【ぼく勉】真冬「どこにいるの? 緒方さん!!」/真冬「こ、これがル〇バなのね」
- 2019年01月18日 23:40
- SS、ぼくたちは勉強ができない
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真冬「はあ…はあ…」タッタッタッ
真冬「……どこに」ガサガサッ
真冬「どこにいるの? 返事をして! 緒方さんっ!!」
理珠「ゆ、唯我さんには関係ないでしょう!? 放っておいて下さい!!」ピシャーン
成幸(ええええ俺確か…君の教育係だよね!?)ズガーン
理珠「ささささようならッ!!」
成幸「えっどこ行くの!?(外出禁止だけど…)」
理珠「少し外の空気を吸ってくるだけです! 美味しいらしいので!」ダーッ
成幸(え…何? 急な反抗期…?)
ウイーン ガシャン
真冬「……」カシュッ ゴクゴク
真冬(休息。やっと一息つけたわね。この後の予定は何だったかしら…)ペラッ
真冬(16時半からミーティング…その後は教師同士での夕食を兼ねた懇親会ね。陰鬱…正直気乗りがしないけど…」ハア…
--ダダダダダダッ
真冬「何かしら…足音? あの姿は--緒方さん?」
理珠「………」ガーッ ダダダダッ
真冬(呼び止めたのすら気付かずに外に出て行ってしまったわ。今は外出禁止時間のはず。至急追いかけて--)
真冬「………っ!?」ビクッ
--見捨てる? 否。私は教育係として、最初から現実的な提案をしていたのだけれど?
--あれは提案ではなく、押し付けに過ぎません。私の人生を決めるのは私です。才能の有る無しで勝手に人生を決めないで下さい!
--責任。他人の人生に口を挟むからこそ半端なことは言わないし、させられないわ。理想を貫きたいのであればまずは実績、そう先日も告げたはず。だけど結果はどうだったかしら?
--ぐっ…!
--この間のテストで判明済み。あの点数で文系ですって? 笑止千万。緒方さん、あなたにはそんな才能はないわ。あきらめなさい
真冬(--あれを最後に、彼女たちとは袂を分かった。あれだけきついことを言ったもの。きっと顔すら合わせたくないでしょうね)
真冬(静観。冷静な彼女なら、そんな遠くに行くはずもない。帰ってきた後に言い含めておけば、それで…)
藤田先生「あ、桐須先生。ここにいたんですね。もうすぐミーティングが始まりますよ」
真冬「藤田先生…ええ、わかりました。至急伺います」
真冬「……」
司会「--では他に質問などあれば………無いようですね。ではこれにてミーティングを終了します。お疲れ様でした」
佐藤先生「やれやれ、やっと終わりましたな」
鈴木先生「一日中立ちっぱなしで、もうくたくたですよ…あ、いつの間にか雨が降ってきてますね」
真冬(雨…?)
佐藤先生「山の天気は変わりやすいからなあ。ま、この天気であれば、わざわざ外に出ようとする生徒もおらんでしょう」
鈴木先生「この後は夕食っスね。桐須先生。良かったら僕らの近くでご飯を食べながら教育論について--」
真冬「……いえ、ちょっと小用がありますので。もし遅くなった時には先に始めておいて下さい」スタスタ…
佐藤先生「くっ…今日も相変わらずクールだ。桐須先生は」
鈴木先生「ええ。けど…そこがいいっス」グッ
真冬「…? あの娘は?」
関城「……」キョロキョロ
真冬「関城さん?」
関城「あ、桐須先生」
真冬「何か探しているみたいだったけれど。落とし物か何か?」
関城「あ、いえ。緒方理珠を探しているんですけど、どこにも見当たらなくて」
真冬「----!!」サァーッ
関城「桐須先生は見かけませんでしたか? 緒方理珠」
真冬「い、いえ…見かけなかったわね」
関城「そうですか。では」スタスタ
真冬(--緒方さんっ!)ダッ!
真冬(不覚…あのとき躊躇せずに、すぐに緒方さんを追いかけていれば…)ギリッ…
真冬(いえ、過ぎた事を後悔している暇は無い。今は緒方さんを見つけることが先決…!)
