さまのふく"が見えなかった人は、
そのことを言い出すことは、できませんでした
お姫さまがこんなに自分たちをしんらいしてくれているのに、
なんで自分には見えないんだ
"見えなかった人"はそう自分をせめて、
見えるふりをしていました
316:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)20:57:38.697 ID: UIoq7Bth0.net
ある日、お姫さまは、ひっそりとつぶやきました
バカには見えないふく?
そんなのあるわけないじゃない
「はぁ……」
お姫さまは、今日"なんどめ"かのためいきをつきました
なんでこんなに、すんなりとみんなが信じてくれたのか、ふしぎでした
318:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:00:43.332 ID: UIoq7Bth0.net
私をバカにしてたらどうしよう
さいきんは、そんなことが、ずっとあたまのなかをめぐります
ごめんなさい、ちょっと"すりる"を味わってみたかっただけなの
ほんの、できごころだったの
お姫さまは、いまさらあとにはひけなくなってしまっていました
なんで、こんなことしてしまったのか
そのきっかけをふりかえってみることにしました
——
319:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:02:04.646 ID: 5e+Oh+hla.net
320:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:02:07.658 ID: UIoq7Bth0.net
十数日前
お姫さまが自分のへやで
"きがえ"をしていたときのことでした
「しつれいします」
"のっく"とともに、だんせいの声がしました
「どうぞー」
"おつきの女性"がついうっかり、はんしゃてきに返事をしてしまいました
きがえていた、さいちゅうのお姫さまは、
入ってきた、男性と"目"があいました
お姫さまに、しょうげきがはしります
321:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:04:39.977 ID: UIoq7Bth0.net
男性は、顔をまっかにしながらとりみだし、
いそいでとびらをしめました
お姫さまは、男の人に、そんなすがたを
見られたことは初めてでした
「も、もうしわけありません、お姫さま、もうしわけありません」
おつきの女性のあやまる声など、耳に入らず
お姫さまは、自分のむねのたかなりをきいていました
322:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:08:17.218 ID: UIoq7Bth0.net
お姫さまは、あえて"すかーと"で外出をしました
「きゃっ」
かぜで"すかーと"がめくれたとき、
お姫さまは、手で"すかーと"をおさえることはせず
近くにいた男性が、はずかしそうに目をそらす
ようすを、どきどきしながらながめていました
323:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:11:24.676 ID: UIoq7Bth0.net
わざと外でころび、ようふくのおしりの部分をやぶいてしまいました
お姫さまは、やぶれた部分をかくすようなことはせず、
しばらくそのまますごしていました
わざとふくがやぶれていることには、"気が付かないふり"をして
まわりのはんのうを、どきどきしながら、横目で見ていました
そして次の日も、にたようなことをし、
だんだんと"えすかれーと"していきました
324:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:17:08.079 ID: UIoq7Bth0.net
みんなが自分と話をするときは、
みんな"かしこまって"います
お姫さまは、見た目がうつくしく、ふだんはまわりから
"ひんこうほうせい"に見られていたため、"おかたい"声の
かけかたしか、されませんでした
自分の前で、だれかが
あんなにとりみだし、顔をあかくするすがたなど
久しくみていませんでした
その"こうい"がだんだんと、"くせ"になって、やめられなくなっていました
325:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:20:30.161 ID: UIoq7Bth0.net
"バカには見えないふく"の"あいであ"を
お姫さまは、われながら"てんさいてき"な"あいであ"だと
想いながら、ねりにねった、そのさくを、じっこうしました
ほんとうは、どこかでだれかにたしなめられ、
怒られて、すぐにおわるだけの予定でした
"だれかに怒られる"ことも、
お姫さまはあまりなかったのです
兵士たちのへやでの"ねつえん"は、
つい、うっかりというか、
つい、話だしてしまったら、止まらなくなってしまったというか
つい、調子にのってしまったというか
327:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:24:14.708 ID: PnGYMLz0d.net
328:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:26:44.153 ID: UIoq7Bth0.net
