ある日本人女性が中国の奥地を旅行していました。
彼女は奥地を旅行するだけあって中国語も堪能で、この旅をとても楽しんでいました。
そしてある山に登ろうと山道を歩いていると「達者」という看板を出している店を見つけました。

「達者」?何のお店だろう?
そう思った彼女は薄暗い店内へと入っていきました。

店の中は薄暗く、中には数人の中国人がいました。
奥のほうには大きな人形が並んでおり、みんなそれを見ているようでした。
彼女は人形の方へ近づいて固まってしまいました。

人形達には手足がありませんでした。
それに加えて、なんと人形達の目や口は動いているのです。
そう、人形だと思っていたのは手足を切断された人間、
つまり「達者(ダルマ)」だったのです!

彼女はその異常すぎる光景に叫ぶのを必死でこらえ、
ただ震えていました。

ようやく落ち着きを取り戻して彼女が急いで店を出ようとしたとき、
達者の一人が口を開いたのです。
「おい、おまえ日本人だろ!?頼む助けてくれ!助けてくれよ!」
達者は必死に彼女の方に顔を向けて叫びました。
店の中国人たちの怪訝な視線が彼女に集まりました。


『ここで日本人ということがばれたらまずい・・・』
そう考えた彼女は日本語がわからないフリをし、
得意の中国語で弁解して急いで店を出ました。
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その仲良し夫婦は旅行が趣味で、よく外出を楽しんでいた。
国内を行き尽くした2人はそのうち、海外旅行へも積極的にチャレンジするようになる。
言葉が通じず、新しい体験だらけの海外旅行はとても新鮮でのめり込む要素も満載だったため、刺激を求めた2人はいつしかツアーではなく単独で海外へ渡るようになっていた。


そんな2人が某国でショッピングを楽しんでいた時、事件が起きた。
服を選んでいた妻が、いつの間にか店から忽然と姿を消したのだ。

妻はさっきまで更衣室で着替えていたはずだった。しかしいつまで待っても出てこない彼女は、まるで蒸発したかのようにいなくなった。
夫はお店の人に事態を訴えるも、言葉が通じず泣き寝入りするしかない。
現地の警察に通報するも、結局妻の行方は不明のまま夫だけは帰国することとなってしまった。


愛する妻はどこへ消えたのか…。どうしても諦め切れない夫は、暇さえあれば足しげく某国へと通った。
しかし妻の足取りは掴めずじまいだった。

もう何度某国へ来ただろうか。今回は友人達も同行して入国した。
友人達は半ば諦めかけていた夫を元気づけようと、何か面白いものはないかと模索していた。


すると町の一角に、人だかりが出来ている。

「何かイベントでもやっているのかな?」

人混みの間からひょいと覗いた一行の目に飛び込んできたのは、見せ物小屋だった。
そこには、手足のない全裸の女性がいた。
その女性がひょこひょこと無表情で歩き回っているのを、多くの見物客が眺めていたのだ。

どういった経緯でその女性がそのような状態になったのかは、知る由もない。なんとなくこの状況が不愉快に感じた一行は
「そろそろ食事でも行こうか」
とその場を離れようとした。
しかし妻が行方不明となっている夫だけが、いつまでもその場を離れようとしない。
「おい、○○(夫の名)、もう行くぞ」
と声をかけると、夫はボソッと呟くように言葉を発した。

「△△…。」

えっ?
友人達は耳を疑った。
△△(妻の名)がついに見つかったのか!どこにいるんだ!と驚きながら問うと、○○は無言で指を指した。
なんとそれは、見せ物となっている例の女性だった。


そんな馬鹿な…。

友人達は驚愕したが、確かに△△にそっくりだ。しかし彼女がこんな姿になっているとは、誰も信じることができなかった。
夫は、ただ茫然と立ち尽くしていた。

その後、その見せ物小屋と交渉した一行は手足のない女性を引取り、あらゆる手段で△△本人かどうかの照合を行った。
結果、その手足のない女性は△△であることが医学的にも証明された。

△△の身になにがあったのか、はっきりしたことはわからない。
ただ△△は生きてはいるものの、両手両足を切断され、声帯も失っていた。さらには、精神も既に崩壊しているような状態だった。
両手両足のない彼女の姿は、まるで「だるま」のようだった。



忽然と客の消えるブティック
とあるブティックの試着室に入った女性が、いつまで待っても出てこない。一緒に来た夫(あるいは恋人や友人)が店員に尋ねても、「そんな客は来なかった」と返されてしまい、結局行方不明になってしまう、というもの