デブ「ブヒヒ……美少年アイドルグループに入ることになったぞぉ」
美男子「ボクらと組むってことは、そいつも相当なもんなんでしょう?」
社長「うむ」
イケメン「それを聞いて安心しました」
美男子「足を引っぱられちゃ困りますからね」
ガチャッ
社長「来たぞ」
デブ「ブヒヒ、やぁ、君たち二人とアイドルグループになるんだね!」
イケメン&美男子「え゛!?」
美男子「ボクら、こんなブタ野郎と組むんですか!?」
社長「そうだ」
デブ「ブヒヒ、褒めてもらって照れるなぁ」
イケメン「褒めてねえよ!」
デブ「ちなみに体重は119kg、救急車と覚えてね」
美男子「聞いてねえよ!」
社長「『KKS3』!」
イケメン「KKS3……!」
美男子「3はいいとして、KKSってどういう意味ですか? ボクらのイニシャルとも関係ないし」
社長「KKSとは“格差”という意味だ」
イケメン「格差……なるほど」ニヤッ
美男子「そういうことですか」ニコッ
デブ「?」
イケメン(KKS3は格差社会の厳しさを表現するグループってことだな!)
美男子(イケメンとボクの二人に全くついていけない落ちこぼれであるデブをみんなで笑って)
美男子(この格差社会にせめて少しでも笑いを届けようってわけだ!)
イケメン「KKS3……いいですね!」
美男子「女性だけでなく男にも支持されて、絶対売れますよ!」
社長「うむ、精進してくれたまえ」
デブ「ブヒヒ、頑張ろうねえ~」
イケメン&美男子(お前はせいぜい引き立て役になりやがれ)
ダンサー「ワンツー、ワンツー」
イケメン「ほっ、ほっ」バッバッ
ダンサー「ワンツー、ワンツー」
美男子「ほっ、ほっ」バッバッ
ダンサー「うーん……二人ともイマイチだな。ダンスに熱も魂もこもってない」
イケメン「くっ……!」ハァハァ
美男子(精一杯やったのに……)ハァハァ
ダンサー「じゃあ次、デブ君」
デブ「はぃぃぃぃぃっ!」ギュルルルルッ
デブ「ほわぁっ!」シュバッ
ダンサー「素晴らしい……!」
イケメン「キレッキレじゃねえか! サモハンキンポーかよ!」
美男子「なんであの体であんな動きできるんだ!?」
ダンサー「驚いてないで、君たちも彼を見習うように! 同じグループなんだから!」
イケメン&美男子「は、はい……」
イケメン(ダンスでは不覚を取ったが……)
美男子(今度こそ……!)
講師「では、発声して下さい。あ~~~~~……」
イケメン「あー……」
美男子「ああ~……」
講師「全然ダメ! もっとお腹の底から声を出して!」
講師「さあ、デブ君も!」
講師「おおっ……実によろしい! パーフェクトな発声だ!」
イケメン「なんていい声してやがる!」
美男子「まるでオペラ歌手の風格!」
デブ「ブヒヒ、風邪ひいてなきゃもっと高い音出せるんだけど」
イケメン「何ィ!?」
美男子「本調子じゃなくてこれかよ……!」
キャーキャーッ!
イケメン(フッ、女どもの黄色い声援が全身に突き刺さる……心地いい……)
美男子(もっとボクという偶像を称えろ、崇めろ、卑しき女たちよ!)
デブ「いやぁ、嬉しいなぁ~」
イケメン&美男子(お前に声援送ってる女は一人もいねーよ!)
イケメン「さあ、一曲目いくよ!」
美男子「『くたばれ格差社会』!」
デブ「レッツゴー!」
美男子「ボーナスなんて出やしな~い!」バッバッ
デブ「今日も惣菜コーナーで、シール貼られるのを待つ~!」シュビッシュバッ
イケメン(くっ、さすがデブ! 歌唱力とダンスは抜群だ!)
美男子(だけど女どもはそんなの見ちゃいないさ……)
デブ「タワーマンション見上げてツバを吐くのさ~!」シュバババッ
「デブくーん!」
「デブー! かっこいー!」
「歌もダンスも超よかったよー!」
キャーキャーッ!
デブ「ブヒヒヒ、みんなありがとー!」
イケメン「……!?」
イケメン(なんでデブに人気が集中するの……!?)
美男子(ボクらアイドルよ!? 見た目が全てだろうが! なのにどうして……!)