真冬「レインコートに、懐中電灯。正直、雨の山道に入るには心許ないけど…最後に見かけてから既に1時間半ほどは経っている。急がないと」ダッ!
--ザアアアア…
真冬「これは…(思ったよりも雨脚が強い…)まずいわ。誰か応援を呼ぶ必要が--」
--またかしら緒方さん。難しい単語が目に入るとすぐに思考停止してしまう。まずはその癖を何とかしない限り、文系など到底無理よ
--言われずとも十分に理解しています。確かに今はできないかもしれませんが…それならば、諦めずにやり続けるだけです!
真冬「……」
真冬(…もし応援を呼んだら? 当然…騒ぎが大きくなるでしょうね。そうなってしまえば緒方さんには厳しい処分を下さざるを得ない。成績が良くない彼女にとっては致命的に…)
真冬「……」ギュッ…
真冬(1時間…1時間だけ捜索して駄目だったなら応援を呼ぶわ。だから、それまでに何としても--)タッタッタッ
--ザアアアア…
真冬「どこにいるの? 返事をして! 緒方さんっ!! …っ!」
真冬「…ったあ」ポタッ… ポタッ…
真冬「平気……これくらい」ギリッ
真冬「でも……」チラッ
真冬(既に探し回って30分。やっぱりこんな山の中を闇雲に捜索するのは…)
真冬「…っ」パシン!
真冬(諦めては駄目よ真冬! 仮にも元教育係。こんな時こそ、冷静に彼女を分析して答えを見つけないと)
真冬「……」スッ…
真冬(加えて、彼女は体育の成績があまり良くない。体力が無いのだからそう遠くまで出歩けないし、ましてや山奥の方になんて行くわけがない。以上の要素を合わせば--)
真冬(何らかの原因で緒方さんは冷静さを失っていた。外に出たのは頭を冷やすためだったのかもしれない。だけど思考が停止していたから--朝に来たのとは逆の方向に進んでしまい、道に迷ってしまった)
真冬「指針。仮説が全て正しいわけではないでしょうけど、目処は立った。山頂目指して進んでいけば…きっと見つかるはず」
--ザアアアア
(雨もいまだ止む気配がないわ。急がないと。たとえ--)
--理珠「……」ギリッ…
--文乃「……」ズーン
真冬「不変。たとえどう思われようとも…私の大事な生徒であることに変わりはないから」
真冬「はあ…はあ…」ガサガサ
真冬「(もうすぐ1時間…これ以上引っ張るわけにはいかない)緒方さん。どこなの?」スゥ…
真冬「おが--」
「--へくしっ」
真冬「--っ!(くしゃみの音!? 見つけた!)」
真冬「お--」ガサッ!
真冬「---!?」バッ!
真冬「あの子は教育係の…唯我くん?」
真冬(不可解。何故この場に彼が? それに今の言葉…もしかして緒方さんは彼と待ち合わせを? なら、何故わざわざこんな場所を--)
成幸・理珠「え……?」
真冬「----!?」
理珠「それでは戻りましょう」スタスタ…
成幸「えっちょっ緒方…! そっち宿と逆!!」ダダッ!