「お姫さま、おはようございます」
"とくしゅなふく"をきたお姫さまに、だいじんが声をかけました
「お、おはよう」
お姫さまは、笑顔でへんじをしました
へいせいをよそおっていますが、
ほんとうははずかしくてしかたがありません
だいじんの"目"が、すごく"気をつかった目"に
なっています
みんな、"ふくがみえない"と思われたくないようです
まさか、王さままで、"ふくが見えるふり"をするなんて
お姫さまは、みんなへのもうしわけなさで、いっぱいになりました
329:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:32:33.226 ID: UIoq7Bth0.net
みんな、きょりがとおいんですもの
えんりょして、だれも近づいてくれなかったんですもの
だれも、気さくに話しかけてくれなかったんですもの
そんな気持ちとはうらはらに、おひめさまのなかに、
あるかんじょうが、芽生えはじめていました
「お姫さま、今日も"すてきなふく"ですね」
「そう、いいでしょ、今日はこんなふくもいいと思って」
きゃー、何を言っているのかしら、私
ほんとうは気が付いていたら、どうしようかしら
330:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:35:33.018 ID: UIoq7Bth0.net
人知れずがんばって、いじしていました
"ごめんなさい、みんな"
そう想いながら、
"もっとみて"という気持ちが抑えられませんでした
むねのどきどきが、止まりませんでした
お姫さまは、めばえている、かんじょうの
正体が、"はいとくかん"だということに
気が付くまで、しばらくじかんがかかりました
331:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:39:10.798 ID: UIoq7Bth0.net
自分のことを"ぎょうし"している兵士に、気が付きました
「兵士さん、いつもおつかれさまです」
お姫さまは、"えがお"でそういいながら、
その兵士へ、近づいていきました
「あ、いや、ど、どうも」
その兵士は、すこしあわてながらも、つい
お姫さまの"むね"から、しせんが外せませんでした
「あら、わたしのふくに、何かついているかしら」
そのしせんに気が付いたおひめさまは、あえてこんなことを言ってみました
「このあたりについているの?どこかしら?」
そういいながら、自分のむねをゆびさしながら、
つきだし、兵士に見せつけました
332:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:41:30.217 ID: UIoq7Bth0.net
兵士は、あわてながら、こんな言い訳をしました
そのひっしなすがたを見ると、
お姫さまは、こうふんがおさまりません
「そうそう、"このふく"お気に入りなのよ」
そう言いながら、お姫さまは、いぜんのように
かわいらしく"いっかいてん"しました
兵士は、そのかわいらしさに、見入ってしまいました
「この"ふりる"が、いいとおもわない?」
そう言って、お姫さまは、こしのあたりで
手をひらひらとして、兵士に、かはんしんを見せつけました
333:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:43:59.185 ID: UIoq7Bth0.net
兵士は、きょどうふしんになりながらも、
こんどはお姫さまの、かはんしんをぎょうししました
「そうそう、この"ふりる"、うしろに、ぼたんがついているのも
かわっているでしょう?」
そういいながら、こんどは兵士にせなかを向け、
おしりをつきだして見せつけました
兵士は、それをまたぎょうししながら、
心の"おくそこ"で、ひっそりと思いました
"おれ、バカでよかった"
"バカでよかったよ"
334:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:48:40.364 ID: UIoq7Bth0.net
そういいながら、王さまは
そんなお姫さまのようすを、ひややかにながめていました
じつは、王さまは、とちゅうから気が付いていました
王さまは先日、
お姫さまに声をかけたとき、お姫さまの肩に
手をおきました
そのとき、たしかに感じたのです、お姫さまの肩のぬくもりを
"見えない"だけなら、肩のかんしょくが
伝わるはずがないのです
おそれおおくて、じっさいにお姫さまに"ふれる"ことは
ほかにだれもしていないようすでした
335:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:55:31.516 ID: UIoq7Bth0.net
まわりのしせんに、お姫さまが、あきらかに"はんのう"
していると"かくしん"したのです
おうさまは、あきれかえっていました
みえをはって、いつまでも気が付かない、しろの人間に
あんなうそに、いっときでもだまされてしまった自分自身に
そして、お姫さまの"バカ"さに
なにも言わず、しばらくようすをみることにしていたのです
336:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)21:56:41.352 ID: UIoq7Bth0.net
