1:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:01:08 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「そうやで番頭、この質屋っていうのは因果な商売でな…その日の暮らしに困ってる気の毒な人が大事な物や家宝を質にいれる」
彡(゚)(゚)「それを質から出せなくなるってなると、己の悪いところを棚に上げて筋違いに質屋を恨む…人知れずに恨みをかっているというのが質屋という商売なんや」
('ω`)「へー、そうなんですね」
2:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:01:39 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「なんで毎週ワイの家に集まってくるんや」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1525782478/
彡(゚)(゚)「ワイ植木屋、今日も頑張るやで」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1525873410/
彡(゚)(゚)「ワイ、風呂帰り」
http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1525961188/
3:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:02:24 ID: ID:GgS
4:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:03:04 ID: ID:rOt
('ω`)「繻子の帯ですか?」
彡(゚)(゚)「そうや、とある女の人が、その繻子の帯を呉服屋で見つける、女やからこんな綺麗な帯を巻いてみたいたと思うわけや」
('ω`)「でも、そういうのはお高いんでしょう?お金持ちじゃないと気軽に買えませんね」
彡(゚)(゚)「だから夫にその事を相談して、酒も我慢してもらいながら節約して一年がかりでお金を貯めたわけや」
('ω`)「一年もかかったなら他の誰かが買ってたりしませんか?」
彡(゚)(゚)「ところがまだあったんやな…そうなるとその女に迷いはないな、これは運命やと思って、嬉々として帯を買ったんや」
5:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:04:25 ID: ID:rOt
('ω`)「綺麗だし高価だし、子供の代までつかえますね」
彡(゚)(゚)「女もそれを思いながら暫く生活してたんや、実際に小さい女の子もおったしな」
彡(゚)(゚)「しかしな、その女の夫が急病で寝込んでしまったんや」
('ω`)「えっ?じゃぁもう」
彡(゚)(゚)「稼ぎが無くなるから生活てまきへんな…だから女が働きに出て稼ぐことにしたんや」
6:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:05:53 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「だから暫く生活できる金を作るために、その繻子の帯を買った時の半分の値段で質屋にいれてお金をつくったんや」
('ω`)「もったいないですね…」
彡(゚)(゚)「どうにかこうにか生活してたんやけどな、夫は病気が悪化して亡くなってもうた…女は一人で子供を食わせるために毎日毎日朝から晩までほぼ休むことなく働いた」
7:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:07:22 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「そこからは子供が女を介抱しながら働いたが、女の病気も悪化してきてもうどうにもならなくなった」
('ω`)「………」
彡(゚)(゚)「そして女はこう言った」
8:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:08:51 ID: ID:rOt
子供『弱気にならないでよ、私頑張るから』
女『もういいのよ、最期に…貴女に形見の一つでもあげたいけど、知っての通りウチは貧乏…繻子の帯が一本あるけど、一年がかりで貯めて買ったのに…半分の値段で取られてしもうて貴女に形見一つあげれないなんて…』
女『ほんとに悔しい…あの質屋が恨めしい!』
9:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:10:24 ID: ID:eWp
10:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:11:05 ID: ID:rOt
('ω`)「へー、本当に因果なもんですね」
彡(゚)(゚)「まぁ、今のは例え話しやからそんな帯はないねんけどな、そんな品がはいってるのがうちの三番蔵でな」
彡(゚)(゚)「怪奇現象や幽霊が出るとかは不思議やないねん」
('ω`)「本当に幽霊が出たりしたら商売に支障が出てしまいますね…そうでなくても幽霊の噂を怖がって近づいてくる人すらいなくなるかもしれません…様子を見に行って解決したいところですね」
彡(゚)(゚)「話が早いやないか、その件を番頭さんに任せたいんや」
('ω`)「えっ…」
11:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:13:03 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「なにも一人で行けとは言うとらん、誰か強い奴がおればそいつと一緒でもええ」
('ω`)「なるほど、それなら心強いです…強い人か、誰かいたかな………あ、ジャス五郎がいます!」
彡(゚)(゚)「あのジャス五郎か、たしかにあいつはガッチリしてるし身体もでかいし、喧嘩も負けなしと聞くな」
彡(゚)(゚)「さっそく呼んでくるか…おーい!だれかおらんか?丁稚!ポジ吉!」
(*^◯^*)「!!うひゃい!」
12:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:15:12 ID: ID:rOt
(*^◯^*)「別に立ち聞きしてたわけじゃないんだ!