司会者「今日のゲストはKKS3の皆さんでーす」
司会者「やっぱり事務所からスカウトがあったの?」
イケメン「えぇと、あの……親が、えぇと、応募を……」
美男子「ど、道路を歩いてたら……あの……お声掛けされて……」
司会者「ハハ、まだトークに慣れてないみたいだね。デブ君はどうだったの?」
デブ「ボクの場合、相撲部屋からスカウトがありました!」
どっ!!! アハハハハ…
イケメン「格差を思い知らせてやるはずが、俺らが引き立て役になってるじゃねえか!」
美男子「まさか、こんなことになるなんて……」
美男子「だけど、あいつが絶対ボクらに勝てないことがある」
イケメン「なんだ?」
美男子「ルックスだよ」
美男子「しょせんあいつの人気は“デブのくせに歌やダンスが上手い”ってギャップによる一時的なものだ」
美男子「すぐ飽きられて、ファンはこっちを向いてくれるようになるさ」
イケメン「……そうだな」ニヤッ
イケメン「ああ」
ガチャッ
絶世の美少年「……」キラキラキラ…
イケメン&美男子「誰!!?」
美男子(まるでフィクションから飛び出してきたような……一瞬ドキッとしちゃったよ)
イケメン「あ、あの失礼ですが……」
絶世の美少年「……?」
美男子「ど、どなたですか?」
絶世の美少年「ブヒヒ……やだなぁ、僕だよぉ~」
イケメン「ハァ!?」
美男子「ウソォ!?」
絶世の美少年「ブヒヒ、貧相でみっともないだろ?」
イケメン「いや、そんなことは……」
美男子「デブ時代の面影がなさすぎる……」
絶世の美少年「だから常に食べて、どんどん太らないと!」ガツガツムシャムシャ
イケメン「えええ……せっかく痩せたのに……」
美男子「そのままの方が……だけどそのままだとボクらがまずいか……」
デブ「ステップステップ!」スタタタターンッ
デブ「ローリング!」ギュルルルルルッ
イケメン「そういやデブって、歌とダンスの練習量すごいよな……」
イケメン「俺らの何倍練習してるんだか……」
美男子「うん……あれじゃ痩せるわけだよ」
イケメン「頼みの綱のルックス、さらには努力の量まで負けてたってことか」
美男子「どうする……?」
イケメン「ぶっちゃけこのままデブ人気に乗っかってくのもアリかもしれない」
イケメン「だけど……」
美男子「だけど?」
イケメン「負けたくねえ……! このままじゃ終われねえ……!」
イケメン「俺たちもデブのやってる練習のさらに何倍も練習してやるんだ!」
美男子「そうさ!」
美男子「お前だけにいいカッコさせられないからな!」
デブ「もちろんいいよぉ~!」
イケメン「よっしゃ、踊るぜ!」
美男子「ワンツー、ワンツー!」
デブ「ブヒヒヒ、今日の二人はノリノリだねえ!」
「今日は三人ともすごかったねー」
「イケメンと美男子は顔しか取り柄なかったけど、ようやく歌や踊りが追いついてきたな!」
「デブ君もいいけど、二人も頑張ってて好印象~!」
社長(そう、これがKKS3の本当の狙い……)
社長(圧倒的な素質の差があっても、努力次第で人はそれに食らいついていける)
社長(それを世の中に知らしめたかったのだ……!)
美男子「KKS3の底力見せてやろう!」
デブ「ブヒヒヒ、三人の歌でこの格差社会に勇気と希望を与えよう!」
オーッ!!!
― 終 ―
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コメント一覧 (13)
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- 2019年12月07日 21:51
- ワイこのSS登場人物と同じ性悪ワキガチビハゲデブ37歳童貞独身仕事なし。どこで道を間違えたのか悩んでみる。
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- 2019年12月09日 06:36
- >>1
おいうちをかけたくないがよく読め…同じじゃあないみたいだぞ…
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- 2019年12月07日 22:08
- 腐人気が凄そう
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- 2019年12月07日 22:37
- 爽やかなSS
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- 2019年12月07日 23:46
- 道徳の時間に読ませるべき
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- 2019年12月08日 00:08
- いいじゃん
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- 2019年12月08日 09:54
- なろうかよ。
いいじゃん
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- 2019年12月08日 09:54
- いいね
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- 2019年12月08日 10:49
- 自分と同じ容姿の奴は天才でそうじゃない奴はクズと言う、見た目至上主義のオタクの哀しい妄想。
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- 2019年12月13日 16:58
- >>8
捻くれてんなぁw
そんな思惑がある訳ないでしょ
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- 2019年12月08日 17:15
- 好感しかもてないssだったぜ…
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- 2019年12月09日 10:50
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- 2019年12月10日 20:25
- デブ完璧かよ。