真冬「何故宿と反対方向に…? でも…唯我くんもいたのなら迷っていたわけではない。なら私の…単なる早とちり…で」
ドサッ…
真冬(疲弊…無理をしていたのは私の方だったのね。足が棒のよう。手も…いつの間にか傷だらけで。でも--)
真冬「本当に…良かった。大切な生徒が無事で」ギュッ…
佐藤先生「あ! 桐須先生。随分遅かったじゃないですか」
鈴木先生「もう解散しようかと思っていたところなんですよ。一体何があったんですか?」
真冬「いえ、何も。小用を済ませたあと、生徒が外出していないかを確認していました」
佐藤先生「律儀ですなあ。しかしこの天候で出て行く生徒がいるとは」
真冬「いえ。雨は先ほど上がりました。その影響か、F組の緒方理珠とB組の唯我成幸、2名の生徒が先ほど宿を出て行くのを見かけたという報告が」
鈴木先生「え?」
佐藤先生「そ、そうでしたか…桐須先生ばかりに負担をおかけしたようで申し訳ない。では2人には明日、授業が終わったら風呂掃除を行うよう言付けておきましょう」
真冬「ええ、ではそのように」クルッ
鈴木先生「あれ? 桐須先生。どちらへ?」
真冬「少々疲れたので、先に部屋に戻らせていただきます。では」スタスタ…
佐藤先生「こんな時ですら決して気を緩めないなんて。さすがは桐須先生だ…」ゴクリ…
鈴木先生「付け入る隙なしって感じッスね…」
ヌリヌリ…
真冬「うっ! ……ったあ」
真冬「……」グス…
真冬(終了…まだ痛みが強いけど。仕方ないわね)
--ドサッ
真冬(疲弊。今日は疲れたわ。不純異性交遊の件は置いておくとしても、結局は私の一人相撲…)
真冬(いえ…相違。緒方さんが無事であることが確認できたもの。それで十分。それ以上は…何も望まない)
--けれど、もし……
成幸「--その手…虫さされと枝葉で切った傷だらけ…先生がなんであの事故のこと知ってたのか、やっとわかりました」
真冬「!」
成幸「--あの時緒方のこと心配して、雨の山の中探しまわってたんじゃないですか?」
真冬「----!!」ドクンッ
--けど、もし……気付いてくれる人がいたとすれば
成幸「伝えましょうよ! このこと知ったら緒方や古橋も先生のこと…」
真冬「……」トクン…
--理解してくれる人がいたとすれば、こんなに嬉しいことはない。
だけど、今は私に甘えは許されない。だから少しの感謝を胸に、こう言おう。
真冬「絶対にやめて」
了
成幸「じゃあお寿司のわさびとかパスタのタバスコとか」
真冬「論外、その単語を口にしないで」
成幸「(子供か…)あ、そういえば最近辛くないカレーラーメンが発売されたらしいですけど、それならいけるんじゃないですか?」
真冬「…考えておくわ」
後日買いました。
山中に人一人がいなくなったにも関わらず、探してたのがどうも先生だけっぽい感じだったり、成幸たちの処分が軽すぎ&周囲が誰も知らない感じなのを自分なりに補完してみました。
ついでに先生がカレーラーメンを食べてた理由などもw
感想、乙コメいつも励みになります。次もまたよろしくお願いします。
ということで、もう1本投下いきます
【ぼく勉】真冬「こ、これがル〇バなのね」
『俺……もうクリスセンセーの家に来ない方がいいのかもな』
『結人くん! お願い、待って!』
真冬(ゆ、結人くんが。こ…これから
どうなってしまうのかしら)ドキドキ…
真冬「……」ペラッ
--ピンポーン
真冬「……カレエゴがいいところだったのに」ムスッ
真冬(この時間なら宅急便は…ないわね。唯我くんかしら?)ガチャッ
成幸「こんにちは先生。今日もよろしくお願いします」ニコッ
真冬「ええ。どうぞ上がって」
真冬「さ、惨劇は辛辣。これでも日々頑張っているのよ」
成幸「す、すみません…あ、でも最近はこの状態がかえって安心できるようになったというか…」
真冬(フォローになってないわよ。唯我くん…)ズーン
成幸「前に来たのが3日前でしたっけ…やっぱりこれくらい(の日数)がベストですね。これ以上間隔が空くと掃除も大掛かりになってきちゃいますし…」ハハッ
