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2020-07-27 (1)


2020年8月1日(土)午前9時から、「日本格ゲーメーカー連合会」配信が行われました。
アークシステムワークス、アリカ、SNK、カプコン、コーエーテクモゲームス、バンダイナムコエンターテインメントといった日本国内のゲームメーカー関係者が一堂に会し、以下のようなトークが繰り広げられました。





参戦キャラの選定について(カプコン松本Pから)

カプコン松本氏
「ストリートファイターは伝統にのっとって、ディレクターが考えている。」

カプコン中山氏
「国と格闘技の組み合わせを開発メンバーで考えて、バラエティ色豊かになる事を大事にしている。」
「一番最初にリリースする時は、同じ要素が被らないラインアップになるよう考えている。」
「追加キャラは、よりテクニカルなものに挑戦したり、開発側の実験やチャレンジもしている。」
「ストリートファイターは現実に近い世界観なので、いろんな国のファイターが参戦して、その国のユーザーが喜んでくれたらいいなという感じ。」



過去作と新規のバランスについて

カプコン松本氏
「シリーズごとにシステムが変わるので、過去作のキャラでも今のシステムと相性が良い悪いがある。そこに個性が合うように選定している。」

カプコン中山氏
「1つのシリーズから固まって出ないようにしている。」

バンナム原田氏
「”ストリートファイターが現実に近い”は驚いた。ブラジル人おかしくね?と思った。」

カプコン中山氏
「それもあって緑色じゃないキャラも追加した。」

バンナム原田氏
「ファンの声はどうやって拾ってるんですか?」

カプコン中山氏
「シャドルー格闘家研究所で、キャラ投票とかしてもらっている。」

バンナム原田氏
「ネット投票だと、スト3のQが大人気で出したらバカ売れ!と思ったら使用率が低いとか起きる。そこらへんのバイアスをどうやって正常化しているのか?」

カプコン松本氏
「僕らがやりたいことが根本にあって、それを人気投票で見てズレてないとか、結構近しい結果が出てるといったバロメーターというか、自信にもなるし、自分達が間違っていないなとなる。」

バンナム原田氏
「バンナムみたいにユーザーの同意の元、使用率とか統計データが送られてくるようなものは参考にしてない?」

カプコン中山氏
「使用率は公開している。カーソルが一番最初にあってるリュウが一番。」

バンナム原田氏
「使用率と人気はまた別で難しい。」

カプコン松本氏
「そのシリーズで強かったから人気があるっていうのと、純粋にファンとして好きなという2軸がある。どれだけキャッチアップできるか考えている。」

カプコン中山氏
「めっちゃTwitterとか見てます。」

バンナム原田氏
「(ボツになったキャラの)鮭っていうデータをユーザーが掘り起こした。選ばれたのはエリザだったけど、あの時に鮭に投票が集中してたら本当に作らないといけなかった。鉄拳のシステムじゃ無理だろ、産卵コマンドって何だよ?ってw」
「その点で言うと、プレイヤーコミュニティはわりと良識とか常識があると思って感動した。」

コエテク新堀氏
「市場調査しつつ作りたいもの、ストーリーとか武術とか、ゲームを作る前からこれをやりたいというエネルギーで作っている。そこにマーケティングをちょっとのせて国や見た目も考慮している。」
「ゲストキャラの選定は、DOAが女キャラを期待されているので、カワイイ子いないかな~みたいな。強くてカワイイ子。」

SNK小田氏
「KOFは数が多いから入れやすい。サムライスピリッツは女性キャラの品質を上げた方がいいということで、ハゲのおっさんばかりのロースターにいた王虎と色を入れかえた。最後のキャラが王虎かよって大バッシングを受けたけど突っ切った。」

アーク石渡氏
「最初からこのゲームに何体のキャラが入るって決まっていたり、追加のキャラ枠があったりする。」
「見た目、カラーリングや華やかさとかのバランスがある。純粋なファンの要望としてのキャラ人気と、プレイビリティとしてのキャラ人気をはかりにかけてスタッフ全員で検討する。」
「最近、ようやくグローバル意識も芽生えてきて、そういった観点から新規キャラのアイデアなども意識するようになっている。」




クロスプレイ実装の未来について(バンナム原田氏から)