「お姫さま、こんにちは」
「お姫さま、今日も、すてきなふくですね」
「お姫さまのふくは、"せんす"がいいわ」
さいきん、お姫さまに話しかけてくる人が、
かくだんに多くなりました
いぜんのお姫さまは、"お上品"で"あたまが良く"
そのかわりに、"とっつきにくい"ぶぶんがありましたので、
お姫さまに話しかけてくる人は、だいじんなど、
一部の決まった人にかぎられていました
こんなにたくさんの人たちに、声をかけられるのは、はじめてでした
そういういみでも、お姫さまはよろこびをかんじていましたので、
ほんの少し、こうおもってもいました
"はだかのお姫さま"も、わるくないわね
お姫さまは、"お下品"で"バカ"なことをやっていますが、
少し、"とっつきやすく"なったようでした
337:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:03:12.244 ID: UIoq7Bth0.net
「今日も、すてきなふくですね、おひめさま」
また一人、じょせいがお姫さまに
話かけてきました
「ありがとう」
そう"えがお"で返しながら、お姫さまは
じ分に話かけてくる人の言うことが、毎回、にかよっている
ことに気が付きました
お姫さまの"えんぜつ"に、じゅんすいに
心をうたれたひともいましたが、じっさいに
"きさく"に、話しかけてくる人は、
"ふくが見える"とあぴーるがしたい人
"ひらきなおって、お姫さまのはだかが見たい人"
が、大半だったのです
おひめさまは、じぶんの"こころ"が
"はだか"になっていないことに、はじめて気が付きました
338:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:09:24.829 ID: UIoq7Bth0.net
"りそうのお姫さま"をめざして、毎日がんばっていました
しかし、その"がんばり"と、"きもち"とはうらはらに、
なぜか人がはなれていきました
"他人に、すきをみせたくない"
お姫さまは、いままでそう思ってこうどうして
いましたので、そのせいかもしれません
今は、その"かんぺきさ"にたえられなくなり、
ぼうそうしてしまったお姫さまですが、
"はだか"になった今でも、
"なるべくきれいなすがた"を見せつけたい
そうおもっていました
しかし、そうやってたどりついた先には、
お姫さまが、ほんとうにめざすものは、なかったのです
お姫さまは、ある決意をかためました
339:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:16:06.899 ID: UIoq7Bth0.net
じょうないの人や、こくみんもあつまってきていました
その"しゅうかい"のなかで、お姫さまが、国民へ向けて、"すぴーち"をする
じかんがもうけられていましたので、
王さまは、気が気ではありませんでした
今日のしゅうかいは、ぶだんのおしろとはちがって、
子どもたちも来る予定でしたので、
もし今日も、お姫さまが"とくしゅなふく"でくるようでしたら
思い切って、ちゅういしようと考えていました
しかし、お姫さまは、自分が"すぴーち"をする
じかんちょくぜんになっても、なかなかあわられません
340:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:21:15.883 ID: UIoq7Bth0.net
「おそくなって、ごめんなさい」
いきを切らせてあらわれた、お姫さまは
"とくしゅなふく"はきてきませんでした
しかし、"とくしゅなふく"をきるまえの
お姫さまがきていたような、うつくしいふくではなく
"きじゅつし"がきるような、
おもしろおかしなかっこうをしていました
王さまは、ほかのふくにかえさせようか、迷いましたが、
じかんがなかったので、そのまま"すぴーち"
してもらうことにしました
341:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:25:37.519 ID: UIoq7Bth0.net
こくみんは、少し、おどろきました
姫さまのおかしなかっこうに対しても、そうですが、
それより、みんなはこうおもいました
"今日は、ようふくが見える"と
「みなさん、こんにちは」
お姫さまの話が、はじまりました
342:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:29:09.495 ID: UIoq7Bth0.net
「というか、じつは……」
いきなり、いちばん気になっていた"ふく"の話になりましたので、
国民のちゅうもくが、一気にあつまります
「私、"バカ"なんで、じつは、私にも"あのふく"は見えていませんでした」
「だましてごめんなさい、あっはっは」
お姫さまは、手をたたきながら、みんなの前で
おおごえで笑いました
とつぜんのことに、みんなあたまが追いつかず、
かいじょうがあぜんとしてしまいました
345:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:40:11.499 ID: UIoq7Bth0.net
近くにいた王さまが、みんなにきこえる大声で
笑いだしました
「この、"へんたい姫"が、はっはっは」
