穂乃果「フランス料理!」
絵里「真姫、本当に良かったの?」
真姫「ええ。パパとママが急に行けなくなっちゃったんですもの。券が無駄にならなくて良かったわ」
穂乃果「いや~、本当にラッキーだったよね。都合よく穂乃果と絵里ちゃん予定が空いてて良かったね」
絵里「他の皆んなにちょっと悪いわね」
穂乃果「花陽ちゃんなんか血の涙流してたもんね」
真姫「大袈裟よ…とも言えないのよね」
絵里「花陽らしいわね」
穂乃果「さあ、早く行こうよ。もう、待ちきれないよ」
真姫「もう。お店の中で騒がないでよ?」
穂乃果「大丈夫!分かってるよ」
絵里「そうね…。私達場違いじゃないかしら?」
真姫「絵里は大丈夫よ」
穂乃果「真姫ちゃん?それはどう言う意味かな?」
真姫「ちょっと。声が大きいわよ」
穂乃果「あっ、ごめん」
絵里「ふふっ、なかなか慣れないわよね?」
穂乃果「うん。そうだね」
絵里「穂乃果?どうかしたの?」
穂乃果「いや…」
穂乃果(うん。慣れないって言うかさ…何にも考えてなかったけど。どうすればいいの?え?なんか…オードブルだっけ?店員さんが持ってきてくれたけどさ。スプーンとフォークがいっぱいあるんだけど?どれを使えばいいの?)
真姫「穂乃果?食べないの?」
穂乃果「いや、食べるよ?」
真姫「そう?」
穂乃果(絵里ちゃん!そうだ。絵里ちゃんの食べ方を参考にすればいいんだ)
真姫「ねえ、絵里」ヒソヒソ
絵里「なあに?」
真姫「あの…フォークとナイフは外側から使っていくのよ?」
絵里「え?そうなの?」
真姫「ええ。後、そのナプキンは膝に掛けていいのよ?」
絵里「え?あ、ああ…そうなのね」
穂乃果(うわぁ。良かったよ。絵里ちゃんの真似をしなくて良かった。もう、絵里ちゃんって何でも出来そうで割と出来ないんだよね。って言うかむしろ弱点多いしね。まあ、そこがギャップで絵里ちゃんの魅力でもあるんだよね。うん。高級レストランに来て改めて絵里ちゃんの魅力に気づく事が出来たね)
絵里「ああ…えっと…」
穂乃果(うん。絵里ちゃん焦っちゃってるね。まあ、実は穂乃果もまだ焦ってるんだけどね。ナイフとフォークの持ち方ってどっちがどっちだっけ?ナイフが右?左?箸だったら完璧に使えるんだけどね。あの、海未ちゃんのお墨付きだからね?穂乃果は)
絵里「いえ…大丈夫よ?ちょっと焦っちゃっただけで」
穂乃果「うん、うん」
真姫「なんで焦る事があるのよ」
穂乃果(よくよく考えたら真姫ちゃんがいるんだから真姫ちゃんの真似をすればいいんじゃん。うん。ナイフは右ね。言われてみればしっくりくるね)
穂乃果「さあ、じゃあ頂こうかな………」
穂乃果(えっと…これはナイフを使う必要があるのかな?なんて言ったっけ?オードブルって前菜だよね?ナイフ使うの?フォークだけで良いような気がするんだけど。だって小さいもん)
真姫「……」パクっ
穂乃果(あ~でも真姫ちゃんナイフ使ってるもんなぁ)
絵里「……」パクっ
穂乃果(絵里ちゃんも使ってるなぁ。やっぱり絵里ちゃんは黙ってナイフとフォークを使ってるとさまになるね)
真姫「どう?おいしい?」
穂乃果「うん。おいしい!すっごくおいしいよ」
真姫「そう。良かったわ」
穂乃果(うん。すっごくおいしい。その言葉に嘘偽りはないよ。ないけど。ないからこそ、どうして…どうしてちょっとだけなの?少な過ぎだよね?お皿はこんなに大きいのにどうしてこんだけの量なの?)