真冬「そこまで部屋の状態を完璧に把握されていることに、何とも言えない屈辱を感じるのだけど…」
成幸「とりあえずいつものように片付けてしまいましょうか。えーっと」
真冬「あ、ゴミ袋なら--」
成幸「キッチン横の引き出しでしたね。確か買い置きが…ああ、あったあった」
真冬「……」
真冬(不覚…最近はますます唯我くんに頼りきりになってしまってる気がするわ…)
真冬(とはいえ私一人ではなかなか掃除が捗らない…何とかならないかしら)フキフキ ーーピッ
『--さあ始まりましたショップテレビ! 今日もさっそく素敵な商品を紹介していきたいと思います』
成幸「先生、テレビがつきましたけど」
真冬「リモコンが触れてしまったのね。すぐに消すから--」
『さあまず最初の商品はこちら! 全自動で動く掃除機。ルソバのニューモデルです!』
「ーーっ?」ピタッ
『取り扱いも至って簡単。充電器を床にセットし、コンセントに繋いでおくだけ! あとはルソバが全てやってくれます。この通り、段差も絨毯も何のその。そして部屋をきれいに掃除したあとは? そう、賢いワンちゃんと同じ、充電器まで戻ってくるのです。あなたはただ見ているだけ』
真冬「……こ」プルプル…
成幸「あの…先生?」
真冬「これ! これよ! 唯我くんっ!」ビシィッ
ゴゴゴゴゴゴ…
成幸「こ…これがルソバですか」ゴクリ…
真冬「ええ…ルソバよ唯我くん」ゴクリ…
成幸「思ったよりこじんまりしてますね。本当にこれだけで大丈夫なんでしょうか?」
真冬「試験。さっそく作動してみましょう。このために既に部屋は散らかしてあるわ」
成幸「それ絶対意図的じゃないですよね」
真冬「発進! 行きなさいルソバ」ポチッ
成幸「お、おお……!」
真冬「み、見なさい唯我くん! ルソバが塵芥を次々と飲みこんでいくわ!!」
ウイイイイン サッ
真冬「え?」
ウイイン サッ
真冬「不可解…何故途中で曲がるのかしら? 故障?」
成幸「大きいゴミは障害物だと判断してしまうのかもしれませんね」
真冬「そ、そうなの。ならこのゴミを撤去してみれば…」ヒョイッ
成幸「やっぱりそうでしたね。今度はちゃんと進んでいきますよ…って、あ、また」
真冬「承知。これも回収ね。どう? 唯我くん」
成幸「だめです。今度はこっちが」
真冬「こ、これかしら?」
成幸「そっちも」
真冬「それね」
成幸「ete」
真冬「…」
ウイイイイン ズゴゴゴゴ
真冬「こ、今度こそ大丈夫かしら…唯我くん」ゼェ…ハア…
成幸「は、はい…もう大丈夫みたいです。というか…」ワナワナ…
ピカッ キラキラー
真冬「こ、これは…?」
成幸「凄いです先生! はじめて…はじめて先生一人だけの力で掃除ができたじゃないですか!!」ジーン
真冬「こ、これを私が…一人で?」プルプル…
成幸「ええ! ルソバの進路を妨げないようゴミを撤去していったのが、結果的に掃除に繋がったんですよ!」パアアア
真冬「なんてこと…たったそれだけで部屋がきれいになるなんて。私…天才かもしれないわ」
成幸(…え?)
真冬「どうしたの? 唯我くん」
成幸「……あ、いえ、何でもありません。あとは今の状態をキープできるかですね。3日後くらいにまた様子を見に来ます」
真冬「了解。感覚だけど、今回は何だか上手くいきそうな気がするわ。期待して待っていなさい。唯我くん!」メラメラ
成幸「はは…わかりました」
成幸「お、おお……!」
キラキラ… ピカー
成幸「か、変わってない。3日前と同じ状態ですよ! 先生!」
真冬「ええそうね。軽く本気を出してしまったもの。造作もないわ」ファサッ
成幸「(すっかり調子に乗ってるなこの人は…)そ、そうですか。良かったです。これなら、もう俺が出る幕は無さそうですね」
真冬「ええ、そうなるわね。今まで掃除してくれたこと、本当に感謝しているわ。唯我くん」
成幸「ええ。なら、もう先生の部屋に来ない方がいいですよね」
『俺……もうクリスセンセーの家に来ない方がいいのかもな』
真冬「え…?」ドクン
--私達はあくまで教師と生徒ッ!!