王さまは、大声で、さらに"つっこみ"をいれました
「そうです、私、へんたいなんです」
そう言って、お姫さまは、国民の前で、
"おもしろへんがお"をし、おどけてみせました
お姫さまが、はじめて心を"はだか"にしたしゅんかんでした
347:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:46:08.489 ID: UIoq7Bth0.net
かいじょうから、小さな笑い声がきこえました
それをかわきりに、国民は、大声で笑いました
「わっはっはー」
「なんか、へんだとおもったよー」
あるものは、みえをはっていた自分がはずかしくなり
あるものは、"バカな姫さまだ"とおもったり
それぞれのりゆうで、おおわらいしました
国民の心も、そのいっしゅんだけ
"はだか"になりました
348:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:48:10.299 ID: UIoq7Bth0.net
"すぴーち"がつづきます
「ほんとうにごめんなさい、でも、"バカ"って悪いことでは
ないとおもうの、私がいちばん言いたいのは、それ」
国民は、ふたたびお姫さまにちゅうもくしました
「今まで、私はどう見えていたかしら
おかたい、"かしこいおひめさま"かしら
でも、そんなわたしでも、こんなぶぶんがあるの」
「みえをはったり、いい部分だけを見せようとしても、しかたないわ」
お姫さまは、自分にも言いきかせるようにして、言いました
349:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:51:46.968 ID: UIoq7Bth0.net
みんなも、それでいいと思うわ、だって……」
「この国の姫だって、こんなに"バカ"なんだもの」
おひめさまはそういうと、ふたたび
"へんがお"をひろうしました
こくみんは、ふたたび大笑いしました
350:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:55:36.010 ID: UIoq7Bth0.net
きることはなくなりました
そのかわりに、
"へいみん"がきるものとおなじようなふくをきていたり、
また"きじゅつし"がきるようなおもしろいかっこうをしたり、
今まできていたごうかなふくは、めったにきなくなりました
——
351:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)22:56:19.004 ID: +h224+nQr.net
荒んだ人間への皮肉とも取れるような内容なのにすんなり入ってくるこの感は
354:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)23:10:26.819 ID: UIoq7Bth0.net
ちょっと"ろしゅつのたかいふく"をきていました
「ちょっと姫さま、そういったこういはひかえてくださいな」
「わー、また姫さまが、へんたいになったー」
まわりのかける声は、あきらかにいぜんとちがっていました
お姫さまも「いやーん」などと、
ふざけたりあくしょんをとったり、わざとおどけてみせました
355:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)23:12:14.815 ID: UIoq7Bth0.net
だいじんは、あたまをかかえていました
しかし、そんなだいじんの悩みよそに、
お姫さまは、すがしがしい気持ちでいました
たしかに、"けんい"をたもつために、
"かしこいすがた"や"りっぱなすがた"をみせることは、大切だけれど、
一人くらい、したしみやすい"バカなおうぞく"がいても
いいんじゃないかしら
そう思うようになりました
356:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)23:13:12.890 ID: UIoq7Bth0.net
"はだかのお姫さま"と呼ばれつづけました
お姫さまのそんなすがたを、
王さまは、少しうらやましいようすで見ていました
「わしも、"はだかの王さま"をめざそうかな、はっはっは」
そんなことをいって、大笑いしました
——完
357:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)23:18:02.699 ID: AeHxaSmd0.net
358:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/17(水)23:23:36.675 ID: XfzrfWbL0.net
366:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/18(木)02:14:03.894 ID: R3yMdF1J0.net
367:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします : 2018/01/18(木)02:20:38.650 ID: jRxeYBvgd.net
引用元:赤ずきん「さぁ、どうぞ召しあがれ」 おおかみ「ちょ、ちょっとまって」
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