歩いてたら話が聞こえてきたから暫く立ち止まってただけなんだ!だから僕は何も悪いことはしてないんだ!ちなみに繻子の帯がどうのからしか聞いてないんだ!」
彡(゚)(゚)「それを立ち聞き言うんや!ほぼ全部聞いとるやないか!!どんどん増長しくさってからにホンマ!まぁ、それなら事情はわかっとるやろ、早いとこジャス五郎よんでこい!」
13:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:17:16 ID: ID:rOt
(*^◯^*)「そもそも聞こえるように話してたのが悪いんだ!ぼくが丁稚だからあんなに怒るんだ!丁稚差別なんだ!誰かに八つ当たりしてきたくなったんだ!」
(*^◯^*)「もう丁稚なんて嫌なんだ…っと、行きすぎるとこだった、ジャス五郎の家はここだったんだ」ドンドン
(☆…●)「おう、誰やー!ってポジ吉じゃないか、どうしたんだ?」
(*^◯^*)「あのね!質屋の旦那がジャス五郎呼んでこいって言われたんだ!鬼の形相で怒ってたんだ!」
(☆…●)「」
14:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:19:35 ID: ID:rOt
(*^◯^*)「本当なんだ!どんどん増長しくさってからホンマにぃ!早くジャス五郎の野郎を呼んでこい!ってな感じなんだ!」
(☆…●)「参ったな…身に覚えがありすぎるんだが…他になにか聞いてないか?」
(*^◯^*)「聞いてないんだ!丁稚は差別されてるから立ち聞きしちゃいけないんだ!」プンスコ
(☆…●)「落ち着いてよく思い出してくれ…原因がわかったら、向こうが言い出す前にコッチから先に謝れば向こうが『まぁまぁ、今回は許そう』ってことになることもあるからな」
(*^◯^*)「実際に経験してるんだ?」
(☆…●)「あぁ、たくさんな」
15:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:21:38 ID: ID:rOt
(*^◯^*)「本当!?じゃぁ焼き芋が食べたいんだ!」
(☆…●)「わかった!どこかに屋台見つけたら買ってやる」
(*^◯^*)「もうすぐそこに屋台あるんだ」
(☆…●)「」
16:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:22:54 ID: ID:rOt
(*^◯^*)「あのね!断片的だけど少し思い出したんだ!」
(☆…●)「本当か!?言ってみてくれ!」
(*^◯^*)「なんかねー、『綺麗な帯やなー』とか『高価でな?』とか『お酒飲みたいな』とかねー』
(*^◯^*)「じゃぁ僕はこのままお仕事サボるからさよならたんだ!じゃぁね!」タッタッタッタッタッ
(☆…●)「あ、おい!待て…行ってしまったか」
17:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:24:04 ID: ID:rOt
(☆…●)「他にもちょいちょいあるが酒のことで間違いないだろう!さっさと行って謝ってくるか!」
18:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:25:35 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「お、ジャス五郎!来てくれたか!お前を呼んだのは他でもない、うちの三番蔵のk」
(☆…●)「いや!旦那は何も言わんでください!銘酒が無くなったことっすよね!申し訳ない!あの件のこと、実は俺なんですわ!」
彡(゚)(゚)「………は?」
(☆…●)「この間、ウチのカカァが旦那の奥様に料理教わりに行ってましたでしょ?その時にカカァが旦那が持ってる銘酒を見つけましてな?俺が酒好きだから飲ませてやりたいということでカカァが奥様にお願いして少しばかり頂きましてね」
19:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:27:19 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「……」
(☆…●)「でも、少しばかり頂いた酒ですから3日もたんと全部飲んでしまったんです、仕方なくいつも飲んでる安い酒で我慢したんですが、旦那のとこの銘酒が恋しくなりましてな?またカカァに頼んで少しばかり貰いに行ったんです」
(☆…●)「そして、それを飲み干しては少しばかり貰いに行ってもらってを繰り返してたんですが、ある日の仕事帰りに旦那の家の前を通りかかりましてな?そこで思ったんです。少しばかり貰い続けるのと一度に全部頂くのもどちらも同じだと」
20:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:30:12 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「おかしいなと思ってたんやが、あれお前やったんか!気をつけないかんなホンマに…いや、その件で呼んだんじゃなくて…」
(☆…●)「酒のことじゃない…?なら漬物のことですか!?魚のことですか!?それともあの羽織を汚したこと…それかあの…」
彡(゚)(゚)「ナンボほどあんねん!あれもこれも全部お前やんけ!今日は小言をいう為に呼んだんやないわ!」
(☆…●)「へっ?」
彡(゚)(゚)「へっ?やないでホンマに…ポジ吉はなにを言うたんや…まぁ、この件の小言はまた後日じっくり聞かせてたるわ」
(☆…●)「」
21:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:32:16 ID: ID:rOt
('ω`)「ジャス五郎は喧嘩とか強いでしょ?私一人だと心細いから強い人と一緒に行っておくれよ」
彡(゚)(゚)「金目当ての悪党だったりしたら番頭だけではどうにもできんやろ?だから呼んだんだ」
(☆…●)「そういうことなら、この俺に任せてくだせぇ!悪党だろうがなんだろうが、この俺がボコボコにしてやりますよ!」
('ω`)「ちなみに妙な噂というのは幽霊がでるとかなんとか」
(☆…●)「………幽霊となったら話が違ってくるな、一度家に帰って色々準備を…」
彡(゚)(゚)「逃げる気やろお前」
22:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:34:23 ID: ID:rOt