真冬「あ…」
成幸「先生…?」
真冬「……そ、そうね。はれて掃除ができるようになったのだし、これ以上君に迷惑をかけるわけにはいかないものね」
成幸「そ、そうですね……じゃあ、俺はこれで。今までお世話になりました。先生」クルリ
『結人くん! お願い、待って!』
真冬「ゆ、唯我くん! 待って!」
成幸「え?」
真冬「あ……」
成幸「…先生?」
真冬「あ…その……い、今までありがとう。しっかり勉強するようにね」
成幸「はい、ありがとうございます。それじゃあ」バタン…
真冬「……」ズキン
成幸「……」カリカリカリ
成幸「……」カリカリカリ
葉月「わーい」ダダダダ
和樹「待て待て--」ダダダダ
水希「こらー! あんたたち、お兄ちゃんが今勉強中でしょ!」
葉月「はーい」
和樹「なあなあ、お絵かきしよーぜ。これなら兄ちゃんの邪魔にならないし」
葉月「うん、そうだね」
和樹「♪~」
葉月「♪~」
水希「もう! お絵かきしていても歌いながらじゃ、お兄ちゃん集中できないじゃない!」
葉月「できた!」
和樹「何書いたん?」
葉月「ほら、怒ってるときの水希ねーちゃん」
和樹「はは、似てるー」
葉月「やったー!」
水希「あ、あんたたち…! 今日という今日は許さないわよー!」
和樹「水希ねーちゃんが怒ったー」
葉月「逃げろー」
ドッタンバッタン…
成幸(し…集中できん。こ、こうなったら…)
成幸「……」カリカリカリ
成幸「うん。久しぶりだけどやっぱりここなら集中できるな。よし、本腰入れていくか…は……はーっくしゅんっ!」ブルルッ
成幸「湯が温くなってきてるな。ちょっと足すか…」ドバー
--5分後
成幸「う……」ブルルッ
成幸(や、やっぱりあかん。最近寒くなってきたもんだからすぐに冷めてしまう。かと言って気軽に足し湯できるほど我が家に経済的余裕はない……くっ!)
成幸「おはよう」ゲッソリ…
理珠「おはようございます成幸さん。何やらすごく眠たそうですが?」
文乃「目の下、すっごいクマだよ成幸くん。どうしちゃったの?」
成幸「あー…ちょっと馴染みの勉強場所が閉鎖してしまってな。うちは何かと騒がしいから、夜中だけしか集中して勉強できなくてさ」フワァ~ア…
理珠「そうですか…な、なら今日は私の家で勉強してみてはどうでしょう?」
文乃(わっ! りっちゃん大胆)
成幸「い、いいのか?」
理珠「ええ。成幸さんにはお世話になりっぱなしですから。これくらいは」
成幸「緒方…サンキュー。じゃあ悪いけど今日さっそく--」
理珠父「--さっそくで悪いけどよセンセイ。何時ごろ家に帰るのか教えちゃくれねーかな? ウチのアルティメット天使(エンジェル)理珠たまに、もしものことがあっちゃならねーからよお」ゴゴゴゴゴ
成幸「ごめん…やっぱり帰らせてもらうわ」ズーン…
理珠「すみません成幸さん。あとお父さんは調理場に引っ込んでもらえますか。とりあえず10時間ほど」ゴゴゴゴ
理珠父「それもう営業終わってるよね!? 理珠たま!!」ガーン!
成幸「というわけでな…」フラフラ…
文乃「あはは…大変だったね。じゃあ私の家はどうかな? うちならお父さん帰ってくるの遅いし」
成幸「そ、それは…かえってまずくないか?」
文乃「え? あっ…だ、大丈夫! だってほら、成幸くんだから…」カァア
成幸「(どーいう意味で言ってるんだ…)わ、わかった…じゃあ厄介にならせてもらえるかな」
成幸「……」カリカリカリ
文乃「……」カリカリ…
成幸「……」カリカリカリ
文乃「……」
成幸「……」カリカリカリ
文乃「……うう」ズーン
成幸「……手が止まってるけど、どっかわからないところでもあるのか?」
文乃「あ、うん…ここの問題なんだけど…」
成幸「ああ、これはまずこの公式を頭に入れたうえでだな--」
成幸「--ってなるわけだな」
文乃「そっかあ…ようやくわかったよ。ありがとう成幸くん」ニコッ
成幸「ああ、お安いご用……で」
文乃「……」
成幸「……」
成幸「しまったあああああ! 教えるのに夢中で自分の勉強がちっともできなかったあああ!!」ズガーン
文乃「ごごごごめんね成幸くん。私が余計なこと訊いたから…」ハワワワ…
成幸「い、いや古橋が悪いわけじゃない。完全に俺のせいだから…」
成幸(だめだ…一緒にいるとついつい教えることに気がいってしまう。ほ…ほかにどこか良い場所は…)
成幸「……」カリカリカリ…
成幸(さすがにここなら集中できるけど…家から結構遠いんだよなあ)
成幸「っと、また間違ってた…どうにも効率が悪いよなあ」
--誤謬。そこ間違っているわよ唯我くん
成幸「えーっと、どこに載ってたっけ…」パラパラ…
--いい? 歴史は暗記の前にまず出来事の因果関係を捉えなさい
成幸「……」パラ…
成幸(そうか……)
成幸(結局、ここに戻ってきてしまった…)
--私たちはあくまで教師と生徒ッ!!