バンナム原田氏
「みんなが思い描くクロスプレイは技術障壁がほとんどない。」
「PS4とかXbox Oneが出るくらいにファーストパーティーにパワポ15枚くらい資料作って、家庭用のクロスプレイやっていきましょうってプレゼンをした。トップの方はやりたいですねと言う。フィル・スペンサーさんとかはよく会ったり会食してそう言ってた。」
「ただ、実際やろうとすると各社事情がある。F2Pで多くの人を集めるゲームだとわりと門戸を開いてくれるけど、パッケージとして売るゲームだとファーストパーティーは同じゲームでもDLCとかの収益の問題がある。」
「もう1個はセキュリティ。IDをどう繋ぐのか。独自のサーバーで独自のIDをもう1個持たないといけない。格ゲーだとP2Pでサーバーを挟まないのが理想。そうなるとセキュリティのポリシーが違う。」
「プラットフォーム間の収益構造やポリシーで現世代までは実現してないタイトルが多い。」
「次の世代はクロスプレイが出来て当たり前というユーザーの要望があるので、もう一度押していきたい。」

カプコン松本氏
「プレイのフィールがどうなの?という問題はあるが、前提として必須かなと思う。」

アーク石渡氏
「ユーザーが分かれることに我々にメリットはない。絶対に実現する方がいい。気になるのは、プレイヤーのデバイスに差が生じた時に、こちら側でフォローできることが・・・というのは気になる。」

コエテク新堀氏
「このハードとはやりたくないとか、あとチートが多いとかあって、どうしても壁になる。」

アーク石渡氏
「Switchだとアケコンの選択肢が少ない。」

アーク関根氏
「コマンド操作とか細かい調整が大変。同じプレイフィールを違うハードで同じに持っていけるか考えるのが大変。」
「操作形態もいろんなタイプに対応していくのもありかなと思う。FPSみたいにボタンアサインとか自由に出来たらいいのかな?って考えると根底からシステムを考えないといけない。そうすると時間がかかる。」




アケコンについて(SNKから)

SNK小田氏
「ジャンル専用のコントローラーを使う特殊な文化がある。アケコンの文化を繋いでいくことを考えたら、今使っているコントローラーがレガシーコントローラーになる。」
「ゲーム側のドライバで対応していた。それをやりすぎたら新しいアケコンを作るメーカーもなくなっちゃうのかなというのがある。」

アリカ西谷氏
「私自身はゲーセンから入ってるからゲーセンじゃないと絶対ダメ。でも今の人達は生まれた時からパッドが目の前にある。格ゲーは複雑なコマンドがあるけど、わりと順応してる。」

バンナム原田氏
「データ上は、どの格ゲーもパッドが7割を越えてる。大会でも半分以上がパッド。」

SNK小田氏
「最近のタイトルはパッドで遊べるようになってるのもある。パッドだとは僕は下段ガードが出来ない。(斜め下が入りにくい)」

アーク石渡氏
「連打させる仕様や、ずらし押しを入れたりする欲求がある。でも遅延やパッド全盛の時代や、作り手の思いなどがあって喧嘩してるとこがある。若い人達はもっとパッドにあわせて作っていくべきだと色々アイデアを出してくれる。僕の場合だとサムスピのつばぜり合いみたいな、フィジカルで熱くなる要素を入れたくなっちゃう。時代が変わってきてるのも痛感していて、ギルティ新作でも仕様を組み替えている。」

アーク関根氏
「難しい入力をするのは楽しいのでアケコンが好きだけど、デバイスにこだわらない対戦を実現したい。ボタンのデザインはシンプルに持っていく方がいいかなと思いつつ、eスポーツの道具的な発展も面白い。このボタンを押すと通常は難しいことが何でもできちゃうバーリトゥードルールと、通常の統一ルールの大会を別々にやってもいいかなと思う。」
「森氏は、まずパッドで出来るようにしてくれよって言う。」

バンナム原田氏
「森氏はパッドしかやってるイメージがない。」

アーク関根氏
「アケコンで鉄拳の最風をやってるのを見た。」




格ゲーの将来的なユーザー体験(アークから)


アーク石渡氏
「将棋とかは長い間ルール変更が行われないのに対して、格ゲーは3年とか5年でルール変更を求められる。この先に何があるのか。例えばAIが介入してきたらマッチング的なとこに入ってきたら面白いところがあるのか、とか。」

コエテク餅A氏
「マッチングは初心者狩りとかを改善していかないとユーザーが減っていくので各社苦労していると思う。ランク分けも各社段位やポイントで試行錯誤していて、どっちがスタンダードか決まってないと思う。」

バンナム原田氏
「同じかちょっと上のレベルとの対戦が面白いのは分かってる。それがAIとかで解決できるなら、25年分の流し込むデータがあれば何か出てくる可能性があると言われたことはある。」
「初心者の定義がキャラによって変わったりする。」
「フォートナイトだと敵にAIが入ってきて、そこでちょっと成功体験があったりする。」