彡(゚)(゚)「デカい図体してんのに女々しいこというなや」
('ω`)「さっきまでの威勢はどうしたのさ」
(☆…●)「だって幽霊ってさ、殴れないでしょ?コッチからは何してもすり抜けてしまうのに向こうからは触れてくるんだぞ!?呪いとかかけて苦しめてくるんだぞ!?番頭さん、一人でどうぞ」
('ω`)「嫌ですよ!それなら私も実家の神奈川に帰ります!」
彡#(゚)(゚)「喧嘩すな!ごちゃごちゃ言わんと二人ともさっさと行ってこいや!」
23:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:36:17 ID: ID:rOt
('ω`)「三番蔵の向かいにあるこの小屋から見張れっていうことだけど、さすが旦那さんだね」
(☆…●)「そうだな、酒に御膳まで用意してくれて…まぁ、有り難くいただこうじゃないか」
('ω`)「私はお酒飲めないからジャス五郎にあげるよ、御膳だけは食べるけど」
(☆…●)「お、いいのか?なら遠慮なく」グビグビ
('ω`)「しかし本当に幽霊なんてでるのかな…確かに恨み辛みのこもってそうな品が大量にあるけど」モグモグ
24:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:37:43 ID: ID:rOt
('ω`)「ちょっと、飲みすぎじゃない?」
(☆…●)「あぁ、そうだな…このままだと酔い潰れて寝てしまうな」グビグビグビグビグビグビ
('ω`)「!!!ちょっと待てよ!飲むのやめろ!」
(☆…●)「あー!寝てしまう寝てしまう!ベロンベロンで泥酔で爆睡してしまうー!」グビグビグビグビグビグビグビグビグビグビ
25:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:38:14 ID: ID:cA6
26:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:39:44 ID: ID:rOt
(☆…●)「あ、この野郎!一度あげたものだぞ!返せ!」
('ω`)「絶対に嫌でぇーす!………あれ?なにあれ」
(☆…●)「なんか小さくボヤーっとしてるな………近づいてくるぞ」
('ω`;)「あ、あ、あ、もしかして人魂!?小屋の扉の前で止まった!?」
ガラガラ!
(;☆…●)「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!小屋の中にぃぃぃぃ!人魂があああ!」
('ω`;)「いやあああああ!出たあああああああ!!!」
27:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:41:52 ID: ID:rOt
(☆…●)「な、な、な、なんだ、旦那ですかい…」
('ω`)「人魂かと思ったら燭台だったんですね…全く!脅かさないでくださいよ!」
彡(゚)(゚)「いやな、心配になって様子を見にきただけや…ワイは明日早くに出ていく用事があるからもう寝なあかんけど頼むでホンマ、お礼はたんと弾んでやるからな」ガラガラピシャリ
(☆…●)「はぁ…驚いたから酔いが冷めてしまった」
ゴーン…ゴーン…
('ω`)「もう丑三つ時か…何もないしやっぱりただの噂なんだろうね」
28:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:43:24 ID: ID:rOt
('ω`)「ちょっとやめてよ…旦那さんはもういないしそんなわけ…………本当だ…」
(☆…●)「よ、よし!行くぞ番頭さん」ガクガク
('ω`)「そんなへっぴり腰でどうすんのさ」ガクブル
(☆…●)「番頭さんこそな!まぁ、行くしない」
29:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:45:13 ID: ID:rOt
('ω`)「う、うん…まずはゆっくり開けて様子を見よう」ガクブル
ガララ…
「かたやぁ~!大紋ー!大紋ー!こなたぁ~!黒龍ー!黒龍ー!…はっけよい、のこった!」
大紋「のこった!のこった!」
黒龍「のこった!のこったのこった!」
(☆…●)「な…帯と羽織が…相撲をとってる…」
('ω`)「あの二つは確か相撲取りの質物だね…もう亡くなったって聞いてたけど…本当に化けてでるとわ……」
30:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:47:40 ID: ID:rOt
('ω`)「掛け軸の中の菅原道真の絵が抜け出してこっちに来るじゃないか!」
(☆…●)「俺らのことバレてるのか!?」
('ω`)「は、早く逃げないと…だめだ腰が抜けて…」
(☆…●)「俺も…あぁ、もうダメだ…きっと呪われるんだ……」ガクッ
('ω`)「ちょっと!気絶しないでよ!」
31:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:49:37 ID: ID:rOt
菅原道真「そちがこの家の番頭か?」
('ω`)「は、はい!そうでございます!」
菅原道真「ふむ、ならば藤原方に参り利上げをせよと伝えてくれ、麿もまた…流されそうだ」
以上、質屋蔵というお話でした
補足
菅原道真は藤原時平の讒言によって大宰府へ左遷されてしまう。このサゲはその故事と質流れをかけたものである。
33:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:55:17 ID: ID:GgS
34:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:57:13 ID: ID:rOt
CDでしか聞いたことないかな
見に行きたいけどなかなか機会がない
35:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:58:27 ID: ID:GgS
オススメある?
37:名無しさん@おーぷん : 2018/05/12(土)00:01:40 ID: ID:33R
サンガツ
32:名無しさん@おーぷん : 2018/05/11(金)23:50:56 ID: ID:rOt
しばらくは話のストック溜めるためにお休みする
来週からまたやって行きたいと思います
引用元:彡(゚)(゚)「うちの三番蔵には幽霊が出るそうや」