成幸(わかってます。だけど…俺はやっぱり--)ギュッ…
バターン! ドガシャーン!
成幸「は?」
シーン…
成幸「え? ちょっ! せ、先生!?」バターン!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
成幸「せ、先生ーーー!!(ゴミ袋と本の山に押し潰されとる!)」ズガーン!
真冬「感謝…助かったわ、唯我くん」
成幸「いえ…それよりも」
グチャアアア…
成幸「この部屋の惨状はいったい…(すっかり元に戻っとる)」
真冬「そ、それが…」カァア
ウイイイイン ズゴゴゴゴ
真冬「今日も部屋がきれいだわ…これならもう唯我くんに頼ることもないわね」
真冬(これで良かったのよ。私たちは教師と生徒。漫画とは…違う)
ウイイイイン ズゴゴ…ゴゴ…ゴ……
真冬「? 異変。ゴミを吸わなくなったみたいだけど…」ヒョイッ
真冬「……ああ理解。ダストボックスが一杯になってしまったのね。なら、これを掃除すれば--」
真冬「不可解…ダストボックスを水洗いしたら、その後なぜか動かなくなってしまって…」
成幸「いえ…モーターが付いてるから水洗いしないで下さいと、思いっきりラベルが貼ってあるんですが…」タラーッ
真冬「あ、後で気付いたのよ。それで…動かないから少しばかり放置していたら、気付けばこんなことに…」ズーン
成幸「……」
真冬「……」
成幸「……ふ、ふふっ」
真冬「し、失礼! 何がおかしいの? 唯我くん」
真冬「わ、笑わないで頂戴。今回は失敗したけど、また新しくルソバを買えば…」プイッ
成幸「……それなんですけど、先生」
真冬「?」
成幸「ルソバじゃなくて…また俺が掃除しに来るのはダメですか?」
真冬「え……?」トクン
真冬「!!」
成幸「だから…お願いします。またここで…勉強させて下さい!!」バッ!
真冬「~~~~っ!!」
成幸「……やっぱり、ダメ…ですか?」シュン…
真冬「い、いえ、違っ……違うわ!」
成幸「!?」
真冬「そ…そうね。そこまで勉強熱心な生徒を、教師として放っておくわけにはいかないわ。だから、その……い、いい…わよ」カァアア
成幸「せ、先生…! ありがとうございます!」パアアア
成幸「はい先生。また…よろしくお願いします」ニコッ
『色々面倒かけたけど……またよろしく頼むよ、クリスセンセー』
真冬(やっぱり、リアリティに溢れてるのね。カレエゴは。なら…この後に言う言葉は--)
真冬「--ええ! こちらこそ。唯我くん」
了
先生とル〇バが結びついた瞬間、大体の流れが思い浮かびました。カレエゴを用いれば先生を如何様にも動かせるので書いていて大変楽しかったです。
原作は子育てまでいったので離婚→復縁といった感じでしょうか
次もまた頑張ります。それではまた
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コメント一覧 (4)
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- 2019年01月19日 18:56
- ・掃除は最初だけ
・以降は文乃とは逆に分からないところを質問できる
全然環境が違うと思う
-
- 2019年01月19日 20:40
- 原作見ると掃除にかかる時間だけでもヤバそうだけどね
-
- 2019年01月19日 22:43
- 先生が尊すぎてもう…SSありがとうございます。次も楽しみにしてます
あと水着が可哀想