コエテク餅A氏
「人間に勝ったというのが大事。」

コエテク新堀氏
「2008年に中国でやった時に、バレた。プレイヤーはプライドが高い。(人間に勝ちたい)」

アーク石渡氏
「絶対に勝てないAIがランキング1位にいるとかあったら面白い。(レイドボスみたいな感じ)」

バンナム大久保氏
「デバッグが進化したら格ゲーの場合は開発周りが変わってくるかも。」

バンナム原田氏
「うちの会社は、CPU戦よりも戦っててつまらないAIみたいな動きする人が多い。同じ反撃と同じコンボしてきて、強いから厄介。AIの方が面白い動きをしてくるんじゃないかと思う。人間が本気で勝とうとする動きに絶望する。」

バンナム安田氏
「AIが煮詰まると最終的に攻撃しなくなるらしい。来たものに対して反応するのが最適解になる。」

SNK小田氏
「昔は3ステージ目で絶対殺せみたいな指令があったりした。」

バンナム原田氏
「悪名高きジェノサイドカッターとか、溜めキャラが前進しながら技を出すとか理解不能なのがあった。どう見ても100円とりにきてる。」
「データをみんなで集めてアルゴリズムを共有してもいいんじゃないか。」




格ゲーのシンプル化と対策について(コエテクから)


コエテク新堀氏
「毎回格ゲーってナンバリングとか新作を出すたびに、新しいユーザーを取りに行くように(会社の)上からくる。それに対して今遊んでる人達は今のシステムが好き、それにどう考えているのか?」

アーク石渡氏
「シンプル化と簡単が混同されることがある。シンプルにするというのは、格ゲーを簡単にするのではなく、理解しやすくさせたいのが一番の目的。その結果が操作やボタンを減らす事かどうかは、まだ結論が出ていない。」
「競技としてすごく強い人間がすごく強くあるためには、それなりにゲームとしての奥がないといけない。奥の深さを表現するには、一見さんが分かりにくい深いシステムがどうしても要求される。それを操作なのか、理解度なのか、見た目なのか、どういう形で導入するのか模索している。」
「見て誰もが触りたいと思ったり、触った瞬間に面白いと思えたら、シンプルかどうかはあまり関係ない。」

アーク関根氏
「グラブルVSのバトルシステムの思想は、コマンド入力をなくしたくないし、かといってボタンだけにしたくない。まとめて一緒にやったらどうなるかなということで、原作のようにクールダウンを再現した。」
「2D格ゲーはコマンドが出る出ないで勝敗を左右することがある。出せる条件は一緒にしていつでも出せるようにして、出す状況を決めるのをプレイヤー次第にした。難しいコマンドにすると、出すタイミングが画一化されていく。シンプルにするといつでも出せてアナログになるけど、簡単じゃない。」

バンナム原田氏
「ポッ拳とかも今から初心者が入っても、操作は簡単でもレベルの高い相手にボコられて階段の大きさを感じる。シューターとかも操作が簡単でもコミュニティが成熟すると敷居が高くなる。」
「バランスのいいゲームにしようとしたら、体力ゲージを20倍にすれば上手い人が絶対勝つ。逆に短くすると誰でもチャンスのあるゲーム性になる。」




その他

・サムスピシーズン3の開発が決定。この配信に合わせて一昨日予算が承認されたばかり。かなりのハイペースになる模様。(原田氏、ブラックネタでイジる)

バンナム原田氏
「鉄拳シリーズでギースが未来永劫出られるように・・・」

SNK小田氏
「僕がもうちょっと偉くなったらやってみます。」





【出演者(敬称略)】
アークシステムワークス株式会社
石渡 太輔(『ギルティギア』シリーズ 総監督)
関根 一利(統括バトルディレクター)

株式会社アリカ
西谷亮(『ファイティングEXレイヤー』プロデューサー)

株式会社SNK
小田泰之(SNKプロデューサー)
黒木信幸(SNKディレクター)

株式会社カプコン
松本脩平(『ストリートファイターV』プロデューサー)
中山貴之(『ストリートファイターV』ディレクター)

株式会社コーエーテクモゲームス
新堀洋平(『デッド オア アライブ 6』プロデューサー)

株式会社バンダイナムコエンターテインメント
原田勝弘(「鉄拳」シリーズ総合プロデューサー)
大久保元博(『ソウルキャリバー 6』プロデューサー

MC
安田イースポーツ(バンダイナムコエンターテインメント esportsプロデューサー)
ほか