絵里「本当。美味しいわね。えっと…なんて言ったからしら?フレンチは名前を覚えるのが難しいわね」
真姫「でも、やっぱり絵里は流石ね」
絵里「え?どうして?」
真姫「だってナイフとフォークの使い方が完璧だもの。結構使えない人って多いのよ?」
絵里「まあ、私は海外の生活長いし」
穂乃果(そっか。絵里ちゃんはロシアで暮らしてたんだよね。さっき間違えてたけど基本は完璧なんだ)
絵里「穂乃果?かぼちゃのポタージュだって。美味しそうね?」
穂乃果「え?あっ、うん。そうだね」
穂乃果(うん。スープは美味しそうだよ。でも、今はスープはいいんだよ。私はパンの食べ方で悩んでるんだよ)
真姫「ねえ?どうしたの?さっきから心ここに在らずって感じよ?」
穂乃果「え?そ、そんな事ないよ?心はずっとここにいるよ?」
真姫「なにを言ってるのよ」
穂乃果(やっぱりあれかな?フランス料理だもんね。いくらパンでも素手で食べるのはなんか違う様な気がする。そう言えばことりちゃんはパンケーキをナイフとフォークで食べてたよね。パンケーキってパンだよね?)
真姫「穂乃果?」
穂乃果「え?あっ、うん。美味しそうだね。食べよう…か…」
穂乃果(あれ?あっちの席に座ってる人…海老を素手で食べてるよね?いいのかな?フランス料理も素手で食べていいのかな?)
穂乃果「頂きます」
真姫「ちょっと、絵里?何してるの?」
絵里「え?」
穂乃果「え?」
穂乃果(あれ?やっぱり素手で食べちゃいけなかったの?いや、でも真姫ちゃんも素手で食べてたし…)
絵里「えっと…何かおかしい事したかしら?」
真姫「パンをスープにつけて食べるのはダメなのよ?」
絵里「そうだったの…知らなかった…」
穂乃果(そっちか。そっちだったのか。あっぶない。私もやっちゃう所だったよ。絵里ちゃんのお陰で助かったよ。でも、それならパンとスープを同じタイミングで出さないでよ~)
穂乃果「ね?難しいね。あっ、パンが美味い」
真姫「言うと思ったわ」
穂乃果(本当はね、もっと大きな声で言いたい所だったんだけどね。それだけ美味しいよ。うん、凄く美味しい)
真姫「ポワソン。シタビラメのムニエルよ」
穂乃果「あ~ヒラメ!ヒラメね?」
真姫「いや、シタビラメよ」
穂乃果「うん。だからヒラメでしょ?」
真姫「シタビラメだってば」
穂乃果「え?だからヒラメでしょ?絵里ちゃん?」
絵里「えっと…シタビラメはシタビラメよ?」
穂乃果「え?それはあれ?キクラゲはクラゲじゃないみたいな感じのやつ?」
真姫「違うわよ。シタビラメはシタビラメなのよ。わかった?」
穂乃果「そっか」
穂乃果(全然分かんないけど。え?シタビラメがヒラメじゃないなら、じゃあコクワガタはクワガタじゃないの?コクワガタはコクワガタなの?意味わかんないよ。私はこう見えて生物とか得意じゃないからね)
穂乃果「うん。美味しいね……シタビラメ」
真姫「私も大好きだわ」
穂乃果「皆んなにも食べさせてあげたいねぇ。あっ、でも凛ちゃんは食べれないか。シタビラメは…魚だもんね?」
真姫「何を言ってるのよ、さっから」
穂乃果「いやぁ、まあ…そうだね」
穂乃果「あのぉ、真姫ちゃん?」ヒソヒソ
真姫「何?」
穂乃果「終わり?」
真姫「何が?」
穂乃果「料理だよ。これデザートでしょ?」
真姫「ああ…違うわよ。これはソルベって言って口直しよ。この後お肉の料理が来るはずだから」
穂乃果「お肉?本当?」
真姫「ちょっと、声がでかいわよ」
穂乃果「ごめん。つい、テンションが…」
真姫「気をつけてよ?レストランで騒ぐのはマナー違反なんだから」
穂乃果「うん」
絵里「ふふっ、穂乃果?顔が緩んでるわよ?」
穂乃果「え?そう?」
絵里「よっぽど嬉しいのね」
穂乃果「まあね~」
穂乃果(で、お肉の料理と一緒にお水を持って来てくれたけどこれは飲めって事なのかな?まあ、それ以外ないよね?)
