二十歳になったばかりの自分と友人の二人で軽く酒を飲み、いい気分でアパートに向かって帰っていた。
ふと、前を見ると二十代前半ぐらいのお姉さん二人と黒人のデカいワイルドな二人が手をつないでいた。
田舎から出て来た俺らは、さすが東京だなぁって、避ける様にして通り過ぎた。
でも、変な手の繋ぎ方だったなぁって振り返ると女性が助けを求める様にこっちを手招きしてる。
繋いでる様に見えた手は、黒人が一方的に引っ張ってた。
なるほどコレはただ事じゃねーなーって、友達とアイコンタクトして女性に向かって
「ゴメン、ゴメン待った?」
「じゃ、行こうか?この二人(黒人)友達?」
で、女性も俺達の芝居にのり
「遅いよー。早く行こー」
「(黒人に)じゃーねー。バイバーイ」
って言って何とか逃れた。
後ろから聞こえる、生まれて初めて生で聞く「ファーック!」恐かった。
そして俺はどっから見ても男なのに「キル・ボーイッシュ!」
黒人が見えなくなって、女性に何があったのか聞いてみると道で声を掛けられ、いつの間にか黒人の部屋に連れて行かれそうになったらしい。
誰も助けてくれず、犯られるのも覚悟してたそうだ。
何度も礼を言われ、達成感と安堵とこの大都会で人の役に立つことが出来た嬉しさで逆にこっちが御礼が言いたかった。
もちろんその場でお別れしました。
その後で俺のアパートで友達と呑み直した酒はすごい旨く感じたな。