穂乃果「じゃあ…」
絵里「穂乃果?」
真姫「何しようとしてるのよ?」
穂乃果「え?水を…」
真姫「まさか、本当にそんな事する人がいるなんて…」
絵里「穂乃果?それはフィンガーボウルって言ってお肉を食べた後に手を洗う為にあるのよ?」
穂乃果「え?手を洗うの?」
真姫「お肉に骨がついてるでしょ?手で食べて汚れるからフィンガーボウルで洗うのよ」
穂乃果「あ~………なるほど………へえ~」
絵里「穂乃果…顔真っ赤よ」
真姫「穂乃果にも羞恥心があったのね」
穂乃果(当たり前じゃん。すっごく恥ずかしかったもん。確かさ何にも勉強して来なかった穂乃果が悪いよ?事前準備してないから。でもさ、ご飯食べるのに事前準備って何?する?もう、わかんないよ。和菓子屋の娘には難しいよ)
穂乃果「うん……」
穂乃果(もう、それどころじゃないんだけど)
パクッ
穂乃果「ん!!んんん!!!!」
絵里「穂乃果?」
穂乃果「美味しい!!これ凄く美味しよ!!!」
絵里「あら?一気に笑顔に戻ったわね」
穂乃果「うん。だって凄く美味しいんだもん」
真姫「まったく、現金なんだから」
穂乃果「えへへ~………」
穂乃果(お肉は凄く美味しかったけどこのナントカボールはどうやって使えばいいんだろう?手を洗うって言ってたけど…やっぱり作法とかあるんだよね?)
真姫「……」モグモグ
絵里「……」モグモグ
真姫「……」 モグモグ
絵里「……」モグモグ
穂乃果(え?遅すぎない?さっきからちょくちょく思ってたけど二人とも食べるの凄く遅いよね)
真姫「……」モグモグ
絵里「……」モグモグ
穂乃果(もう、二人とも小動物の食べ方だよね………え?何?じゃあ、穂乃果は何なの?)
真姫「って言うか穂乃果。食べるの早すぎよ」
穂乃果「いやぁ…」
穂乃果(あれ?もしかしてダメなのかな?フランス料理って早く食べるスピードとかあるのかな?)
絵里「仕方ないわよね?穂乃果はお肉を楽しみにしてたんだものね?」
穂乃果「うん。そうなんだよ」
穂乃果(と言いながら絵里ちゃんが手を洗い出したね。なんだ、普通に洗えばいいんだね)
真姫「穂乃果。片手ずつよ」
穂乃果「あっ、そうなんだ…」
穂乃果(あ~ツメが甘かった。絵里ちゃんもよく見たら片手ずつ洗ってるじゃん)
穂乃果「………」
真姫「穂乃果…穂乃果?いつまで洗ってるの?」
穂乃果「え?あっ……うん。考え事してて…」
真姫「…」
穂乃果「ねえ、真姫ちゃん?これは普通にスプーンで食べてもいいのかな?」
真姫「え?……うん。いいのよ」
穂乃果「そっか。ありがとう、真姫ちゃん」
絵里「ハラショー。美味しいわ」
穂乃果「ね!美味しいね」
真姫「……」
真姫「ええ」
穂乃果「そっか」
穂乃果(最初からこうしてれば良かったんだね。あ~なんか気が楽になって来たよ)
絵里「ハラショー!この、コーヒーも凄く美味しいわ」
穂乃果(ん~コーヒーの味の違いは分からないかなぁ。絵里ちゃん本当に分かってるのかな)
絵里「うん。美味しい」
穂乃果「うん。そうだね。凄く美味しかった」
穂乃果(美味しかったけど…やっぱり私には敷居が高かった…なんだか疲れちゃったよ。フランス料理はもういいかも)
真姫「穂乃果?」
穂乃果「ん?どうしたの?」
真姫「その…レストランで色々と言っちゃってごめんね?気を悪くしたわよね?」
穂乃果「え?いや………ふふっ、真姫ちゃんは優しいねぇ」
真姫「べ、別に…」
穂乃果「真姫ちゃん、今日はありがとうね」
絵里「真姫、ありがとう」
真姫「……ええ、どういたしまして」
穂乃果(帰りに本屋さんでも寄ってテーブルマナーの本でも買って帰ろうかな)
穂乃果「あっ、あった!テーブルマナーの本」
「あっ、やっぱり売ってたわ」
穂乃果「え?」
絵里「え?」
穂乃果「絵里ちゃん…」
絵里「穂乃果…」
「SS」カテゴリのおすすめ
「ランダム」カテゴリのおすすめ
コメント一覧 (3)
-
- 2018年07月18日 19:58
- 本当の贅沢って言うのは食いたい物を食いたい時に食いたい様に食う事であると思う、確かにフレンチなんかは旨いんだが日本人の気質なのかマナーに慣れるまでは食った気もしない
-
- 2018年07月19日 02:05
- ナイフとフォークは使えるがハンバーガーの食い方は知らない絵里
貧乏根性が染み付いてたからスタッフが丁寧すぎるのも周りが静かなのもストレスでしかなかった